魔界に堕ちよう Want to return 14 忍者ブログ
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こっから先はR指定だ!!


最終話目前ふっふー
あっやっぱり20話超えるっぽい^p^

っていうか何だこの更新スピードwwwwwwwwwwww

俺が通った後に見える薄い赫い道
塔に行きたい人はこちらへおいで
さあこっち歩けばすぐに着くから

まあ、死んでも責任は取らないけど

Want to return 14

部屋から出たカラッドとアルディックは、目の前に広がっている光景に唖然とした。
掠れたような、何かを引き摺ったような赤い線が、延々と続いていた。
「何だ、これ……初めて見た」
今までこんな物は見たことがなかった。
「……成る程……アレか」
「知ってるのか?」
「近くに行って見て触ってみろ、そうすりゃ解る」
アルディックの言葉通り、赤い線に近づいて触ってみる。
触ったと同時に、指先にべっとりとした感触を覚えた。
その感触に驚いて手を離すと、指先には凝固しかけた血が付着していた。
「これ……血か!?」
「そうだ。結構時間は経ってるけどな」
言われてみれば、辺りには微かに血特有の臭いが漂っている。
「でも何でここに……いや、それよりも──」
何故ここに血痕があるのか。
それよりも、何故こんな引き摺ったような血痕が延々と続いているのかが気になった。
「カラッド、これ見たの初めてか?」
「初めてに決まって……じゃああんたは見たことあるのか?」
「ああ。結構見るぜ」
「じゃあこれが何なのかも解ってるのか?」
カラッドの問いに、アルディックは一度頷いてから言った。
「──死体処理班の通った後だ。あいつ等は死体を入れるために馬鹿でかい布製の袋を持ち歩いてる。
この血の跡は、その袋を引き摺った跡」
死体処理班の事を詳しく聞いたのは、これが初めてだった。
「そして、死体処理班は皆一様に塔に集まる。──要するに、だ」
血痕が伸びているその先を指さすと、カラッドに笑いかける。
「これを辿っていけば、結構短時間で塔まで辿り着くってことだ」
闇雲に動き回って迷うのも嫌だろ?とアルディックは続けると、血痕に沿って歩き出した。
「それも……そうか」
地図も何もない状態で塔を目指して迷子になる、というのは充分有り得る。
ならば、多少遠回りになるとしても確実な方法で行った方が良いだろう。
「おーいカラッド、早く来い!」
数メートル離れたところから聞こえるアルディックの声に、カラッドは走り出した。

「──にしても今回はやけに長いなーこれ」
いつもなら数十メートルくらい続いてから途切れるのに、とアルディックは呟くと、未だに先が見えない
血痕を、目を凝らして見つめた。
「それよりも、これだけ血がある方が凄い気がするんだけどな……俺」
一人の人間から、これ程の血が出るものなのか。
「いや、多分これは数人分だろ、量からして」
「2,3人……辺りか?」
「多分それくらいじゃねぇ?」
今から塔に乗り込んで主催者を殺しに行くとは思えない、残酷だがのんびりとした会話を交わしていると
突然血痕が途切れ、その先に人影が見えた。
「人影……?」
「──あーあれが死体処理班の奴か」
「ばっ、声でかいんだよ!」
アルディックの呟きが聞こえたのか、その人影は2人を振り返った。
そしてそのまま、左手に持ったモノを引き摺りながら、近づく。
「……何だてめぇら、血の跡でも辿ってきたのか?」
アルディックよりも2,3個ほど年下と思われる短く切りそろえられた赤茶の髪の男性は、若干低い声で
問いかけてきた。
その服には、赤茶色に変色している血が染みついている。
「──まあ、そうだけど……あんた誰」
「サーゼ、だろ? 知ってるぜ? 聞いたことある」
カラッドの言葉を遮る形で、アルディックが口を開いた。
サーゼと呼ばれた男性が、その声を聞いて僅かに驚いたような表情を見せる。
「……そうだ、俺は死体処理班班長……フルネームは嫌いだがしゃーねぇ、言ってやる。
……サールゼンデ=エディクトロー、だ。まあそこの奴と同じく、サーゼとでも呼んでくれればいい」
「サーゼ、か……解った。俺はカラッド。それと──」
何故フルネームが嫌いなのかは解らないが、彼がそう呼べと言っているのだからそう呼ぶ事にしようと
カラッドはその名前を口にした。
「知ってる。アルディック、だろ?」
「お〜さすがだな。死体処理班班長の情報量は伊達じゃない、ってか?」
賞賛するように軽く拍手をしながら、アルディックはいつもの調子で彼に向かって冗談交じりに訊いた。
「そ。それとてめぇが右目潰されたことも知ってる。馬鹿だなー」
ふざけたトーンの冗談に聞こえないようなからかいに、2人は何も言えずに苦笑いだけを帰した。
「冗談冗談。塔の方に向かうんだろ? だったらここから真っ直ぐ行きゃいい。俺はまだ『仕事』が
あるんでね。生憎だが案内は無理だ」
自分の背後を指さし、サーゼは左手に持っていた袋を持ち直す。
黒い布製の袋は、まだ新しい血で濡れていた。
「今日は3人殺されて、その処理だ。さすがに3人分入ってると重くて仕方がねぇ」
溜め息混じりに言うと、サーゼは背を向けると歩き出した。
「……あーそうだ。言い忘れてた。──せいぜい楽しみな」
その言葉の意味が汲み取れずにいるカラッド達など気にも留めず、サーゼは「それじゃ」と言うと
意味深な笑みを残して今度こそ歩き去っていった。
「楽しめ……? この状況で何を楽しめっていうんだ……?」
こんな状況で楽しめるわけがない。というか、この世界に喜怒哀楽の『楽』なんて感情は有り得ない。
普通の人間にあるとすれば、どうしてこんな世界に来たのかという戸惑いと悲しみと怒りだけだ。
「まああんまり考え込まない方がいいぞ? これから殺りにいくんだから」
アルディックのいつも通りの口調といつも通りの笑顔に、カラッドはどこか安心感を覚えた。
「ああ……行こう」
血痕の道しるべはないが、このまま行けば辿り着ける。
やっと、全てが終わる。
カラッドはそれだけを考えながら、塔への道を歩いていった。

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