I permanently serve you. NeroAngelo
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……おや?
仕事の時間のようですね?
今日の依頼人さんは、少し不思議な人ですが……
──チッ
また今日も……
夢なんて見たくないんだ
誰でもいい。誰でもいいんだ。
俺の夢──
夢喰 2
単刀直入に言う。
俺は夢が嫌いだ。
悪夢なんて以ての外だし、というか、夢自体が嫌いなのだ。
何故?
俺の周りの人間──といっても、母や家族だけだが。みんなそう聞く。
答えは簡単だろ?
「現実との違いに絶望するんだよ」
俺の定型文。
小学時代から虐めに遭って?
その時の友達から裏切られて?
中学に行って友達できたと思えば裏切られて?
高校行っても──変わらなくて?
俺はもう、現実なんてこんなモンだと思っている。
腐っていて、馬鹿げている……
でも現実を割り切れない。
女々しいな、俺……
その理由は簡単だ。
俺はどうやら夢を見やすいらしい。
毎日と言って良いほど、色んな夢を見る。見てしまう。
その夢は、悪夢だったり、俺の願望だったり、凄くいい夢だったり──様々で。
悪夢だったら『まだいい』。
現実の辛さとそんなに変わらないから。
だがいい夢だとどうだ?
現実との違いに嫌になる。
俺はこの夢みたいな世界を望んでいた──俺は好きでこんな──何で──どうして。
色々な考えが頭を駆けめぐる。
これさえなければ、かなり精神的に楽なのだ。
だから俺は思う。
夢を見たくないと。
俺は最近学校に行っていない。
学校なんて、行くだけ無駄だ。
どうせいつも毎日、同じ事の繰り返しで……
靴を隠される?ああ、日常茶飯事だな。
無視される?……いつからだっけ?覚えてないな。
あいつらは俺が居なくてどうだろうか?
邪魔者が来ないだけであいつらはいいだろう……
それか暇潰しできなくて憂鬱か?
興味なんて無いけどな。
俺はそう考えながら、パソコンを弄っていた。
いつも行く掲示板。
ここになら、俺の居場所がある。
まあいつどうなるか解ったモンじゃないから警戒は解いていない。
文面ではフレンドリーに。心の奥底では疑い続ける。
それが俺。
その時、俺はある書き込みを見つけた。
『そういえば──さ、夢が苦手だって言ってなかったか?』
俺宛だ。
ああ、そういえば言ったな。
『言ってたけど、それがどうかしたのか?』
俺はそれに返信する。
するとすぐに答えが来た。
もしかして暇なのか?俺もだから他人のことは言えないけど。
『何かさ、夢を消してくれるっていうのがあるみたいだよ』
『聞いたことはあるけど、詳しくは知らないな』
それにまた返信。
『夢喰っていうの、──知らないか?』
それか。
以前聞いたことはある。
だが、下らない都市伝説だと思って聞き流していた。
そいつの話によると、どうやら呼び出し方とかいうのがあるらしい。
そいつに「その呼び出し方を教えてくれ」と返信する。
まさか「夢喰さんお願いしまーす」なんて電話かけろ、とか──それはないか。
俺はそいつから『夢喰さん』の呼び出し方を教えて貰った。
そして今俺は、それを試そうとしている。
2時まで起きているのなんか、何の苦でもない。
俺にとっての午前2時は、朝の10時と同じ事だ。
時計の針が2時へ動く。
俺は呼び出すための呪文のような言葉を呟く。
「っと……夢喰、さん」
「どうか俺の夢を」
「俺の夢を──……消してくれッ……!」
もう、苦しみたくないんだよ──!
