魔界に堕ちよう 32話 忍者ブログ
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ダンテって結構よくある名前なのかな。しょっちゅう見かけんぞ。
何ならアレスもダンテのまんまでよかったんじゃないkアッー




RELAYS - リレイズ - 32 【対談】

「──では、初めまして。僕がリレイズ総司令官、ダグラス=ティアマントです」
そういえば司令官は司令官でも総指揮官のような物だからそういう言い方になるのか。
別に司令官でも意味は通じると思うんだが、何か違うのか。まあ違うんだろうな、多分。
「こちらこそ、初めまして。リグスペイア軍大佐、シェイド=ダーグウェッジと申します。この度は──」
「兄サンそこまで言わなくていいから早くしてくれ」
「煩い、お前は礼儀がなさすぎるんだ!」
「あーもう何でこんなときにまで言い合ってるのよ!」
結局こうなるのかよ!と突っ込みたかったが、ここで俺が突っ込んだらどうなるか解ったもんじゃない。
「……え、えっと、それで、そちらのお二方は? どっちがヘメ君が言ってた人なのか解らなくて……」
確かにダグラスさんからすればそうだ。2人で並んでいればどっちが電話で話した人間なのか解らない。
最初に言っておけば良かったか、と後悔してももう遅いから、あまり考えないようにしよう。
「オレはラスター=ダーグウェッジ。シェイド兄サンの弟だ」
「兄弟……道理ですごい似てると……あ、すみません」
シェイド大佐とラスターさんは、着ている服と包帯のあるかないか以外殆ど一緒だった。
兄弟、というよりも、双子と表した方が確実かもしれない。そう思ってしまうほどに瓜二つだ。
「それで……君は?」
「私はイーナ。電話でここにこれるかどうかで話してたっていう」
「あー! 君だったの! っていうか女の子だったの!? それだったら早く言ってよヘメ君!!」
「いや何で俺なんですか!!」
何でここで俺が出てくるんだよ。女だっていうことは伝えていなかったが。
そこは別に伝えなくても大丈夫か、と思ったから伝えなかったのだが、そういうわけでもなかったらしい。
まあ考えてみれば当たり前か。
「……まあこれで全員の名前は解ったって事だよな」
「俺達まだですけどね」
俺は一応覚えたが。サイラスね。オッサンでも猫耳でもなくてサイラス。
しかし未だに信じられないぞ、この人。
「え、お前はクソ餓鬼でこっちのは銀髪。これでいいだろ」
「良くないに決まってるでしょうが!!」
だから何で俺の呼び名がクソ餓鬼で定着してるのか理解できない。この人は何が何でも俺をクソ餓鬼って
呼ぶつもりか。
それとソーマに銀髪なんて言ったらこいつ切れるぞ、本気で。
「銀髪ではない、ソーマだ。ふざけるのも大概にしろ、オッサン」
若干額に青筋を立ててはいるが、いつも通り冷静にソーマは訂正した。
……あれ、何か最後に言っちゃいけない言葉が聞こえた気がしたんだが、気のせいか?
ここで切れてナトゥスを振り回されたら手に負えなくなる。頼むからこれで勘弁してくれ。
「オイてめぇ今オッサンっつったろ、聞こえたぞ」
「オッサンにオッサンと言って何が悪い」
「連呼すんなこの白髪頭!!」
「だから俺は白髪でも銀髪でもないと言っているだろう」
「言い合うの止めろって!! 取り敢えずどっちも名前で呼ぶ、これでいいだろ!!」
何でこんなことができないんだ、と俺は頭を抱える。
オッサンオッサンって、どう考えてもソーマがサイラスの反応を面白がっているとしか思えない。
実際そうかもしれない。ソーマの性格からして、相手を馬鹿にしたような言動をして相手の反応を
楽しむことは良くある。というか俺も被害者だからよく解る。
「……で、どこまで話したっけ、ヘメ君」
「だから何で俺なんですか。確かイーナが名前言った後、全員の自己紹介が終わったところですよ」
