魔界に堕ちよう あれ、もう50話? 忍者ブログ
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50話とかうそだああああああああああああああ(ry
まだあれだろ、まだあれだよ、まだ序盤だよ…!!うああ^p^p^pp^




RELAYS - リレイズ - 50 【郷愁】

「——それから、戦い方を学びながら今まで生きてきた、それだけだ。こんな話をしても解らないだろうが。……分かり易くまとめる。七歳の頃に都市の連中が攻め込んできた、そして目の前で父親と母親を殺された、そのせいで力が暴走した」
ソーマはそこで一呼吸置くと、続ける。
「そこに来た機関の奴等に『保護』された、そして今、だ」
想像していたよりも、重苦しく哀しい過去だった。自分なりに覚悟して、良く考えてから訊いた筈なのに、自分は軽い気持ちで訊いてしまったのではないかという感覚に陥る。
「……どうやら、町の人間が勘違いしたらしいな、この墓石は」
片膝をついて屈むと、ソーマは白い墓石に刻まれた自分の名前を指でなぞるように撫でながら笑い混じりに零した。それはいつもの嘲笑ではなく、何となく楽しげな笑いにも聞こえた。もしかすれば、これは自嘲なのかもしれない。
「……あの死神の恋、その昔話より滑稽だろう?」
「そんな事思う訳……って、聞いてたのか?」
明らかに自嘲と解る笑みで口許を飾りながら、彼は喉の奥で嗤う。
アーシラトが言葉に出した、彼が生きた時間の内ほんの少しの過去。それをソーマも聞いていたらしい。
「聞いていた、というよりは聞こえたと言った方が正しいかもしれないが」
ソーマは立ち上がると、黒い柵に囲まれた墓地の出口に向かって歩き出した。
「お、おい、どこ行くんだ? 宿とか解らないんじゃ……」
勿論俺も解らない。ただ幾らソーマが以前この町で暮らしていたと言っても、11年も離れていたのだから町の造りも少なからず変わっている筈だ。
「……この町に宿は一軒だけだ、すぐに解る」
足を止めることなく答えた彼の背中から視線を外し、もう一度墓石を見る。
墓石には、花束も何も置かれてはいない。ただ、一つ気付いたことがあった。
「……彼岸花?」
一輪だけ、微かに吹く冷たい風に赤い花弁を揺らしている彼岸花が供えられていた。先程から何度も見ていた筈なのに、気付かなかった。
ソーマを知っている誰かが置いていったのだろうか? もしくは——ソーマ自身が置いていったか。
もし彼自身が置いていったのなら、何か意味があったのか。何を思っていたのか。
俺には何も解らなかった。
ただ、ソーマの事だから何かしら意味があっての事だろう。……花言葉、とか。
彼岸花の花言葉は、確か『悲しい思い出』だった気がする。勿論、どこかで聞いただけで本などを見たわけではないのだから曖昧だが。
ソーマに視線を戻せば、この町の大通りに向かっているようだった。
一瞬追いかけるかどうか迷ったが、結局彼と同じ方向へと小走りで走り出した。

