魔界に堕ちよう 56話ー 忍者ブログ
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パソコン落ちて文章消えた\(^o^)/
でも頑張ります、うう(´・ω・`)何でこうも消えやすいの…




RELAYS - リレイズ - 56 【兄弟】

「——な……そんな、オレは知らねぇぞ!」
「テメェが知らなくても事実は変わらねえんだよ! ……何だ、もしかして聞かされてねえってか?」
未だに事実を受け止めきれず、狼狽するラスターさんを怒鳴りつけ、アノードは低く問いかけた。
「……悪いが、父さんや母さんからお前の存在は聞かされていない。……その前に、お前がオレ達の兄弟だという証拠はどこにある? 黒髪黄色目、確かにオレ達と同じだ。だが、それだけでは信用に足らない」
彼の外見は二人ととてもよく似ている、それだけでも十分証拠となり得そうだったが、決定的な証拠が足らない。シェイド大佐は、ラスターさんに比べたら酷く落ち着いた様子でアノードにその証拠の提示を求めた。
アノードはラスターさんよりも薄くシェイド大佐よりも濃い黄色の眼を細め、青い軍服の襟元から何かを取り出すとそれを無造作にシェイド大佐に向けて放り投げる。
それを落とさないように上手く掴み取ると、シェイド大佐は訝りながら呟いた。
「ネームプレート……?」
どうやらそれはチェーンで首にかけられる金属製のネームプレートらしく、月明かりを受けて鈍く光っているのが数歩程後ろに立っている俺からも見えた。
「『Anode=darghwege』……!?」
そこに刻まれていた名を口に出したシェイド大佐の声は、明らかに狼狽を含んでいた。
これで、アノードが彼等の血縁であるという事は確固たる物へと変わる。
「……テメェ等の姓と同じだろうが! 同姓がこの世界にどれだけ居ると思ってやがる! これで信じる気になったか!?」
自分の名を名乗ったときから、アノードは声を荒げたままだ。余程の怒り、憎悪、殺意が、その言葉の端々から滲み出ているのが俺でも解った。
「……ここまでされれば、信じる他無いな」
シェイド大佐は諦めたように息を吐くと肩の力を抜き、俺の位置からは見えないが、恐らくアノードに視線を合わせる。
「……アノード、お前は先程ラスターと双子の兄弟だ、と言っていたか。そうなると、お前とラスター、どちらが兄という立場になる?」
「知るか、そんなのどうだっていい。兄だと思いたきゃ勝手に思ってろ。その代わり、オレを兄なんて呼ぶんじゃねぇ」
ラスターさんは未だに戸惑っているようだが、それでも懸命に事実を受け入れようとしている。
アノードは吐き捨てると、未だに下がったままだった髪の毛を片手で掻き上げ、元のオールバックに戻した。
大きく息を吐く。それは深い溜め息にも聞こえた。
「……オレは感動の再会なんてクズみてぇなモンをする為にテメェ等を捜してた訳じゃねえよ」
この状況で、感動の再会なんて言えるわけがない。アノード自身が喜んでいないのだ。何より、彼の発している殺気が証拠だ。それはシェイド大佐やラスターさん達も同じらしく、初めて会った自分達の兄弟が発する半端ではない殺気を感じ、少ないながらも警戒心を見せている。
アノードは鞭を持ったまま一歩踏み出し、再度嘲笑を浮かべた。
だが、俺にはそれが何故か自嘲にも見えてしまった。
「まぁ、まずは何でオレがテメェ等と生き別れるなんて事になったのか教えてやるよ。……俺は産まれて数日くらいしか経ってない状態で小さい孤児院の前に放置されてたそうだ」
唐突に自分の昔話を始めたアノードに、俺達もシェイド大佐とラスターさんも若干驚きながらも話を聞く。
誰も相槌や口は挟まなかった。彼自身もそれを望んでいないことは解る。
「ネームプレートのおかげで名前は解った、だがそれ以外は解らない、何故ここに放置されているのかも解らない。オレは孤児と同じ扱いさ」
