I permanently serve you. NeroAngelo
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
───うーん…
またどこかで泣いてるね…?
私は、ベッドの中で震えていた。
また、あの夢を見た。
もう嫌だ、夢なんて見たくないのに
お願いします。
私の夢を消してください
夢喰 1
私には、夜に決まって見る夢がある。
本当に小さい頃にあった、大切な人の夢。
私には4つ上の兄が『居た』。
今はもう───居ない。
私が5歳くらいの頃、交通事故で居なくなった。
あの頃の私は、死というモノを全く理解していなかった。
だからいつか、兄が帰ってくると思ってたんだ。
もう帰ってこないと気付いたのは、12歳の頃。
かなり遅いのだろう。
私もそれは自分で理解していたから、誰にも言っていない。
そしてその日から、私はその夢を見るようになってしまった。
酷いノイズにブレーキ音に、悲鳴に…泣き声。
その泣き声が私のモノだと気付いたのは、夢を見るようになってから1年くらい経ったある日。
調度、中学1年生になった頃。
それを知ってから、余計にその夢は鮮明になって、私を苦しめた。
見始めてから、もう3年近くが経つ。
私はもう高校生で。
兄はもう高校卒業してて。
もしかしたら大学に行ってるかもしれなくて…
もう嫌なのに、何で見なくちゃいけないの
思いながら、私は学校に行った。
私は自分の席で、友達が来るまでの少しの間、気持ちを落ち着かせる。
辛いけど、友達に心配は掛けたくないから。
そう考えていると、突然肩を叩かれた。
「おはよう!」
「おはよう」
友達は私の前の自分の席に座った。
私はただ、友達の話に相槌を打ちながら、どうやったらあの夢が消えるのかを
ぼんやりと考えていた。
「あ、そうそう、知ってる?」
「何が?」
「『ムクロ』」
「───へっ?」
唐突に言われ、私は間の抜けた声を出してしまった。
「何かね、そういう幽霊みたいなのが居るんだって」
「また都市伝説?」
「だと思うけど、その内容が面白いんだって」
少し興味を引かれ、友達の話を真面目に聞いてみる。
「何かね───…」
「自分の見る夢を、消してくれるらしいよ」
その言葉に、私の思考が一瞬止まった。
『夢を消してくれる』
私が求めて已まないモノ。
「それホントなの!?」
「いや都市伝説でしょ!つーかあんたもさっきそう言ってたじゃん!」
そりゃそうだけど、そういうのがあると言われて黙ってはいられない。
「でもその噂があるってことは、もちろん呼び出し方みたいなものも存在してるんだよね?」
「あんた本気にしちゃったね…まあしょうがないか。」
友達は、私の悩みや夢のことを理解してくれる唯一の人だ。
「午前2時に、自分の見たくない夢のことを思い浮かべながら」
「うん」
「『ムクロさん、お願いします、私の夢を消して下さい』って言うと来る…らしいよ」
私は一発で一字一句逃さずに暗記した。丸暗記した。
「まあ、試さないよりはマシだと思うよ」
「解った。ありがと」
そこでチャイムが鳴り響いた。
月だけが照らす暗く静かな部屋に、時計の秒針が刻む音が響く。
あと1分もしないで、2時。
カチ カチ カチ
時計の針が、2時を指した。
ムクロさん
お願いします
お願いだから───
「私の夢を消して…!」
胸の前で手を合わせ、祈る。
どれくらいの間、そうしていただろう。
すごく短い間こうしていた気もするし、長い間こうしていた気もする。
時計を見る勇気はなかった。
私が息を吐いた瞬間
───コンコン
微かな物音に、顔を上げる。
どこから聞こえているのか、私は辺りを見回す。
『こっちですよ』
突然聞こえた声に、声のした方を向く。
窓の外に、人影が見えた。
「誰…?」
誰かなんて分かり切っているのに、私は「彼」に聞いた。
『それは…っと、その前に、窓を開けて貰えませんか?窓枠に捕まるのも限界が…』