俺とソーマは、並んで大通りを歩いていた。例によって会話はない。
大通りというせいもあるのか、先程の教会周辺に比べれば人は多い。といっても、30人も居ない程度だが。
「……何故ついてくるんだ」
「……いや、何となく。それに宿向かうには大通り通るしかないかなと思って」
他の所からも行けるには行けるだろうが、大通りを通るのが一番早い筈だ。そう考えてここを歩いているのであって、偶然ソーマと行き先が一緒になったというだけだ。
これが本心だが、言えば色々と必死で誤魔化しているように取られる可能性が高いから言わないでおく。
彼は盛大に溜め息を吐くと、苛立ちを隠すこともなく俺に視線を向けた。
「貴様は毎度のように」
「勝手にしろって言ったのはソーマだぞ? 俺はその言葉通り『勝手に』ついてきてるだけだって」
ソーマの言葉を遮って言うと、彼が眉を顰めるのが解った。俺は間違ったことは言っていない。と思いたい。
それにしても、戦いの爪痕が町に殆ど残されていない。11年も経っていれば、これくらいは普通なのだろうが、軒を連ねる家々や店も、殆ど今まで見てきた物と変わらない。
耳を澄ませば、本当に楽しそうな談笑の声も聞こえてくる。
それでも、この町が一度壊滅状態にまで追い込められたのは変わらない。たくさんの人間が死んだ事実も。
溜め息を吐こうとした瞬間、突然ソーマが足を止めた。
「どうし……」
「黙れ」
何故突然そんな事を言われなければならないのか、と反論したくなったが、ソーマがある一点を睨んでいる事に気付く。
訝りながらもそちらに視線を向ければ、そこにはある一軒の店の前で何やら店主と話をしている白と黒の背中、それに黒混じりの赤髪を高い位置で一まとめにしている、右腕が黒を基調とされている義手の男、その二人の姿があった。
「まさか……!」
つい数分前まで頭の片隅にもなかった不安や戸惑いが、一気に膨れ上がる。
汚れ一つない執事服に、雪のように白い長髪。その背格好は、あの郊外戦で一目見ただけの支配者——マーヴィンの側近であり執事であるアレスだった。
その隣に居るのは、服装は違えどイーナの幼馴染みであるザクストに違いない。
何故こんなところに居るのかという戸惑い、それにまたここで戦うつもりなのかという疑問が浮かんでは消えていく。
何も出来ずに立ち尽くしている内、彼は用事を終えたのか店の前から立ち去り、こちらに歩いてきた。まだ俺達には気付いていないらしい。
丁度2,3メートル辺りにまで近づいたところで、二人はようやくこちらに気付いたように視線を俺達に合わせてきた。
「——何だ、あの時に居た奴等か。何故貴様等がここにいる?」
「それはこっちの台詞だ! 何でここに居るんだよ!」
アレスはまるで人形のように表情一つ変えずに口を開いた。
「別に誰がどこに居ようが勝手だろ? それまで口出しされる謂われはないね」
困ったような口調と声音ではあるものの、ザクストの口許には小馬鹿にするような笑みが浮かんでいる。
「……またこの町を壊しに来たか」
いつもよりもはっきりとした声で、ソーマは真っ直ぐに彼等を見据えたままで言った。
「壊すだと? 何の……ああ、11年前のあれか。あれはこの町がこちらの要求に応じなかったから。……だそうだ」
余りにも理不尽な動機、理由だった。ソーマの瞳に明らかな殺意が宿り始めているのが見なくても解る。
「誤解を招かない為に言っておこう。あの時の戦いはマーヴィン様の祖父に当たる人間が独断で起こした行動であり、私もあの方も何ら関係はない、とな。……まあ、その頃にはあの方はまだ10歳にも満たない子供だったのだから解るだろうが」
微かに口角を吊り上げ、アレスはすぐさま付け足した。その横で、ザクストは『何が何だか解らない』と言ったように視線を背けている。
「それに、あの方はこの町を気に入っているようだぞ?」
今度は何かを含んでいるような意味深な笑みを形作ったアレスの手には、茶色の小さな紙袋が乗っていた。
「何かそうらしいな。この町の紅茶が一番気に入っただのどうのこうの、って前すっげー楽しそうに話してたぜ? ま、そこは安心していいんじゃねぇの」
欠伸をかみ殺した声で言う彼は、声と同じく本当に興味がなさそうだった。敵だというのに、その態度には刺々しさや殺意は微塵もない。
「今は貴様等を殺せという命令は出ていない。行け」
ここは戦わずに見逃す、という意味での言葉だろうか。それ以外に意味はない筈だ。
「……あーちょっと待て。オイ、オッドアイ。少し訊きたい事がある」
「何を……って、うわっ!」
ザクストは何か思い出したらしく制止すると、俺の了承など取らずに左手で手首を掴むと歩き始めた。離れるということは、聞かれたくない、聞かれてはまずいという事に違いない。