何者かに誘拐されたのか、それとも彼等の両親がアノードを捨てたのかは解らない。尤も、オレが理解できるわけもない。
「……オレが孤児院で暮らしてる間、テメェ等はどうだった? オレを捜しもしない両親と一緒にヘラヘラ笑って楽しかったか?」
今まで黙っていたラスターさんが顔を上げ、アノードに向かって口を開く。
「違う! 確かに親父は馬鹿だし母さんは天然だ。でもアンタを捨てるような、子供を見捨てるような親じゃない!」
「じゃあ何でオレを捜さなかった!? 何でテメェ等はオレの存在に気付かなかった!?」
アノードは二人を睨み、鞭を持つ手に力を込める。自分の中から溢れ出そうとする激情を押さえようとするように。
「解ったような口を利くんじゃねえよ……オレは親の愛情も何も知らない!! 居場所を奪われたんだよ!!」
荒々しく吐き捨てられた言葉。それが震えていて、僅かに上擦っているように聞こえた。それに、アノードの目は月明かりに照らされている状態でも揺れているのが解る。
「……オレが居なくてさぞかし楽だったろ? 『シェイド兄さん』?」
先程からアノードが並び立てている皮肉に、シェイド大佐は何も言わずに彼の目を見据えていた。それは肯定にも否定にも見える。どちらなのかは解らない。
「——何だ……答えろよ! そんな目でオレを見るんじゃねぇ! 同情なんて要らねえんだよっ!!」
今までの物とは違う、荒々しいながらも悲痛な罵声だった。それはまるで、今まで孤独に生きてきた彼が上げる悲鳴のようだった。
「……オレの分の愛情、全部テメェ等が受け取っただろ……テメェ等に奪われたんだ!」
完全な逆恨みだった。確かにアノードにとってはそうかもしれない、だがシェイド大佐達は彼の存在すら解らなかったのだ。今突然会ってそんなことを言われても、何をどうすればいいのか解らないに違いない。
「オレを捨てた親も、もし誘拐されたのだとしてもオレを捜さない親も、ヘラヘラ笑ってのうのうと生きてるテメェ等も! 気に入らねえんだよ!!」
今のアノードを突き動かしているのは——恐らく、嫉妬。そしてそれ以上と思われる憎悪。それが彼を動かしている。
アノードは何かを振り払うように腕を振り、荒くなった息を整えながら二人を睨み付けた。
「……シェイドにラスター、ダーグウェッジ家の人間共、オレはテメェ等を殺りに来たんだよ。この意味が解るか?」
生き別れた兄弟が、自分達を殺す為に自分達を捜していた。その事実に、シェイド大佐とラスターさんが息を呑んだのが解る。
彼等と俺は赤の他人、勿論関係はないが、俺も驚いていた。まさかここまではっきりと『殺す』なんて言葉が出るとは思ってもいなかったのだ。
「ダーグウェッジ家の血縁は全員殺す。父親も母親も、テメェ等もだ」
「待て、それならばお前もだろう! 育ちは違えど、今まで会った事もなかったとはいえ、お前もオレ達と同じダーグウェッジ家の人間だ!!」
「解ってるさ、ンな事は! 全員殺してから、オレも自分で死んでやるよっ!!」
最早、アノードには口で何を言っても通じないという事を悟ったのか、ラスターさんは細く長く溜め息を吐くと、彼に向き合うようにして前に出た。
「……アンタが今用あるのはオレなんだろ」
長剣の柄を握る手に力を込め、ラスターさんはアノードの視線を真っ向から受け止める。
彼はそんなラスターさんを見て笑い、同じく鞭を持つ手に力を込めた。
「ああそうさ! テメェから殺してやるよ、愚息!!」
彼の黒い一本鞭が空を切り、鋭く高い音を辺りに響かせた。それが合図だったかのように、ラスターさんも長剣を構え直す。
そのまま戦うのかと思ったが、アノードは思い出したように俺達に視線を向けた。
「——テメェ等は下がれ。テメェ等に興味はねぇし用もねぇ。……っと、その前にだ」
何を思ったのか鞭を腰に戻し、アノードは片手を上げる。それが何を示すのか解らず、俺は軽く首を傾げる。
「誰でもいい、何でもいい、武器を貸せ。さすがに剣相手に鞭は使えねえ」
