I permanently serve you. NeroAngelo
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あーくんとソーマは一切関係ないのよ(ry
最近スランプでしにたい^p^p^p^p^p^違うのだったらさくさく書けるんだけどね!
RELAYS - リレイズ - 41 【異形の館-3】
最初この廃館に訪れたときと同じように、一同は輪を描くようにして集まった。
暫くして、遠くからやけに規則正しい足音が聞こえてきた。
「——あ、ソーマお帰り。どうだった?」
ダグラスの声に、ソーマは一度視線を彼に向けただけですぐに視線を逸らした。
「……魔術書の置いてある書斎以外には何もなかった」
言いながら、持ち出してきた一冊の古びた魔術書をダグラスに手渡す。
その横で、ラスターが頭を掻きながらぶつぶつと文句を口に出していた。
「マジかよ、オレ等もなんだぜ? 隠し部屋とか階段とかあっても良いようなモンじゃねぇか」
「オレもかなり探しはしたんだが……どうした、イーナ」
シェイドは自分の横で辺りを見回しているイーナに気付き、何か見付けたのかと問いかける。
「……今気付いたんだけど」
妙に重苦しい声で、ぽつりと呟く。
「……一人足りなくない?」
ダグラス、ソーマ、シェイド、ラスター、サイラス、ファンデヴ、そしてイーナ自身。
「——またか、あの馬鹿が」
舌打ち混じりに、不機嫌な様子を隠さずにソーマが吐き捨てる。
「そうだね……それにしても迷いやすいね、ほんと。まっ、すぐ戻ってくるよ」
「……何なら、オレが探しに行ってくる」
「大丈夫大丈夫。ヘメ君はいつもこうなんだから。どこかで道に迷ってるだけだよ」
ライフルを担ぎ直して歩き出そうとするシェイドを引き留め、ダグラスはいつも通りに笑った。
「……もしかして、隠し扉とかでも見付けて地下にでも行ってんじゃねーの?」
サイラスの欠伸をかみ殺しながら出された声に、この場にいる全員が沈黙した。
その沈黙を破ったのはシェイドでもダグラスでもない、イーナだった。
「それはないでしょ、幾ら何でも! だってあのヘメティよ? 見付ける訳がないって!」
「——それもそうだね。それじゃ、ここでちょっと待とう。それでも来なかったらみんなで探すとしようか」
「解った。……それにしても、何か……妙だな」
「え、兄サンどうしたんだよ?」
「妙って、この廃館? それとも何か違う事?」
ラスターとイーナからの質問に答えず、シェイドは足下を睨むような視線で見つめる。
「——煩いんだ、下が。まるで……誰かが斬り合っているように」
地下室を繋ぐ薄暗い廊下の中に、金属音が幾度となく鳴り響く。
容赦なく振り下ろされる巨大鎌を、俺は闇霧で辛うじて受け止め、弾き返していた。
「どうしたァ!? その刀はただの盾か!? そこにある拳銃はただの重りか!?」
怒声にも似た大声と共に来る剣劇は荒々しいが、的確に俺を狙ってくる。
当たり前のことだが、武器はほぼ同じでも使う人間でここまで変わる物らしい。ソーマとは全く違う太刀筋に、防御するしかできなかった。
鎌を受け止め、鍔迫り合いのような状態になる。
アーシラトは俺の顔を覗き込むと、鎌に更に力を込めながら口元を歪めた。
「もっと楽しませてくれよ、客人……こっちは百年くらい戦ってねェんだよ!!」
どこか恍惚とした表情で言うアーシラトに、俺は舌打ちすると鎌を弾き返した。
「アンタの事情なんて知るか! 勝手に入られたのが嫌だったなら謝る!」
「別に怒っちゃいないぜ? ただちょっと迷惑なだけさ」
彼は肩を竦めると苦笑した。死神だというのに、こういう仕草だけはやけに人間くさい。
彼が鎌なんて持っておらず、自分が死神だということを告げていなかったら、死神だなんて気付かなかったかもしれない。
「……それに俺はもうこの館を出るんだよ! 、だからさっさと帰らせてくれ!」
もうとっくに2時間は経っているだろう。早く戻らなければいけない。それに何もなかったら、この後は諦めて機関に戻る予定だった筈だ。
それを邪魔しているのは他の誰でもない、この館の主であるアーシラトだ。
俺は早く戻りたい。皆に迷惑をかけてしまうし、何よりもこれ以上この殺意に満ちた空間に居ること自体耐えられなかった。
「……さっさと帰せ? そりゃ無理な話だなァ、客人」
