魔界に堕ちよう 33話 忍者ブログ
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悔しいのでWantと少しだけ本当に少しだけリンクさせてみる。
ちなみに今回また新キャラ出てくるよ!




RELAYS - リレイズ - 33 【案内】

「……えっと、まあ、研究室は迂回するとして」
「えー迂回すんのかよ」
「嫌だ、絶対に嫌だ、研究室は行かねぇぞ!」
だってサイラスがこんな状態なのだから、迂回する以外に方法はない。
頭にフードを被り、それだけで猫耳を隠すには大丈夫だというのに、更にフードが風で捲れ上がってしまうのを防ぐためにしっかりと掴んでいる。
まるで初めて見る人を怖がっている人見知りの子供のようで、本当に大人なのかと言いたくなるような姿だった。
「ホラ、だから研究室いかないから。機嫌直してくれよ」
「マジか!?」
「本当だって。だからそんなビクビクしないでくれ」
研究室に行かない、と言った途端、サイラスの顔に本当に嬉しそうな笑みが浮かんだ。
「よっしゃ!! じゃあさっさと行こうぜ!!」
「調子いいなアンタ」
うん、ラスターさんの言葉に激しく同意。調子良いなサイラス。
「──取り敢えず、こっちが俺達みたいな機関所属の能力者達が居る部屋」
勿論機関には、俺やソーマの他にも能力者というのは存在している。
魔力で作り出した弓矢を扱う人間や、投げる物──それこそティッシュに拳銃くらいの殺傷力を持たせられる人間とか。
魔術師も居る。ソーマも、能力者だが一応魔術師という事になる。氷属性の魔法しか使わない為、氷属性専門魔術師として。
俺が知っている中では、雷を操る魔術師なんて人間が居た気がする。魔法陣の描かれた手袋を着けた手の平から稲妻を出したり、何もない空間で電気を起こしたりとか。
だが、錬金術師という人間は機関には居ない。時々来るくらいで、所属はしていないらしい。
「それとこっちが食堂、あっちに行って左に曲がった先が……うん、研究室」
「絶対行かねぇぞ!!」
「行かないって言ってるだろ!!」
どれだけ研究室が嫌なのか……そりゃあんな事をされれば誰だって嫌だろうが、この警戒は凄いな。
「──っつーかアイツどこ行ったんだ……?」
「アイツ? 誰か居るのか?」
辺りを見回しながら呟いているサイラスに、知っている人間が誰か居るのかと思い、問いかけてみる。
「ああ。連れが一人な。俺が研究員達に絡まれてるときにはぐれた。赤い長髪の……あーいいや、アイツかなり訳分かんない奴だから」
話をされてるこっちが訳が分からなくなってきた。
赤い長髪、と言われても、それだけではよく解らない。ただ、この機関の中には居ない特徴だと思う。
俺は何故か、一度相手を見ると殆ど忘れない。
機関の中で、赤い短髪は見たことがあっても長髪はなかった。
「まあその内戻ってくるか」
サイラスが無責任とも取れる言葉を口にした瞬間、背後からとてつもない轟音が聞こえてきた。
「何だ!?」
弾かれるようにして後ろを振り返れば、そこには巨大な機械──丁度ウィジロの地下で見かけた兵器を巨大にしたような機械が堂々と存在していた。
大きさは、恐らく一軒家ほど。廊下も広々としている本部の中だから、あまりそうは感じないが。
「何でこれが機関の中にあるんだよ!!」
「あ、オイ!! また悪いけど手を貸してくれ!!」
その機械の後ろから出てきたのは、切れたワイヤーを手にしているアイドだった。
「あっちから適度に故障させて資料の為に持ってきた奴が暴走した! 中枢機関を壊さない程度なら攻撃したり壊して良いから止めてくれ!!」
「持ってくる物考えろよ!! 何考えてるんだ!!」
「にしてもこれ持ち込んだとかすげぇな……」
「オレの家にある武器倉庫くらいあるんじゃねぇかこれ……」
小さめの奴だって溢れ返っているのだからそっちを持ってくればいい物を、何故こんな巨大な物を持ってくる必要があるのか。
「──Lump ofest,」
詠唱の声にそちらを見ると、ソーマはもう既に巨大兵器に向かって魔法を発動していた。
巨大兵器の足下が、周りの床と共に徐々に凍り付いていく。
俺は闇霧の柄に手をかけ抜刀しようとしたが、止まる。
兵器の上に、誰かが上から飛び降りてきて着地した。
その男性は綺麗な赤い長髪を揺らしながら、どこから取り出したのかは解らないが二本のサーベルを取り出し、それを振りかざす。
「おっ、やっぱり出てきたか。やれ、ファンデヴ!」
サイラスの声と同時に魔剣が振り下ろされ、あれだけ巨大だった巨大兵器が、一瞬で真っ二つに両断された。
再度響いた轟音と、電流が流れるような音に耳を塞ぎ、それに巻き上げられた埃や資料に視界を遮られて俺は目を瞑った。
それが収まったのを感じてからゆっくりと目を開く。
「──中枢機関だけは避けて切った。そこは安心してくれ」
少し高い、少年のようなテノール声でファンデヴと呼ばれた男性は呆然としているアイドに言うと、俺達に近づいてきた。
「……研究員達に絡まれてたみたいだけど、大丈夫だったのか」
「死ぬかと思ったけどな。てめぇはどこ行ってたんだよ」
「ただ、一人でこの機関の中を見て回ってた。それだけ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
二人にしか解らないような会話を繰り広げている二人に、俺は耐えきれずに叫んだ。
「あ、自己紹介まだだったか。ホラやれファンデヴ」
「解ってる。──名前はファンデヴ。呼び捨てで、敬語なしでいい。それとこいつの仲間。よろしく」
「ああ、俺はヘメティだ。よろしくな」
どうやら先程サイラスが言っていたのは、ファンデヴの事だったらしい。
服装はハンターのようなサイラスとは違って、白いシャツに黒いズボン、その上から黒いジャケットを羽織っていて、少しカジュアルな印象があった。
「……突然で悪いんだけど」
ファンデヴはその青い瞳を俺に向け、言った。
「兄貴、見てないかな。知らないか?」
「兄貴?」
兄貴、というのは、彼の兄のことだろう。そうに決まっている。そもそも俺は記憶喪失で解らないのだから。
「ああ、自分と同じ赤髪で、後ろで一つ結いにしてる、オールバックの」
「……悪い、解らない」
「解った。ごめん。──これじゃあ、もう死んでるかな。7年くらい探してるけど」
ファンデヴの話はこうだ。
7年も、自分の実の兄が行方不明になっている。そしてそれを、家族で兄弟である自分が探している、と。
「そりゃあ生きてて欲しいけど、別にもし死んでても構わない。そうだったら自分がその骨を拾う」
呟くように言っているファンデヴにどう声をかけて良い物か解らず、黙り込む。
「あ、あんまり気にしないでくれ、こいつはいつもこうだ。──兄貴の名前さえ教えてくれたら探せるかもしれないんだけどなぁ」
そうだ、名前だけでも解れば、機関の情報網でどうにかできるかもしれないのだ。
「……気が向いたらでいいか?」
だが、それを強要するのも良くない。ファンデヴが言いたいときに言えばいい。
「──ヘメ君!? ちょっとみんなそこで何やってるの!?」
突然聞こえた声に若干驚きながら、もう一度振り返った。
「何か大きな音聞こえたから来てみれば……まさか暴走でもした?」
「……そのまさかですよダグラスさん」
駆け寄ってきたダグラスさんに答えると、ダグラスさんは困ったように笑いながら
「あちゃーやっちゃった。ごめんね」
いや、そんな語尾に星が着きそうなくらい明るく言われても。
「うわっ、これ凄いことになってない?」
「お、嬢ちゃんおかえり」
後から追いかけてきたらしく、少し息が上がっているイーナはまず最初にこの惨状を見てそう言った。
「しかしまた凄いね……」
ダグラスさんは少し考えてから、いつも通りの明るい調子で言った。
「よし、ここにいるみんなで掃除しようか! みんなでやれば早いしね!!」
……という訳で、サイラスやファンデヴも巻き込んで、この後片付けに追われることになった。




