I permanently serve you. NeroAngelo
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43話目でようやく異形の館アーシラト戦終了とか\(^o^)/
すげーよ取り敢えずwww
「——今から、この広間に魔法陣を描く。丁度、ここに良い魔術書もあるしね」
「解った。だがそれに相手が気付いたら……司令官、貴方を攻撃しに来るぞ」
「そこは大佐、ここにいる三人が詠唱時間を稼いでくれれば良いだけでしょ?」
「あーあー……一般人が死神の足止めなんてできるわけないじゃない」
「機関に居る時点で、君は一般人じゃないよ?」
「貴様等、俺の邪魔をしたら貴様等から切り殺すぞ」
「解っているさ、オレは遠くから援護させて貰おうか?」
「勝手にしろ。どうせ、ここにいる奴等で対等に戦えるような奴は俺しかいないだろうが」
「あれ、結構自信満々?」
「黙れ」
「はいはーい。……私は、ここで司令官の援護ね」
「そう。よろしく頼むよ。……さ、そろそろ来る筈だ。……行くよ」
RELAYS - リレイズ - 43 【捕獲】
ソーマとアーシラトは交錯し、互いに鎌を振るい合っている。
俺の時とは比べものにならない程の金属音に、俺は手で耳を押さえた。
その金属音に混じって、僅かにだが彼等が言葉を交わしているらしく話し声も聞こえてくる。
「——ハハッ、てめェホントに人間かよ!? 楽しいなァ、オイ!!」
「貴様こそ、本当に死神か? これでも俺は全力ではないんだがな」
人間が、人間ではない生物——というよりも、戦いに特化している死神と対等にやり合っている。
これには少し俺自身驚いた。確かにソーマは強いが、ここまでとは思っていなかった。
「何だよてめェもか? 俺もだけどな。何なら全力で行こうぜ……この館をブッ壊すくらいでなァ!!」
「……勝手にしろ」
「なッ……! おい、それは」
さすがにこの館を壊すのは駄目だ。廃館になってから本当に年月が経っているらしいし、この二人が全力でぶつかりなんかしたら冗談じゃなく壊れてしまう。
恐らく聞いちゃいないだろうが、声を張り上げてそれをアーシラトとソーマに告げようとしたときだった。
「声、出さない。アイツ等の邪魔したら、自分達が殺られる」
後ろから口を押さえられ、どこかキーの高い声が小さく聞こえてきた。
その手はすぐに離れ、俺は後ろを振り返った。
「何するんだよ、ファンデ……」
そこに居たのは、黒いジャケットを羽織って長い赤髪をそのまま垂らしているファンデヴだった。
それは解る。声の質も少し高いだけであまり変わっていなかった。服装も変わっている訳でもない。
ただ、明らかに違った。
「……やっぱり驚く、か。まあ当たり前か」
「え……いや、ファンデヴ……だよな?」
「勿論。さっき手榴弾でこの壁を破壊した。ファンデヴ=ブルーリング」
肩を竦めて自分達の背後、そこにある崩れた壁と瓦礫の山を指さしながら『彼女』は言った。
今のファンデヴは、どこからどう見ても女性だった。顔つきも体付きも、だ。
俺が見間違えていた、という訳でもない筈だ。先程までファンデヴは男性だったのだから。
「あーヘメティ、その事はあんまり詮索しないでやれ。な? コイツは人に訊かれて答えるのが苦手な奴だから」
サイラスは別に驚いた風もなく、ファンデヴの肩を叩く。
「大丈夫。ちゃんと後で話すから。短い、けど。今は、話してる場合じゃない」
ファンデヴの視線の先に居るアーシラトとソーマの切り合いは、更に激しさを増していた。
ソーマに至っては、魔法まで使用している。その証拠に、アーシラトのマントの一部は凍り付いていた。
このままでは、本当に破壊しかねない。というか、もう若干だが館が壊れ始まっている。無事だった窓ガラスにはヒビが入り、今にも砕け散りそうに震えていた。