今まで通りの声と口調の筈なのに、どこか冷たく感じる声でアーシラトは言った。
「この俺に出会った時点で、てめェは俺に殺されて死ぬんだよ!!」
アーシラトの口元から笑みが消え、これまでとは比べものにならないような殺意が辺りに渦巻いた。
殺気や殺意という物は、空気まで震わせてしまうのか。
それを感じた瞬間、背筋に悪寒が走る。
これ以上ここに居てはいけない、逃げなきゃならないと頭では、心では解っているのに、足がその場に縫い止められたように動いてくれなかった。
視線だけを下に落とせば、闇霧を持っている右手が震えていた。
「もう抵抗する気も起きねェってか? 全く、久々の獲物だと思ったらコレだ、つまんねェったらねェぜ」
アーシラトは依然として動けずにいる俺の目の前まで来ると、鎌を振り上げた。
俺は恐怖に震えながらも、瞼を閉じずに彼を見据えていた。
「Good-bye,cowardly person.」
初めて聞いた時と同じ流暢な英語が聞こえると同時に、俺の身体に鎌が突き立てられる——筈だった。
自分の背後から聞こえる足音と、鎌が何かに受け止められる金属音。
俺の視界には、細身の長剣、サーベル、それに槍が映っていた。
それに、風圧で微かに揺れる黒髪と水色のエプロン、赤い長髪に黒ジャケット、金髪にハンター服。
ラスターさんとファンデヴが鎌を受け止めていた。
サイラスだけは、槍——彼の能力、確か名称はヴォカーレだった筈だ。その矛先をアーシラトの首に突き付けていた。
「何……ッ!?」
アーシラトが先程の大声とは打って変わって、絞り出すように驚愕の声を上げる。
「大丈夫か!?」
長剣で彼の鎌を受け止めたまま、ラスターさんは俺を振り返った。
「有り得ない、なんて事は有り得ない、か……大丈夫?」
「ったくよー、何やってんだ。俺が落とし穴見付けてここまで来なきゃ、お前死んでたぞ」
「……悪かった。でも何で三人だけ——」
「話してる暇はねぇぜ、ヘメティ」
ラスターさんは言いながら未だに残っていたらしい鎌の攻撃の流れを反らすと、一度血払いでもするように剣を振った後で構え直した。
「……こんなに客人が居るなんてなァ……主として失格か。ようこそ、愚かな客人共」
首に自分の命を奪う事が容易くできる刃物を突き付けられて尚、アーシラトの声の調子と笑み、言葉は変わらなかった。
幾度となく、このような状況を経験してきているのだろうか。それだけではない気がする。
『自分は死なない』——そんな有り得ないような事を信じている、といった感じだった。
「主……?」
「……コイツが、この廃館の主らしいですよ、ラスターさん」
「はぁ!? こんなオンボロ館に人間が!?」
ラスターさんも、俺と同じ事を口にした。アーシラトの正体が人間だ、と。
それに対して、またアーシラトがおかしそうに口元を歪め、ラスターさんに自分の正体を告げるために声を発そうとした瞬間だった。
「——違うな、お前」
やけに硬く鋭い、いつもの調子からは想像も付かない声でサイラスが口を開いた。
サイラスはヴォカーレを握る手に力を込め、睨んでいるようにしか見えない目で彼を見据えていた。
「違うって何がだよ? 猫耳のオッサン」
「……俺が人間じゃねえから解るみたいなモンだろうけどなー」
『オッサン』という単語にサイラスの額に青筋が浮かんだが、すぐに落ち着きを取り戻し、溜め息を吐いた。
それには、どこか寂寥感も含まれているように感じられた。
「お前、人間じゃねえだろ?」
まさか自分の正体をこんな短時間で見抜かれるとは思っていなかったのか、アーシラトの目が驚きに見開かれた。
だが、それもすぐに笑いに変わる。本当に彼は良く笑う。出会ってから今まで、アーシラトの笑い以外の表情なんて殆ど見ていない気がする。
「……正解だ、オッサン! よくこんな短時間で見抜いたな」
「雰囲気からして、人間とは違うからな。そりゃ解る。……見た所、悪魔とか死神辺りか?」
これには俺も驚いた。種族まで見抜く、なんて、並外れた観察眼を持っていないと不可能に近いのではないか。
「——素晴らしい! 今までで初めてだ、種族まで見抜かれたなんてなァ!!」
「……凄い。サイラスも、こいつも」
赫い目を狂気にも似た歓喜で輝かせるアーシラトを見て、ファンデヴは呟いた。俺も同感だ。どちらも凄い。
ラスターさんはまだ信じられないのか、呆然としたままだ。それが普通の反応だと思う。