窓の外を見れば、彼は窓枠に捕まっている。
よくまあこんな凹凸なんて無いに等しい所に掴まれるものだ。
私は言われたとおりに窓を開けた。
私の部屋に音もなく滑り込んだ彼は、同じく音もなく床に降り立った。
『いやぁすみません。今日は少し調子が悪くて』
彼は照れたように笑った。
彼が動く度、長い黒髪が揺れる。
着ているのは、どこにでもあるような男子用制服の夏服。
校章は付けていないから、どこの学校かは解らない。
そもそも、こんな時間にこんな格好で窓から入ってくるのなんて───
1人しか、あれしかない。
「もしかして…」
『その通り、どうも───『ムクロ』です』
彼は本当に居た
『君ですよね?俺を呼んだのは』
「え…うん」
そうだ。
私はあの悪夢を消して貰おうと、彼を、ムクロを呼んだのだ。
「それで、その───」
『大丈夫』
私の言葉を遮って、ムクロは言った。
『君の夢はもう、大丈夫』
その言葉と笑みに、私は心から安堵した。
「ありがとう…」
『いえいえ。これが仕事ですから。』
ムクロはもう一度笑い、窓へと歩み寄った。
そして窓を開け、窓枠に足をかける。
『では、良い夢を』
ムクロはそう言い残し、夜の闇に熔けるように消えていった。
この日から私は、あの夢を見なくなった。
その代わりに見るのは、兄との楽しかった思い出。
ありがとう。
悪夢がなければ…
そう思う皆さん
もしも君がそれを本当に望むのなら…
俺はその『夢』を叶えましょう。
俺の存在意義
夢を喰らえ。
そう言われ。
名付けられた名は
『夢喰』
またどこかで泣いてるね…?
私は、ベッドの中で震えていた。
また、あの夢を見た。
もう嫌だ、夢なんて見たくないのに
お願いします。
私の夢を消してください
夢喰 1
私には、夜に決まって見る夢がある。
本当に小さい頃にあった、大切な人の夢。
私には4つ上の兄が『居た』。
今はもう───居ない。
私が5歳くらいの頃、交通事故で居なくなった。
あの頃の私は、死というモノを全く理解していなかった。
だからいつか、兄が帰ってくると思ってたんだ。
もう帰ってこないと気付いたのは、12歳の頃。
かなり遅いのだろう。
私もそれは自分で理解していたから、誰にも言っていない。
そしてその日から、私はその夢を見るようになってしまった。
酷いノイズにブレーキ音に、悲鳴に…泣き声。
その泣き声が私のモノだと気付いたのは、夢を見るようになってから1年くらい経ったある日。
調度、中学1年生になった頃。
それを知ってから、余計にその夢は鮮明になって、私を苦しめた。
見始めてから、もう3年近くが経つ。
私はもう高校生で。
兄はもう高校卒業してて。
もしかしたら大学に行ってるかもしれなくて…
もう嫌なのに、何で見なくちゃいけないの
思いながら、私は学校に行った。
私は自分の席で、友達が来るまでの少しの間、気持ちを落ち着かせる。
辛いけど、友達に心配は掛けたくないから。
そう考えていると、突然肩を叩かれた。
「おはよう!」
「おはよう」
友達は私の前の自分の席に座った。
私はただ、友達の話に相槌を打ちながら、どうやったらあの夢が消えるのかを
ぼんやりと考えていた。
「あ、そうそう、知ってる?」
「何が?」
「『ムクロ』」
「───へっ?」
唐突に言われ、私は間の抜けた声を出してしまった。
「何かね、そういう幽霊みたいなのが居るんだって」
「また都市伝説?」
「だと思うけど、その内容が面白いんだって」
少し興味を引かれ、友達の話を真面目に聞いてみる。
「何かね───…」
「自分の見る夢を、消してくれるらしいよ」
その言葉に、私の思考が一瞬止まった。
『夢を消してくれる』
私が求めて已まないモノ。
「それホントなの!?」
「いや都市伝説でしょ!つーかあんたもさっきそう言ってたじゃん!」
そりゃそうだけど、そういうのがあると言われて黙ってはいられない。
「でもその噂があるってことは、もちろん呼び出し方みたいなものも存在してるんだよね?」