「オイ、どうすんだよ!! 逃げんのか!? それともここにいてあの化けモンと全員で生き埋めか!?」
ラスターさんが声を張り上げて叫んだ瞬間、彼の背後にあったステンドグラスが砕け散った。
「ラスターさん!!」
砕け散る音と俺の声に弾かれたように上を見上げる。
ラスターさんの身体にステンドグラスの欠片が降り注ぐ寸前、瞬時に二本のサーベルを抜いたファンデヴが跳躍し、それを弾き落とした。
「……気をつけて。ガラスなんて、刺さったら一溜まりもないんだ」
「あ、ああ……サンキュ、ファンデヴ」
未だに色々なことに戸惑っているようだったが、ラスターさんはそれでもしっかりと頷いた。
「お、そろそろか」
また意味深に呟いたサイラスに、何の事かと問いかけようとした時だった。
金属音の中に、銃声が割り込んだ。俺の拳銃とも、シェイド大佐のライフルとも取れない、それどころか聞いたことがない銃声。
「……さあ、そろそろ終いだ、死神とやら」
俺達の頭上から、こんな状況下でも良く通る声が響く。
シャンデリアの上で、シェイド大佐が初めて見る形状の銃を構えて立っていた。
「オイオイ、そこにも居やがったのか!? 降りて来いよ、軍服!!」
「残念だが、それはできないな」
銃に弾を込めながらアーシラトの声に答えるシェイド大佐が、やけに大きな存在に見えた。
「……噴け、ボレアーリス」
静かだがはっきりと耳に届く声と共に、銃——ボレアーリスの引き金が引かれ、銃口が明らかに他の銃とは違う青白い火を噴いた。
アーシラトはそれを鎌を大きく回して弾き落とす。
その隙に背後に回っていたソーマは、彼の首目掛けてナトゥスを振りかざした。
「くッ……!」
間一髪で刃を受け止め、アーシラトは微かに呻き声を漏らす。
その場から離れようと考えたのだろう、彼は姿勢を低くすると後方に一歩踏み出した。
だが、それよりも早く、右足に銀色の鎖が巻き付いた。
「……見てて気付いたけど、アンタって回避の時に右足から踏み出すのね?」
鎖鎌で彼の足を留めながら、イーナは不敵そうに微笑みながら言った。
「ハッ、それがどうした!? こんな鎖で俺の足を止めれるとでも——」
言いながら余裕の笑みを浮かべ、鎖を断ち切ろうとしたアーシラトの表情が強張る。
「——Please move the chain of the spell that ties him.」
ダグラスさんの声が大きくなると同時に、アーシラトの足下に赤い光で描かれた巨大な魔法陣が浮かび上がった。
そしてその魔法陣の中心に立っている彼に向かって、赤い雷光のような光が迸った。
それには指向性があるらしく、少し離れたところに立っていたソーマを通り抜ける。
「っ……がああああああああああ!!」
雷光がアーシラトを包み込むのとほぼ同時に、彼は悲鳴を上げた。
光が一層強くなり、俺は腕をかざして目を覆う。
「……これってまさか……!?」
昔一度だけ本か何か、確か資料だっただろうか、その類で見たことがある。相手の動きを封じ込める魔術。
今の光景とその資料に書いてあった内容が、ほぼ一致していた。
徐々に光が収まり、あの激しさは何だったのかと疑いたくなる程に小さく儚くなり、やがて消えていった。
消えると同時にアーシラトがその場に膝をつき、倒れ込む。
それを確認してから、ダグラスさんは立ち上がった。
「……成功、かな?」
ダグラスさんは呟きながらアーシラトの傍で膝をつくと、彼の手に触れようと手を伸ばした。
「づ……、クソッ! てめェ何しやがった!!」
「……凄いね、この魔術って声も出せなくなる筈なんだけど……大声出せてるよ。でも身体は動かせないみたいだし、いっか」
アーシラトの話など全く聞かず、ダグラスさんは微笑んだ。
多分ダグラスさんはああ見えて若干腹黒なんだ…
あ、明日はあれだよ!エリクサー買ってくる!!