そんな俺達の目の前で、アーシラトは鎌を持っていない左手を槍の矛先へと持っていき、一息に自分の手を突き刺した。
予想さえしていなかった行動に、俺を含めた全員が息を呑んだ。
彼の手の甲から流れ出ている血の色は、人間と変わらない——赤色。
「でもよォ……死神の血も赤いってのはさすがに知らねェよなァ?」
「そうだなー……知らなかったぜ、ありがとよ」
「どういたしまして。——まぁ、世界に死神なんて俺一人しかいねェんだ、その知識も役に立たねェだろうけどな」
死神というのは、人を殺して人の魂を運ぶような者だろう。確かに、そういう存在は一人だけ居れば十分だ。
アーシラトはゆっくりと手を引き抜くと、血で真っ赤に染まった己の手を見て微笑を零した。
「——成る程な……じゃあ、お前はオレ等4人を死神として殺すつもりなんだな?」
「そうさ。決まってんだろ? 黒髪」
彼は何を解りきったことを言っているんだとばかりに言うと、鎌を自分の目の前でゆらゆらと揺らす。
「……ヘメティ、やれるか? もし無理なら、オレ等だけで何とかすっから」
「……いや、やります」
ここで自分だけ戦わない、なんてできるわけがない。逃げるなんてしたくなかった。
「——ファンデヴ、お前は行け」
「……信じる。解った。死なないで」
それだけを呟くような小さい声で言い残し、ファンデヴはサーベルを鞘に戻すと凄まじいスピードで地下室を走り去った。
「ンの赤髪ッ……! 逃がすか!」
「おっと、行かせねぇよ、死神サン?」
ファンデヴを追おうと足を踏み出したアーシラトに、ラスターさんがからかうような口調で剣の切っ先を向けた。
「……仕方がねェな……てめェらを殺ってから、アイツも殺る事にするか」
赫い瞳に、今までとは違う、どこか真剣な光が宿る。
俺は闇霧を握り直し、アーシラトに向き直った。
何かアーシラトの口調ってどっかで見たことがある気がするんだが誰だっけか…うーん(´・ω・`)
最近スランプでしにたい^p^p^p^p^p^違うのだったらさくさく書けるんだけどね!
RELAYS - リレイズ - 41 【異形の館-3】
最初この廃館に訪れたときと同じように、一同は輪を描くようにして集まった。
暫くして、遠くからやけに規則正しい足音が聞こえてきた。
「——あ、ソーマお帰り。どうだった?」
ダグラスの声に、ソーマは一度視線を彼に向けただけですぐに視線を逸らした。
「……魔術書の置いてある書斎以外には何もなかった」
言いながら、持ち出してきた一冊の古びた魔術書をダグラスに手渡す。
その横で、ラスターが頭を掻きながらぶつぶつと文句を口に出していた。
「マジかよ、オレ等もなんだぜ? 隠し部屋とか階段とかあっても良いようなモンじゃねぇか」
「オレもかなり探しはしたんだが……どうした、イーナ」
シェイドは自分の横で辺りを見回しているイーナに気付き、何か見付けたのかと問いかける。
「……今気付いたんだけど」
妙に重苦しい声で、ぽつりと呟く。
「……一人足りなくない?」
ダグラス、ソーマ、シェイド、ラスター、サイラス、ファンデヴ、そしてイーナ自身。
「——またか、あの馬鹿が」
舌打ち混じりに、不機嫌な様子を隠さずにソーマが吐き捨てる。
「そうだね……それにしても迷いやすいね、ほんと。まっ、すぐ戻ってくるよ」
「……何なら、オレが探しに行ってくる」
「大丈夫大丈夫。ヘメ君はいつもこうなんだから。どこかで道に迷ってるだけだよ」
ライフルを担ぎ直して歩き出そうとするシェイドを引き留め、ダグラスはいつも通りに笑った。
「……もしかして、隠し扉とかでも見付けて地下にでも行ってんじゃねーの?」
サイラスの欠伸をかみ殺しながら出された声に、この場にいる全員が沈黙した。
その沈黙を破ったのはシェイドでもダグラスでもない、イーナだった。
「それはないでしょ、幾ら何でも! だってあのヘメティよ? 見付ける訳がないって!」
「——それもそうだね。それじゃ、ここでちょっと待とう。それでも来なかったらみんなで探すとしようか」
「解った。……それにしても、何か……妙だな」
「え、兄サンどうしたんだよ?」
「妙って、この廃館? それとも何か違う事?」
ラスターとイーナからの質問に答えず、シェイドは足下を睨むような視線で見つめる。
「——煩いんだ、下が。まるで……誰かが斬り合っているように」