俺は伏せていた顔を上げる。
目の前に掛けられている壁掛け時計の針が、2時5分になっている。
それを見た瞬間、俺の身体の力が抜けた。
俺は耐えきれず、その場に座り込む。
クソッ──
やっぱり嘘だったんじゃないか……
俺がため息をついたときだった。
──カラカラ…
どこかから、窓を開けるような音が聞こえた。
『す、すみません──遅れました』
肩で息をしながら、そいつは絶え絶えに言った。
そいつが居るのは、俺の部屋の窓。
「あんた、誰だよ?こんな時間に…不法侵入で訴えるぜ?」
『それは誠に申し訳ございません。今日は少し『仕事』が多くて』
……俺は何を分かり切った質問をこいつにしているんだ。
こいつを呼んだのは──俺じゃないか。
「仕事か──ご苦労な事だ、夢喰サン」
『今日の仕事は君で終わりですから、大丈夫ですよ。』
『──初めまして。夢喰です』
分かり切ってはいたが、その名前を本人から聞き、俺は無意識の内に笑っていた。
「あんた、本当に──」
『ええ、夢を消してくれと言うのなら』
笑ったままで答える夢喰に、俺は言った。
「俺の夢、全部全部何もかも──消してくれ」
俺の言葉に、夢喰は意外そうな顔をした。
『全部を消してくれとは、珍しい……君はそれでいいのですか?』
「何がだ?」
『君は今まで、今でも辛い状況に居るようですが……未来もそうだと言えるでしょうか?』
「言えるね」
『夢が無くても君は──生きていけますか?』
「逆に夢があるから生きていけないな。ただ辛いだけさ」
『──君は、大人になってから……後悔しませんね?』
「後悔?そんなモンする訳ないだろ?」
『……解りました。』
夢喰は微かに悲しそうな表情をしたが、俺はそれを軽く受け流した。
その日から、俺は夢を見なくなった。
凄く、気持ちが楽になった。
『この時』は……
今、俺は大人として、社会人として、生活している。
だが、何にもやる気を見出せない。
あの頃よりは凄く……いいはずなのに。
会社の奴から信頼されて、幸せなはずなのに──
何でこんなに、俺は辛いんだ?
今、俺は会社のビルの屋上に居る。
下を見下ろす。
誰も居ない。誰も、誰も。
俺は答えを見つけたんだ。
「あんたの言ったことが──正しかったよ……夢喰サン」
あの頃の俺は、なんて馬鹿だったんだろう。
だが、今思っても後の祭りだ。
今の俺に、『夢』はない。
今の俺に
その日、俺は世界から姿を消した。
仕事の時間のようですね?
今日の依頼人さんは、少し不思議な人ですが……
──チッ
また今日も……
夢なんて見たくないんだ
誰でもいい。誰でもいいんだ。
俺の夢──
夢喰 2
単刀直入に言う。
俺は夢が嫌いだ。
悪夢なんて以ての外だし、というか、夢自体が嫌いなのだ。
何故?
俺の周りの人間──といっても、母や家族だけだが。みんなそう聞く。
答えは簡単だろ?
「現実との違いに絶望するんだよ」
俺の定型文。
小学時代から虐めに遭って?
その時の友達から裏切られて?
中学に行って友達できたと思えば裏切られて?
高校行っても──変わらなくて?
俺はもう、現実なんてこんなモンだと思っている。
腐っていて、馬鹿げている……
でも現実を割り切れない。
女々しいな、俺……
その理由は簡単だ。
俺はどうやら夢を見やすいらしい。
毎日と言って良いほど、色んな夢を見る。見てしまう。
その夢は、悪夢だったり、俺の願望だったり、凄くいい夢だったり──様々で。
悪夢だったら『まだいい』。
現実の辛さとそんなに変わらないから。
だがいい夢だとどうだ?
現実との違いに嫌になる。
俺はこの夢みたいな世界を望んでいた──俺は好きでこんな──何で──どうして。
色々な考えが頭を駆けめぐる。
これさえなければ、かなり精神的に楽なのだ。
だから俺は思う。
夢を見たくないと。
俺は最近学校に行っていない。
学校なんて、行くだけ無駄だ。
どうせいつも毎日、同じ事の繰り返しで……
靴を隠される?ああ、日常茶飯事だな。
無視される?……いつからだっけ?覚えてないな。
あいつらは俺が居なくてどうだろうか?
邪魔者が来ないだけであいつらはいいだろう……
それか暇潰しできなくて憂鬱か?
