魔界に堕ちよう Want to return 9 忍者ブログ
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こっから先はR指定だ!!

そういや死体処理班とか医療班の奴って出てきてないよね。うん。
取り敢えずこれはカラッドとアルディックが居れば進む話なのn(ry

ダンボールの中に入って「拾ってください」って感じの絵が描きたい。
ソーマでやるか。よしやろう。もちろん「拾ってください」じゃなくて「拾え」d(ry

いやーもうブラジャーパロ描きたくてしょうがない(Blind Justiceの意
ソーマとヘメティで描きたいけどこいつら何の共通点もねぇぞ、描けないぞ。
カラッドとダークとアルディックだったら描けるかな…

Want to return 9

「餓鬼、良いぞ」
アポフィスの白衣は、たった今人殺しをしてきたのかと思う程にアルディックの血で染まっていた。
その色白の頬にも、数滴ほど血が飛んでいた。
「アルディックは……?」
「あー、大丈夫だ。生きてる。大した精神力だよ、あの赤毛」
麻酔もなしで眼球にメス入れたのに気を失わなかったんだから、とアポフィスは続けた。
生きている。その事実を聞き、カラッドは安堵の溜め息を吐いた。
「それじゃ、俺は行くぜ。もう多分大丈夫だと思うから」
「え……」
「金も何も要らねぇって。ただ……『お大事に』」
悪戯っぽく笑ったアポフィスに、カラッドは深々と頭を下げた。
この人のおかげで、自分は仲間を失わずにすんだ。今更だが、感謝の気持ちが溢れてくる。
アポフィスの姿が見えなくなった後、カラッドは部屋のドアを閉めた。
「──カラッドか?」
アルディックの右眼には真新しい包帯が巻かれていた。未だに息は荒いが、治療前に比べたら遙かに良くなっている。
「……アルディック……」
「何で謝るんだよ……別にお前のせいじゃねぇって。これは俺が勝手にやったことだ」
ごめん、と謝り掛けたカラッドを遮る形で、溜め息混じりにアルディックは言う。
「聞こえてたぞ、お前が外で謝ってんの」
泣きながら誤り続けるカラッドの声は、激痛の中で朦朧とした意識の中でもしっかりと届いていた。
「だって……あんたがこんな怪我したのも、俺が下らないトラウマなんかで……!」
もう終わったことなのに、もうあんな恐怖と痛みと絶望に包まれることはないのに。
『あの頃の記憶』は、今尚彼を苦しめ続けていた。
「トラウマ? お前何か──っつーか!」
「な、何だよ……というかまだ怪我全然治ってないんだから大声上げるのやめ」
「いってぇえええ!!」
だから言わんこっちゃない、とカラッドは頭を抱えた。
確かに元気になってくれたのは嬉しい。だがアルディックが右目を失い、酷く傷ついたのは事実だ。
「騒ぐと右目に響くだろ……聞こえてるから普通に喋ってくれ」
「ああ……それでだ」
アルディックは上体を起こし、カラッドの目を見据えた。
「──アイツが言ってたのって、本当のことなのか?」
ダークが言っていた、自分がカラッドの兄だという事。
それは事実なのか。ダークが自分に混乱を起こさせるために発した嘘なのか。それが知りたかった。
「……本当、だよ。あれは俺の双子の兄貴だ」
一度微かに怯えるような表情を見せたが、すぐに答えた。
「昔から何も変わってない。俺を散々遊び道具みたいにしてきたくせに要らなくなったら捨て置いて、それで何をしているかと思えばこんな馬鹿みたいな事だ」
「昔から……?」
昔から、ということは、こんな状態になる前にも何かあったということだ。
カラッドの口調やダークの行動、性格からして、良くない事であるのは確かだが、それが何なのかまでは解らない。
「ああ、昔からだよ。俺が記憶している限りでは……5,6歳くらいのときから」
「多く見積もっても10年くらい前から、ってことか?」
「そうなるな」
余りにもあっさりと肯定したカラッドに、アルディックは言葉を続けることができなかった。
「……こういうの聞いちゃいけねぇんだろうけどな……」
相手の辛い記憶を呼び起こさせるだけだから。カラッドを苦しめるだけだから。
それでも、聞かなければならない、何故かそんな気がした。
「お前、何があった?」
カラッドは身体を硬直させたまま、返事をしない。
「別に嫌なら言わなくていい。嫌に決まってるだろうけど、な。──ただ、俺が知りたい。それだけだ」
これはほぼ好奇心に近いのかもしれない、とアルディックは思う。
そんな下らない感情で聞くような話ではないと理解しているのに。
「……別に良いけど」
「え?」
「別に話す事くらいどうってことない。自分でも、何でアイツ見たときにあんな風になったのか理解できないんだよ」
とっくの昔に終わった筈の地獄。別に今まで気にしていなかった。思い出すことさえなかったのだ。
話す分には問題ない。身体が震えたり、言葉が継げなくなることもない。
だから何故ダークと対面したときに自分の身体があんな風になったのか、カラッド自身解らないでいた。
「知りたいんだろ? ……だったら全部話すさ」
そう言って、降格を緩やかに吊り上げる。
それは今まで見たこともないような、酷く悲しい微笑みで。
「自分が言いたくない事は言わなくて……いいからな?」
「解ってる」
カラッドは同意してから、一呼吸置いてから口を開く。
「何から話せばいいんだろうな……まあ『これ』からでいいか」
呟いて、カラッドは自分の右頬にある傷に手を当てた。
「これ、前にあんたに話したよな。『自分で怪我した』って」
小さな頃、家の庭で遊んでいて釘か何か──鋭利な金属で切ってしまったのだと、アルディックに説明していた。
「言ってたな……それがどうしたんだ?」
「アイツにつけられた傷だよ、これ」
傷を指先で撫でながら、世間話でもするかのような口調で続ける。
「ナイフで切られた。それも最初は上手く切れなかったらしくて何回も同じところに斬りつけられて、な」
「な……ッ」
聞いているだけで、血の気が引いていく事が解る程に残酷な話。
だがこれは、彼の話す過去の序章にすぎない。
「これくらい軽い方だ。──アルディック」
「あ、ああ、何だ?」
「これから俺が話すのは、全部事実だ。俺が経験してきた事だ。何もかも。それがたとえ──現実的に有り得ない話だとしても、だ」

俺が「有り得ない」「する筈がない」と思っていた事は、全てアイツの手で書き換えられる。

「あんた、俺が話すこと全部聞いて耐えられるか?」

カラッドの問いに、アルディックはしっかりと頷いた。

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