地下室を繋ぐ薄暗い廊下の中に、金属音が幾度となく鳴り響く。
容赦なく振り下ろされる巨大鎌を、俺は闇霧で辛うじて受け止め、弾き返していた。
「どうしたァ!? その刀はただの盾か!? そこにある拳銃はただの重りか!?」
怒声にも似た大声と共に来る剣劇は荒々しいが、的確に俺を狙ってくる。
当たり前のことだが、武器はほぼ同じでも使う人間でここまで変わる物らしい。ソーマとは全く違う太刀筋に、防御するしかできなかった。
鎌を受け止め、鍔迫り合いのような状態になる。
アーシラトは俺の顔を覗き込むと、鎌に更に力を込めながら口元を歪めた。
「もっと楽しませてくれよ、客人……こっちは百年くらい戦ってねェんだよ!!」
どこか恍惚とした表情で言うアーシラトに、俺は舌打ちすると鎌を弾き返した。
「アンタの事情なんて知るか! 勝手に入られたのが嫌だったなら謝る!」
「別に怒っちゃいないぜ? ただちょっと迷惑なだけさ」
彼は肩を竦めると苦笑した。死神だというのに、こういう仕草だけはやけに人間くさい。
彼が鎌なんて持っておらず、自分が死神だということを告げていなかったら、死神だなんて気付かなかったかもしれない。
「……それに俺はもうこの館を出るんだよ! 、だからさっさと帰らせてくれ!」
もうとっくに2時間は経っているだろう。早く戻らなければいけない。それに何もなかったら、この後は諦めて機関に戻る予定だった筈だ。
それを邪魔しているのは他の誰でもない、この館の主であるアーシラトだ。
俺は早く戻りたい。皆に迷惑をかけてしまうし、何よりもこれ以上この殺意に満ちた空間に居ること自体耐えられなかった。
「……さっさと帰せ? そりゃ無理な話だなァ、客人」
今まで通りの声と口調の筈なのに、どこか冷たく感じる声でアーシラトは言った。
「この俺に出会った時点で、てめェは俺に殺されて死ぬんだよ!!」
アーシラトの口元から笑みが消え、これまでとは比べものにならないような殺意が辺りに渦巻いた。
殺気や殺意という物は、空気まで震わせてしまうのか。
それを感じた瞬間、背筋に悪寒が走る。
これ以上ここに居てはいけない、逃げなきゃならないと頭では、心では解っているのに、足がその場に縫い止められたように動いてくれなかった。
視線だけを下に落とせば、闇霧を持っている右手が震えていた。
「もう抵抗する気も起きねェってか? 全く、久々の獲物だと思ったらコレだ、つまんねェったらねェぜ」
アーシラトは依然として動けずにいる俺の目の前まで来ると、鎌を振り上げた。
俺は恐怖に震えながらも、瞼を閉じずに彼を見据えていた。
「Good-bye,cowardly person.」
初めて聞いた時と同じ流暢な英語が聞こえると同時に、俺の身体に鎌が突き立てられる——筈だった。
自分の背後から聞こえる足音と、鎌が何かに受け止められる金属音。
俺の視界には、細身の長剣、サーベル、それに槍が映っていた。
それに、風圧で微かに揺れる黒髪と水色のエプロン、赤い長髪に黒ジャケット、金髪にハンター服。
ラスターさんとファンデヴが鎌を受け止めていた。
サイラスだけは、槍——彼の能力、確か名称はヴォカーレだった筈だ。その矛先をアーシラトの首に突き付けていた。
「何……ッ!?」
アーシラトが先程の大声とは打って変わって、絞り出すように驚愕の声を上げる。
「大丈夫か!?」
長剣で彼の鎌を受け止めたまま、ラスターさんは俺を振り返った。
「有り得ない、なんて事は有り得ない、か……大丈夫?」
「ったくよー、何やってんだ。俺が落とし穴見付けてここまで来なきゃ、お前死んでたぞ」
「……悪かった。でも何で三人だけ——」
「話してる暇はねぇぜ、ヘメティ」
ラスターさんは言いながら未だに残っていたらしい鎌の攻撃の流れを反らすと、一度血払いでもするように剣を振った後で構え直した。
「……こんなに客人が居るなんてなァ……主として失格か。ようこそ、愚かな客人共」
首に自分の命を奪う事が容易くできる刃物を突き付けられて尚、アーシラトの声の調子と笑み、言葉は変わらなかった。
幾度となく、このような状況を経験してきているのだろうか。それだけではない気がする。
『自分は死なない』——そんな有り得ないような事を信じている、といった感じだった。
「主……?」
「……コイツが、この廃館の主らしいですよ、ラスターさん」