興味なんて無いけどな。
俺はそう考えながら、パソコンを弄っていた。
いつも行く掲示板。
ここになら、俺の居場所がある。
まあいつどうなるか解ったモンじゃないから警戒は解いていない。
文面ではフレンドリーに。心の奥底では疑い続ける。
それが俺。
その時、俺はある書き込みを見つけた。
『そういえば──さ、夢が苦手だって言ってなかったか?』
俺宛だ。
ああ、そういえば言ったな。
『言ってたけど、それがどうかしたのか?』
俺はそれに返信する。
するとすぐに答えが来た。
もしかして暇なのか?俺もだから他人のことは言えないけど。
『何かさ、夢を消してくれるっていうのがあるみたいだよ』
『聞いたことはあるけど、詳しくは知らないな』
それにまた返信。
『夢喰っていうの、──知らないか?』
それか。
以前聞いたことはある。
だが、下らない都市伝説だと思って聞き流していた。
そいつの話によると、どうやら呼び出し方とかいうのがあるらしい。
そいつに「その呼び出し方を教えてくれ」と返信する。
まさか「夢喰さんお願いしまーす」なんて電話かけろ、とか──それはないか。
俺はそいつから『夢喰さん』の呼び出し方を教えて貰った。
そして今俺は、それを試そうとしている。
2時まで起きているのなんか、何の苦でもない。
俺にとっての午前2時は、朝の10時と同じ事だ。
時計の針が2時へ動く。
俺は呼び出すための呪文のような言葉を呟く。
「っと……夢喰、さん」
「どうか俺の夢を」
「俺の夢を──……消してくれッ……!」
もう、苦しみたくないんだよ──!
俺は伏せていた顔を上げる。
目の前に掛けられている壁掛け時計の針が、2時5分になっている。
それを見た瞬間、俺の身体の力が抜けた。
俺は耐えきれず、その場に座り込む。
クソッ──
やっぱり嘘だったんじゃないか……
俺がため息をついたときだった。
──カラカラ…
どこかから、窓を開けるような音が聞こえた。
『す、すみません──遅れました』
肩で息をしながら、そいつは絶え絶えに言った。
そいつが居るのは、俺の部屋の窓。
「あんた、誰だよ?こんな時間に…不法侵入で訴えるぜ?」
『それは誠に申し訳ございません。今日は少し『仕事』が多くて』
……俺は何を分かり切った質問をこいつにしているんだ。
こいつを呼んだのは──俺じゃないか。
「仕事か──ご苦労な事だ、夢喰サン」
『今日の仕事は君で終わりですから、大丈夫ですよ。』
『──初めまして。夢喰です』
分かり切ってはいたが、その名前を本人から聞き、俺は無意識の内に笑っていた。
「あんた、本当に──」
『ええ、夢を消してくれと言うのなら』
笑ったままで答える夢喰に、俺は言った。
「俺の夢、全部全部何もかも──消してくれ」
俺の言葉に、夢喰は意外そうな顔をした。
『全部を消してくれとは、珍しい……君はそれでいいのですか?』
「何がだ?」
『君は今まで、今でも辛い状況に居るようですが……未来もそうだと言えるでしょうか?』
「言えるね」
『夢が無くても君は──生きていけますか?』
「逆に夢があるから生きていけないな。ただ辛いだけさ」
『──君は、大人になってから……後悔しませんね?』
「後悔?そんなモンする訳ないだろ?」
『……解りました。』
夢喰は微かに悲しそうな表情をしたが、俺はそれを軽く受け流した。
その日から、俺は夢を見なくなった。
凄く、気持ちが楽になった。
『この時』は……
今、俺は大人として、社会人として、生活している。
だが、何にもやる気を見出せない。
あの頃よりは凄く……いいはずなのに。
会社の奴から信頼されて、幸せなはずなのに──
何でこんなに、俺は辛いんだ?
今、俺は会社のビルの屋上に居る。
下を見下ろす。
誰も居ない。誰も、誰も。
俺は答えを見つけたんだ。
「あんたの言ったことが──正しかったよ……夢喰サン」
あの頃の俺は、なんて馬鹿だったんだろう。
だが、今思っても後の祭りだ。
今の俺に、『夢』はない。
今の俺に
その日、俺は世界から姿を消した。
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ソルジャー1st
趣味:
妄想!
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こちらは更新凍結しました
サイトにて活動中。
手描きブログ。
FF、DMC、TOAをメインにやる予定だったのに何かオリジナル増えそう。
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