魔界に堕ちよう 42話ー 忍者ブログ
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アーシラトがうるさくて仕方がないwwwwww小説書くのが楽しくなってきたwwww




RELAYS - リレイズ - 42 【死神】

ファンデヴは隠し扉から勢いよく飛び出すと、ジャケットから自分の携帯電話を取り出した。
「——ダグラス?」
『え、ファンデヴ? どうしたの? 道に迷った?』
今自分達の足下で何が起こっているかも知らないままで呑気に訊いてくるダグラスに、ファンデヴは大きく溜め息を吐いた。
「……地下があった。そこでサイラスとラスターとヘメティが戦ってる」
『戦ってる……? 誰とだい?』
「死神」
『はい?』
携帯電話の向こうから、非現実的、非科学的な単語を耳にしたダグラスの間の抜けた声が聞こえてきた。
それからしばらくして、間の抜けた声が今度は戸惑いに満ちる。
『死神——まさかそんな、空想の中だけに居るみたいな生物が……』
「居る。居るんだよ。……このままじゃ、じきに三人とも……いや、自分も入れて四人、死ぬよ。殺されて」
恐らく、あのアーシラトという死神は自分を逃がしはしない。サイラスもラスターもヘメティも、三人を殺してから自分を狙いに来る。ファンデヴはそれを理解していた。
『……解った。通用するかどうかは解らないが、僕が何とかしてみる。その死神を、今僕が居る広間まで誘導してきてくれ』
「解った。多少の怪我は、させて大丈夫?」
『構わない。——ああ、それと……『解除』、していいよ。動きが鈍くなるんだろう? 誰も君を馬鹿になんてしないさ。心配しないで』
「……有り難う」
まるで父親のように優しげなダグラスの声、そして言葉に、ファンデヴは微かに笑みを浮かべて礼を言うと通話終了ボタンを押した。
携帯電話をジャケットのポケットに入れ直し、一度深呼吸をする。
彼が目を閉じると、足下に青い光で魔法陣が浮かび上がった。