「はぁ!? こんなオンボロ館に人間が!?」
ラスターさんも、俺と同じ事を口にした。アーシラトの正体が人間だ、と。
それに対して、またアーシラトがおかしそうに口元を歪め、ラスターさんに自分の正体を告げるために声を発そうとした瞬間だった。
「——違うな、お前」
やけに硬く鋭い、いつもの調子からは想像も付かない声でサイラスが口を開いた。
サイラスはヴォカーレを握る手に力を込め、睨んでいるようにしか見えない目で彼を見据えていた。
「違うって何がだよ? 猫耳のオッサン」
「……俺が人間じゃねえから解るみたいなモンだろうけどなー」
『オッサン』という単語にサイラスの額に青筋が浮かんだが、すぐに落ち着きを取り戻し、溜め息を吐いた。
それには、どこか寂寥感も含まれているように感じられた。
「お前、人間じゃねえだろ?」
まさか自分の正体をこんな短時間で見抜かれるとは思っていなかったのか、アーシラトの目が驚きに見開かれた。
だが、それもすぐに笑いに変わる。本当に彼は良く笑う。出会ってから今まで、アーシラトの笑い以外の表情なんて殆ど見ていない気がする。
「……正解だ、オッサン! よくこんな短時間で見抜いたな」
「雰囲気からして、人間とは違うからな。そりゃ解る。……見た所、悪魔とか死神辺りか?」
これには俺も驚いた。種族まで見抜く、なんて、並外れた観察眼を持っていないと不可能に近いのではないか。
「——素晴らしい! 今までで初めてだ、種族まで見抜かれたなんてなァ!!」
「……凄い。サイラスも、こいつも」
赫い目を狂気にも似た歓喜で輝かせるアーシラトを見て、ファンデヴは呟いた。俺も同感だ。どちらも凄い。
ラスターさんはまだ信じられないのか、呆然としたままだ。それが普通の反応だと思う。
そんな俺達の目の前で、アーシラトは鎌を持っていない左手を槍の矛先へと持っていき、一息に自分の手を突き刺した。
予想さえしていなかった行動に、俺を含めた全員が息を呑んだ。
彼の手の甲から流れ出ている血の色は、人間と変わらない——赤色。
「でもよォ……死神の血も赤いってのはさすがに知らねェよなァ?」
「そうだなー……知らなかったぜ、ありがとよ」
「どういたしまして。——まぁ、世界に死神なんて俺一人しかいねェんだ、その知識も役に立たねェだろうけどな」
死神というのは、人を殺して人の魂を運ぶような者だろう。確かに、そういう存在は一人だけ居れば十分だ。
アーシラトはゆっくりと手を引き抜くと、血で真っ赤に染まった己の手を見て微笑を零した。
「——成る程な……じゃあ、お前はオレ等4人を死神として殺すつもりなんだな?」
「そうさ。決まってんだろ? 黒髪」
彼は何を解りきったことを言っているんだとばかりに言うと、鎌を自分の目の前でゆらゆらと揺らす。
「……ヘメティ、やれるか? もし無理なら、オレ等だけで何とかすっから」
「……いや、やります」
ここで自分だけ戦わない、なんてできるわけがない。逃げるなんてしたくなかった。
「——ファンデヴ、お前は行け」
「……信じる。解った。死なないで」
それだけを呟くような小さい声で言い残し、ファンデヴはサーベルを鞘に戻すと凄まじいスピードで地下室を走り去った。
「ンの赤髪ッ……! 逃がすか!」
「おっと、行かせねぇよ、死神サン?」
ファンデヴを追おうと足を踏み出したアーシラトに、ラスターさんがからかうような口調で剣の切っ先を向けた。
「……仕方がねェな……てめェらを殺ってから、アイツも殺る事にするか」
赫い瞳に、今までとは違う、どこか真剣な光が宿る。
俺は闇霧を握り直し、アーシラトに向き直った。
何かアーシラトの口調ってどっかで見たことがある気がするんだが誰だっけか…うーん(´・ω・`)
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赤闇銀羽
HP:
性別:
非公開
職業:
ソルジャー1st
趣味:
妄想!
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こちらは更新凍結しました
サイトにて活動中。
手描きブログ。
FF、DMC、TOAをメインにやる予定だったのに何かオリジナル増えそう。
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