何故こんな大切な話の最中に言い合って忘れるのか……今更だが、司令官がこんな軽い人で良いのか?
「あーそうだそうだそこだ。──その前に」
ダグラスさんはシェイド大佐の目を見据え、申し訳なさそうに言った。
「あの……お互い敬語なしでいきません? すごい何か、重いんですけど」
そりゃ重いだろうよ!!
世界で唯一しっかりとした機能を持ってあの都市と戦ってる機関の司令官と小さな街の軍とはいえ
大佐の会話だ、敬語はあって当然だろう。
それがダグラスさんにとっては重くて重くて仕方がないらしい。まあそういう人だから仕方ないか。
「あ、オレは全然構いません」
「それじゃあもう敬語なしって事で!」
あっさりシェイド大佐も了承してしまった。もしかして大佐も重かった……それはないな、うん。
それはどちらかというとラスターさんだろう。後はサイラスとか。
「──何か司令官っていうからどれだけお堅い人かと思ったらかなり話しやすい人で良かったなー……
オレそういう……厳格っつーのか? そういう気難しいのが一番苦手なんだよ」
ホラ見ろやっぱり。というか何なんだ、もしかして皆敬語とかって苦手……なのか?
俺がそう疑問に思っている内に、話はさっさと本題に戻っていた。
「──それでイーナ、君はどうして機関に入ろうと?」
「私にも何かできることがあるならそれをしたい、黙って見ていたくない、ただそれだけ」
はっきりと、イーナは強い意志を込めて口にした。
ここまではっきりと言える人間も珍しい。普通なら、少し戸惑ったり言葉を濁したりする事が多いのに。
それだけ、イーナの意志は固いという事だろう。
「……一般人より、力はあると?」
それは確実にある、と自信を持って言える。
何回も言うししつこいようだが、手加減していたとはいえあのソーマとほぼ対等に渡り合っていたのだ。
それだけでも、一般人より力はあると見れる。
ダグラスさんの問いに、彼女はしっかりと頷いた。
その瞳の奥にイーナの意志を見たのか、ダグラスさんは少し微笑んだ。
「解った。君がそこまで言うのならば──こちらに来て欲しい。少し時間がかかるから、早めに。
……大佐、悪いけど後で、二人でお話を」
「オレもそれでいい、大丈夫だ」
大佐と司令官が堂々と敬語なしタメ口で話している……すごく異様な光景だろう、これは。
いや、異様というよりはシュールか?
イーナはソファから立ち上がると、小走りでダグラスさんについていった。
「……それまで俺達は何をしてればいいんだ?」
ここにずっと座って待っているのも何となく違う気がする。かといってシェイド大佐とラスターさんと
サイラスの3人を放っておいてこのまま自室に戻るわけにもいかない。
「あ、それじゃあここ全部案内してくれよ。どこがどういう場所なのか全然分かんねぇ」
ラスターさんの言う通り、本部の案内というのもいいかもしれない。
見た感じサイラスは来たばっかりで研究員達に絡まれていたようだし、それが一番かもしれない。
「それじゃ、着いてきて下さい。俺が知ってる部分で案内します」
「もう研究室の前は通りたくねぇぞ俺は……」
本当に嫌な思いをしたらしいサイラスは溜息を吐きながら、服に付いていたフードを被ると頭の上に
ついている──本人は猫耳じゃなくただの獣耳と言い張っているが、どこからどう見ても猫耳なそれを
隠していた。
「しょうがないしょうがない。ホラ行こうぜ、オッサン!」
ラスターさんのオッサン発言にも反論する元気がないのか、黙ったままだ。
部屋から出るときに、一度ダグラスさんとイーナが出て行った別の入り口を見たが、帰ってくる気配はない。
それを確認してから、司令室の外へ出た。




オッサン!オッサン!!←

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