ある程度離れた位置に来ると、彼はようやく俺の腕を離してくれた。
「……何なんだよ、いきなり」
「別に大したことじゃない。1分もあれば十分足りるくらいの事だ」
ザクストは俺に背中を向けている為、どんな表情をしているのか窺えない。
そんな状態で、彼はやっと聞き取れる程度の呟きにも似た小声で問いかけてきた。
「……アイツは、……イーナは元気か」
「え?」
全く予想していなかった問いだった。イーナとザクストが幼馴染みという関係なのは知っていたが、この質問は考えていなかった。
ただ、これくらいの事ならば答えても大丈夫だろう。戦いに発展する、なんてことはなさそうだ。
「……ああ、元気だよ。あれからこれといって大きな戦闘はしてないから怪我もしてない」
アーシラトとの戦いはそれに入るのかどうか解らないが。ただあれは入らないと個人的には思う。
彼に応戦していたのはサイラスにファンデヴにラスターさん、それにソーマだ、最終的に動きを封じたのはダグラスさんだ。イーナは一時的にアーシラトの動きを止める程度の物だったから。
「そうか。……ならいい。それだけだ。殺されない内に逃げとけよ」
「っ、誰がだよ!」
「冗談冗談。……次に会うときは敵同士だ、こっちは問答無用で行くからな」
安堵したような響きを持った肯定に若干こちらが戸惑ったが、すぐに放たれた言葉によってそれもどこかに吹き飛んでしまった。
それだけを言い残し、ザクストは右手を軽く振るとアレスの元へと戻っていった。
ほぼ同時に、ソーマもこちらに歩いてくる。どうやらソーマもアレスと何か言葉を交わしていたらしかった。
「……敵を案じるか。馬鹿のする事だな。行くぞ」
「いやそれは……って、また聞こえてたのか」
これまで聞こえていたなんて、どこまでソーマは地獄耳……いや違う、聴力がいいのか。偶然か?
ソーマと同じ歩幅で歩きながら、そんな事を考えてみる。
「貴様の答えた内容で大体は把握した」
「……要するにアイツの声は聞こえなかったから質問の内容は解らなかったけど、俺の答えで大体質問が解ったって事か」
確かに俺は普段通りの声のトーンで話していた。それにしても、良く気がつくな。
不意に顔を上げると、進む先から黒い影がこちらに向かって歩いてきていた。
「って、シェイド大佐? 何で歩いてるんですか? 宿居るんじゃ……」
「ここに居たのか……いや、その事だが。お前達二人の分も部屋を借りようとしたら本人が来てくれないと駄目だと言われてな。それで探していた。30分以内に連れてこなければ拒否する、とも言われた」
「え、じゃあすぐ行かないと……って今はどうなってるんですか?」
誰かが宿で話し合ってくれていたりするのだろうか。それとも何もないのだろうか。解ることは『すぐに行かないと今夜は野宿になるかもしれない』、これだけだ。それだけは勘弁して欲しい。
「ああ、今はラスターが丁度——」
シェイド大佐が言いかけたとき、丁度俺達の横を歩いていた一人の男がぴたりと足を止めた。
「——ラスター?」
男は黒髪をオールバックにしてボタン式の黒コートを着込んでおり、眼差しはサングラスで隠されている。
彼はシェイド大佐の顔を見据え、問う。
「……ラスター……、ラスター=ダーグウェッジか?」
「……ああ、そうだが。それがどうした? まさか知り合い……」
「知り合いだと? そんな単純な関係じゃねぇよ。もっと——いや、何でもねぇ。……悪かった」
突然問いかけてきた男は、一度眉根を寄せて口にしようとしたが取り消すと、謝罪の言葉を残して俺達とは反対方向に歩いていった。
「……何だったんだ?」
「オレと違って交友関係の広いあいつの事だ、友人か何かだろう。……時間がない、行くぞ」
ここで思案していても時間が過ぎるだけだ。今やるべき事をしなければならない。
走り出したシェイド大佐に続いて、俺とソーマも走り出した。
振り返ることも何もしなかった為に確認はできなかったが、後ろで先程の男が何かを呟いている気がした。

「……ラスター、か」
男は先程聞いた名前を反芻しながら町中を徘徊していた。
瞳はサングラスに隠されている為解らないが、身に纏っている雰囲気が異常に重く、他人が容易に近づけるような雰囲気ではなかった。
「……何でいつもこうなんだよ……!」
手を強く握り締め、思い詰めたような低い声で呟く。
「——アイツがあの……クソッ、……何なんだよ!」
悲痛、とも取れる男の叫びは、虚しく町に反響して掻き消えた。




いやもうなんていうか、伏線張るのが難しくて仕方ないわ!

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