「——っつーか何だよコイツ……! 幾ら切ったって倒れやしねぇぞ!!」
ラスターさんは一度後方に跳んで体制を整えてから叫んだ。
先程から、アーシラトは俺とラスターさん、サイラスに傷を負わせられている筈だ。その証拠に、黒マントは所々切り裂かれ、あるところには赤く血が滲んでいる。
それなのに、彼は倒れない。それどころ片膝を付くこともしない。明らかに異常だった。
「倒れる訳ねェだろ? もしかして知らなかったのかァ? 死神ってのは不死なんだよ!!」
それは知っている。ただ、それは時間の経過で死ぬことはない、という意味だと勝手に解釈してしまっていた。
アーシラトは、幾ら血を流しても切られても死ぬことはない。
「反則だろ、死神……」
サイラスは肩で息をしながらもヴォカーレを構えている。その切っ先は、ぶれることなくアーシラトを狙っている。
「ただ死なねェってだけで、ブッ倒れたり死にかけるってのはあるけどな。あァ、それと死神じゃなくて名前で呼んでくれよ? 俺の名前はアーシラトだ。てめェ等の名前は? 殺すときには呼んでやるようにしてるんでな」
「……解った。アーシラト、だな。俺はサイラスだ」
彼の名前を反芻し、サイラスは槍を握り直した。
アーシラトに名前を教えるのは気が引けたが、もし拒めば何があるか解らない。
「……俺はヘメティ。ファミリーネームは解らない」
「オレはラスター。ラスター=ダーグウェッジ。死んだときにはフルネームだろうが名前だけだろうがどうでもいいぜ?」
長剣を肩に担ぎ、ラスターさんは挑発的な笑みを浮かべた。
「ヘメティ、サイラス、ラスター=ダーグウェッジ。……敬意を込めて呼んでやるよ、殺してな」
「悪いけど、俺等はここで死んでなんか居られねぇんだ」
「悪いがな、俺はてめェ等を見逃すなんてできねェんだ」
ラスターさんや俺の目の前で、アーシラトとサイラスは睨み合った。
こんなに近くに居るのに、共闘している筈なのに、何故か酷く遠く感じてしまった。まるで彼等の近くだけ、空間が隔絶されているように。
突然、目の前からサイラスの姿が消え失せた。
俺達が声を上げるよりも速く、彼はアーシラトの背後へと瞬時に周り、逆手に持ったヴォカーレを振りかざした。
「——響け!」
サイラスが短く叫ぶと同時に、ヴォカーレが赤い光に包まれた。その光が槍の矛先に収束し、光が刃となってアーシラトを襲う。
「……すっげェなァ、それ……魔法か? それとも科学って奴か?」
避けようとはしたが光が掠ってしまったらしく、アーシラトは左腕から血を流しながらも訊いてきた。
「どっちでもねーよ、これはな。まあ説明は面倒だから……な」
どこか意味深に言葉を濁したサイラスに、アーシラトが眉を顰め問い返そうとした瞬間だった。
背後から、やけに軽い足音が聞こえてきた。
「お、案外早かったな、ファンデヴの奴……それに、『解除』しやがったか」
「ファンデヴか……って、解除? 解除って何をだよ?」
「ま、見てりゃ解るさ」
サイラスは口に人差し指を当てると悪戯っぽく笑い、後ろを振り返る。
「赤髪か……探す手間が省けてよかったぜェ!」
獰猛な笑みを口元に浮かべると、アーシラトは鎌を構えて俺達の横を通り過ぎていった。
その際、彼の左腕や他の傷からの血が僅かにだが飛び、俺の手やシャツに染みを作る。
こんなになってまで相手と戦いたい、いや、彼の場合は『殺したい』だが、そう思えるのが何故なのか解らなかった。
幾ら不死だからといって、自分の身体をそこまで無理に扱わなくても、酷使しなくてもいいんじゃないか。そんな気がした。
疑問に対して考えを巡らせていると不意に金属音が鳴り響き、その直後にアーシラトの狼狽したような声が聞こえてきた。
それに続いて、今度は何か硬質の物が床に落ちる音。
「この音……! やべぇぞ、伏せろ!!」
その音を聞いたラスターさんの表情が強張る。
俺は言われた通りにその場に伏せようとするが、それよりも早く、数メートル程しか離れていない廊下で爆発が起こった。
爆発によって廊下の壁は破壊され、そこから爆風でアーシラトが吹き飛ばされるの砂埃ごしに辛うじて見えた。
「な……何が起こったんだ!? 爆発なんて……」
「そんなの簡単だ、アイツが手榴弾でも使ったんだろうよ」
立ち上がり、ラスターさんはエプロンに付いた汚れを払い落としながら溜め息混じりに呟いた。俺が知らなすぎるだけかもしれないが、ラスターさんは武器屋の店主というだけあって知識が多い。
「丁度あの広間の所らしいな、ここ」
「え……じゃあソーマ達もアーシラトに見つかってるってことか!?」
「まあ、それは当然だな」
さらりと言ってのけ、サイラスは瓦礫の山を手も使わずに簡単に上り始めた。それに習って、俺とラスターさんも慎重に上っていく。
やっと上まで上り、額に流れる汗を拭い取るとアーシラトとファンデヴ、それにダグラスさん達の姿を探す。
アーシラトは、瓦礫のすぐ傍、俺達の目の前で鎌を振るっていた。
その相手がファンデヴなのかと思い、目を凝らして探すが見当たらない。
じゃあ、一体アーシラトは誰と戦っているのか。
「……ソーマ!?」
視界に入ってきたのは、銀髪に黒いロングコートをなびかせながら青白く発光しているナトゥスで応戦しているソーマの姿だった。
そこから五メートルも離れていないと思われる所では、ダグラスさんが床に手をつき、床に置いた魔術書を見ながら何かを呟いていた。
ソーマとアーシラトは一度鍔迫り合いの状態になり、お互いに弾き返すと間合いを取った。
「ソーマ!」
俺は瓦礫に足を取られないように気を遣いながら、ソーマの傍まで走り寄る。
「黙れ、そして離れろ、邪魔だ」
ソーマは俺に視線を向けないままで言い放ってきた。
「でも——」
「邪魔だと言っているんだ!」
普段ならば大声を出すなんてことがほぼ有り得ないソーマが声を荒げた。
今、自分はここにいてもソーマの言葉通り邪魔にしかならない。手助けなんてできるわけがない。
俺はその無力さを感じながら、闇霧の柄を握りしめると二人に背を向けた。
「……面白いな、今日は……一体何人入り込んでやがる?」
「知るか。知りたければ自分で数えろ」
「解ったよ。じゃあ後で数えさせて貰うぜ。その代わり、だ。——てめェは何者だ?」
ソーマは他人の事に対しては滅多に興味を示さないからないかもしれないが、それはソーマが訊きたい事だろう。
「……何者か、だと? どういう意味だ」
「そのまんまの意味さ。黒衣に巨大鎌。てめェも死神かって訊いてるんだよ。たまに居るのさ、『不完全な』死神って奴が。てめェもそれか?」
先程、アーシラトは『世界に死神なんて自分一人しかいない』と言っていた。
死神のシステム的な物については全く解らないが、それは恐らく、完全な死神としてという意味だったのではないか。
「死神か……生憎、俺は人間だ。俺のことをそう呼ぶ奴等も居るが」
機関での、関わった人間の中での、皮肉を交えての通り名、死神。それでも、ソーマはれっきとした人間だ。
「何だよ、面白くねェな……まあいいや、てめェの名前は何だ? 殺すときに呼んでやる」
「何故貴様に教える必要がある? 他人に教える事等何もない」
いつもよりも若干棘があるような口調で、アーシラトを睨みながら言った。
「クソッ……しょうがねェな。それじゃ、行くぜ? 死神モドキ」
「——その言い方は止めろ、死神。……名前が必要なら教えてやる。ソーマ、だ」
ソーマの名前を知ったアーシラトは、一度怪訝そうな表情をしたがすぐに愉快そうに口元を歪めた。
「ソーマだな。……来いよ」
その言葉が終わるか終わらないか、という時、俺の目の前でソーマとアーシラトが交錯した。




最近長いね!

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