確かに、剣を使う相手に対して鞭では分が悪い。
だが、だからといって俺の持っている闇霧を貸すわけにもいかない。そもそも、貸すこと自体が出来ないのだ。他の人間に対しては、闇霧を鞘から引き抜く事すらできないのだから。
ソーマやサイラスがどうなのかは解らないが、他人が扱えないということだけは解る。
「……アノード、銃は扱えるか」
シェイド大佐が、腰の拳銃に手を掛けて問いかける。だが、アノードは彼に顔も向けなかった。
「使えたら苦労しねえよ、できれば剣——ああ、丁度良い。赤髪、サーベル貸せ。一本でいい」
一蹴すると俺の後ろにいたファンデヴに言い、アノードはファンデヴに歩み寄る。
彼女は少し迷ったようだが、それでも自分の腰からサーベルを引き抜くと彼に手渡した。
アノードはサーベルの柄を握り、数度素振りをすると鈍く光る刀身を見つめて薄く獰猛そうな笑みを見せた。
「……さあ、始めるとするか」
彼はラスターさんと数メートルほど間合いを取り、切っ先をラスターさんに向けて言った。
「——ラスター」
間合いを詰める為一歩近付こうとしたラスターさんに、シェイド大佐が静かに口を開き、告げる。
「……何だよ?」
「……『約束』は覚えているだろうな? ……死ぬなよ」
約束、という言葉に彼は僅かに瞠目した後、寂しげにも見える微笑を浮かべて頷いた。
「話は終わったか? さっきの言葉、遺言にしてやるぜ」
挑発的なアノードにラスターさんは言葉も何も返さずに向かい合うと剣を構え、切り掛かった。
それを片手で構えたサーベルで受け止め、二人は鍔迫り合いの状態で睨み合う。彼等の周りだけ別次元のようにも思えてしまう程に、周辺の空気が張りつめている。
それにしても、先程の『約束』とはどういう意味なのだろうか。死ぬな、という言葉にも、何か関係があることは解る。
自分にそれを知る権利はない。それでも気になった。
訊いていいものか若干躊躇ったが、俺は隣に立っているシェイド大佐に視線を向けた。
「……シェイド大佐、訊いても大丈夫ですか?」
「何がだ? 別にそう前置きしなくても大丈夫だ」
「いや、さっきの『約束』ってどういう事なのかと思って」
シェイド大佐は怪訝そうに俺を見返してきたが、すぐに小さく笑い声を漏らした。
「何だ、その事か。別に大した事じゃない。ただ、教えるには少し長い話になる。それでも構わないなら説明するが」
どうする、と続けて言われ、俺はアノードと切り結んでいるラスターさんを横目で見た後に頷いた。
「解った。どこから話せば……ああ、丁度オレが軍人になろうと決めた所からで良いか」
シェイド大佐は懐かしそうに目を細め、話し出した。

『——マーヴィン様。申し訳ありません。……逃がしました』
「……うん、それなら大丈夫だよ。これくらいで捕まえれるとも思ってなかったし、言わば彼の力量を測る為みたいな感じだったしね。それなのに,君には悪い事をしたかな?」
『いえ、全く。貴方の為に動くのが私の務めです』
「……ならいいんだ。さて、今度はどうしようか。……僕が行こうか?」
『わざわざ貴方が出向く程の物ではありません、この程度の事ならば私がやります』
「有り難いんだけどね、たまには僕も出てみたいんだよ。それに、彼に自分の正体も全部教えて狂う様を見るのも楽しそうだ」
『そうですか。……ただし、私も同行させて頂きます。……それと』
「構わないよ。そっちの方が君も良いだろうし——どうしたんだい?」
『命令違反者、一名発見致しました。如何致しましょう?』
「……ああ、彼の事? 別にどうでもいいよ。処分は君に任せる。どうせ、裏切るのは薄々解っていたしね」
『畏まりました。……それでは、失礼します。マーヴィン=ウィジロ=クローク様』




ずっとダーグウェッジ家のターンとか言ってみる。
この後はまた回想入るんだ…\(^o^)/

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