「あんた本気にしちゃったね…まあしょうがないか。」
友達は、私の悩みや夢のことを理解してくれる唯一の人だ。
「午前2時に、自分の見たくない夢のことを思い浮かべながら」
「うん」
「『ムクロさん、お願いします、私の夢を消して下さい』って言うと来る…らしいよ」
私は一発で一字一句逃さずに暗記した。丸暗記した。
「まあ、試さないよりはマシだと思うよ」
「解った。ありがと」
そこでチャイムが鳴り響いた。
月だけが照らす暗く静かな部屋に、時計の秒針が刻む音が響く。
あと1分もしないで、2時。
カチ カチ カチ
時計の針が、2時を指した。
ムクロさん
お願いします
お願いだから───
「私の夢を消して…!」
胸の前で手を合わせ、祈る。
どれくらいの間、そうしていただろう。
すごく短い間こうしていた気もするし、長い間こうしていた気もする。
時計を見る勇気はなかった。
私が息を吐いた瞬間
───コンコン
微かな物音に、顔を上げる。
どこから聞こえているのか、私は辺りを見回す。
『こっちですよ』
突然聞こえた声に、声のした方を向く。
窓の外に、人影が見えた。
「誰…?」
誰かなんて分かり切っているのに、私は「彼」に聞いた。
『それは…っと、その前に、窓を開けて貰えませんか?窓枠に捕まるのも限界が…』
窓の外を見れば、彼は窓枠に捕まっている。
よくまあこんな凹凸なんて無いに等しい所に掴まれるものだ。
私は言われたとおりに窓を開けた。
私の部屋に音もなく滑り込んだ彼は、同じく音もなく床に降り立った。
『いやぁすみません。今日は少し調子が悪くて』
彼は照れたように笑った。
彼が動く度、長い黒髪が揺れる。
着ているのは、どこにでもあるような男子用制服の夏服。
校章は付けていないから、どこの学校かは解らない。
そもそも、こんな時間にこんな格好で窓から入ってくるのなんて───
1人しか、あれしかない。
「もしかして…」
『その通り、どうも───『ムクロ』です』
彼は本当に居た
『君ですよね?俺を呼んだのは』
「え…うん」
そうだ。
私はあの悪夢を消して貰おうと、彼を、ムクロを呼んだのだ。
「それで、その───」
『大丈夫』
私の言葉を遮って、ムクロは言った。
『君の夢はもう、大丈夫』
その言葉と笑みに、私は心から安堵した。
「ありがとう…」
『いえいえ。これが仕事ですから。』
ムクロはもう一度笑い、窓へと歩み寄った。
そして窓を開け、窓枠に足をかける。
『では、良い夢を』
ムクロはそう言い残し、夜の闇に熔けるように消えていった。
この日から私は、あの夢を見なくなった。
その代わりに見るのは、兄との楽しかった思い出。
ありがとう。
悪夢がなければ…
そう思う皆さん
もしも君がそれを本当に望むのなら…
俺はその『夢』を叶えましょう。
俺の存在意義
夢を喰らえ。
そう言われ。
名付けられた名は
『夢喰』
この記事にコメントする
投票なう
プロフィール
HN:
赤闇銀羽
HP:
性別:
非公開
職業:
ソルジャー1st
趣味:
妄想!
自己紹介:
こちらは更新凍結しました
サイトにて活動中。
手描きブログ。
FF、DMC、TOAをメインにやる予定だったのに何かオリジナル増えそう。
こちらは更新凍結しました
サイトにて活動中。
手描きブログ。
FF、DMC、TOAをメインにやる予定だったのに何かオリジナル増えそう。
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
作業用BGM集
カテゴリー
最新コメント
[03/12 赤闇銀羽]
[03/12 凪ノ助]
[07/24 赤闇銀羽]
[07/15 待草]
[07/10 赤闇銀羽]
[07/10 待草]
[06/26 赤闇銀羽]
[06/25 シュリ]
最新記事
(01/07)
(05/13)
(12/30)
(12/01)
(10/24)
(10/24)
(10/14)
ブログ内検索
アーカイブ
カウンター