ファンデヴの兄貴はまあ、分かり易いからノーコメント←
解らないって人だけコメントとかで聞いてくれれば^p^

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(>∀<ノノ)
こんばんわ~(^人^)~☆
銀羽さんの小説を見るたび、その面白さに圧倒されてるシュリです(ノ゜∀゜)
最近サイラス殿が気になっているのですが…!←
すごい良いキャラしてますね(笑)コラコラ
こんなおっちゃんがいたら、思わず和んでしまいそうです(´▽`)~○ 猫耳をどうかもふもふさせてくだs=殴)д゜;)ノ しっ失礼致しました…!!
これからのリレイズ世界繁栄をお祈りしてます!\(^▽^)/

Want完結の方も、本当にお疲れ様です^^
一つの作品を完結させることって、いろいろとまとめるのが大変ですよね(汗)私も銀羽さんを見習って、作品作り…精進せねばっすorz
シュリ 2009/10/28(Wed)17:38:41 編集
コメント返信→シュリさん
こんばんは^^最近小説以外更新してない俺です←

ま、まじですか!ありがとうございます!
サイラス指名キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
40代過ぎのオッサンですがそれでもよければもふもふしてやってください^p^(何
ちなみに触られるくらいだったら何て事無いんですが引っ張られると切れる設定つきでs(ry
世界反映頑張ります!!
ぶっちゃけファンデヴの立ち位置にはあの銃器大好きなレノが
入るはずだったのn(ry

ありがとうございます^^
取り敢えず初めて完結できたので嬉しいです(´;ω;`)ブワッ
最後は何か訳解らない感じになりましたが(汗
シュリさんも頑張って下さいね!
赤闇銀羽 URL 2009/10/28(Wed)17:56:28 編集
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