魔界に堕ちよう 手向けの花 忍者ブログ
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───少し昔の話をするけどな

俺が、19歳の頃の事なんだが…
今までずっと連絡が取れなかった兄から、連絡があったんだ。
兄が生きてるって知って、本当に俺嬉しかった。
その知らせを教えてくれたのは、何か訳の分からない本を持った奴だったんだけど。
それでも俺は嬉しかった。

俺は兄に少し贈り物みたいなものをしようって考えたんだ。
久しぶりに会うんだし、俺は元気ですっていう意味も込めてな。
何にするか考えたんだけど…
兄はアクセサリーとか本当に興味ない奴だったから、俺は無難に…って、何が無難か
全く解らないけど、花にしたんだ。
珍しい感じの薔薇の花を渡そうと思ってさ。

俺はその薔薇を持って待ち合わせの所に急いだ。
枯れちゃうんじゃないかと思って、ヒヤヒヤしながら。
まあすぐに枯れるわけはないんだけど、本当に焦ってた。
だって唯一の肉親と会えるんだぞ?
凄く嬉しくて、今すぐにでも会いたいと思ったんだ。

その待ち合わせの場所に、兄は立ってた。
凄く寂しそうに、独りで。
俺はすぐ駆け寄ったよ。

そしたら、あっちも焦ってたんだろうな…
滅茶苦茶ビックリして俺のこと突き飛ばしてさ。
俺は吹っ飛んだ。
そりゃ痛かったさ。痛かったよ、凄くな。

でも少し嬉しかった。
───ああ、あんただなって思ったんだよ。


その後、色々なところを回った。
俺はまだ、花を隠したまんま。
会えて良かったぜ!って言って、最後に渡そうと思って。

でも


渡せなかったんだ



途中で怖じ気づいたとかじゃない。
兄が、な───


帰り際
俺は隠してた薔薇の花を取り出した。
「なあ    …これ、さ───」
瞬間にいきなり俺を突き飛ばしたかと思うと、兄は



深い、闇の中に堕ちてった



その闇に堕ちた兄を追うように、散った薔薇の花びらが風をはらんで落ちていくのを
俺はずっと立ち尽くしたまま見てた。


闇の中に堕ちた、青い薔薇の花片


あんたの色によく似た色



出会いを喜んで用意した花は



「手向けの花」

何がしたかったのww


バージルのコートと青薔薇をかけたかっただけw

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