すげーよ取り敢えずwww
「——今から、この広間に魔法陣を描く。丁度、ここに良い魔術書もあるしね」
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「そこは大佐、ここにいる三人が詠唱時間を稼いでくれれば良いだけでしょ?」
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「解っているさ、オレは遠くから援護させて貰おうか?」
「勝手にしろ。どうせ、ここにいる奴等で対等に戦えるような奴は俺しかいないだろうが」
「あれ、結構自信満々?」
「黙れ」
「はいはーい。……私は、ここで司令官の援護ね」
「そう。よろしく頼むよ。……さ、そろそろ来る筈だ。……行くよ」
RELAYS - リレイズ - 43 【捕獲】
ソーマとアーシラトは交錯し、互いに鎌を振るい合っている。
俺の時とは比べものにならない程の金属音に、俺は手で耳を押さえた。
その金属音に混じって、僅かにだが彼等が言葉を交わしているらしく話し声も聞こえてくる。
「——ハハッ、てめェホントに人間かよ!? 楽しいなァ、オイ!!」
「貴様こそ、本当に死神か? これでも俺は全力ではないんだがな」
人間が、人間ではない生物——というよりも、戦いに特化している死神と対等にやり合っている。
これには少し俺自身驚いた。確かにソーマは強いが、ここまでとは思っていなかった。
「何だよてめェもか? 俺もだけどな。何なら全力で行こうぜ……この館をブッ壊すくらいでなァ!!」
「……勝手にしろ」
「なッ……! おい、それは」
さすがにこの館を壊すのは駄目だ。廃館になってから本当に年月が経っているらしいし、この二人が全力でぶつかりなんかしたら冗談じゃなく壊れてしまう。
恐らく聞いちゃいないだろうが、声を張り上げてそれをアーシラトとソーマに告げようとしたときだった。
「声、出さない。アイツ等の邪魔したら、自分達が殺られる」
後ろから口を押さえられ、どこかキーの高い声が小さく聞こえてきた。
その手はすぐに離れ、俺は後ろを振り返った。
「何するんだよ、ファンデ……」
そこに居たのは、黒いジャケットを羽織って長い赤髪をそのまま垂らしているファンデヴだった。
それは解る。声の質も少し高いだけであまり変わっていなかった。服装も変わっている訳でもない。
ただ、明らかに違った。
「……やっぱり驚く、か。まあ当たり前か」
「え……いや、ファンデヴ……だよな?」
「勿論。さっき手榴弾でこの壁を破壊した。ファンデヴ=ブルーリング」
肩を竦めて自分達の背後、そこにある崩れた壁と瓦礫の山を指さしながら『彼女』は言った。
今のファンデヴは、どこからどう見ても女性だった。顔つきも体付きも、だ。
俺が見間違えていた、という訳でもない筈だ。先程までファンデヴは男性だったのだから。
「あーヘメティ、その事はあんまり詮索しないでやれ。な? コイツは人に訊かれて答えるのが苦手な奴だから」
サイラスは別に驚いた風もなく、ファンデヴの肩を叩く。
「大丈夫。ちゃんと後で話すから。短い、けど。今は、話してる場合じゃない」
ファンデヴの視線の先に居るアーシラトとソーマの切り合いは、更に激しさを増していた。
ソーマに至っては、魔法まで使用している。その証拠に、アーシラトのマントの一部は凍り付いていた。
このままでは、本当に破壊しかねない。というか、もう若干だが館が壊れ始まっている。無事だった窓ガラスにはヒビが入り、今にも砕け散りそうに震えていた。
「オイ、どうすんだよ!! 逃げんのか!? それともここにいてあの化けモンと全員で生き埋めか!?」
ラスターさんが声を張り上げて叫んだ瞬間、彼の背後にあったステンドグラスが砕け散った。
「ラスターさん!!」
砕け散る音と俺の声に弾かれたように上を見上げる。
ラスターさんの身体にステンドグラスの欠片が降り注ぐ寸前、瞬時に二本のサーベルを抜いたファンデヴが跳躍し、それを弾き落とした。
「……気をつけて。ガラスなんて、刺さったら一溜まりもないんだ」
「あ、ああ……サンキュ、ファンデヴ」
未だに色々なことに戸惑っているようだったが、ラスターさんはそれでもしっかりと頷いた。
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金属音の中に、銃声が割り込んだ。俺の拳銃とも、シェイド大佐のライフルとも取れない、それどころか聞いたことがない銃声。
「……さあ、そろそろ終いだ、死神とやら」
俺達の頭上から、こんな状況下でも良く通る声が響く。
シャンデリアの上で、シェイド大佐が初めて見る形状の銃を構えて立っていた。
「オイオイ、そこにも居やがったのか!? 降りて来いよ、軍服!!」
「残念だが、それはできないな」
銃に弾を込めながらアーシラトの声に答えるシェイド大佐が、やけに大きな存在に見えた。
「……噴け、ボレアーリス」
静かだがはっきりと耳に届く声と共に、銃——ボレアーリスの引き金が引かれ、銃口が明らかに他の銃とは違う青白い火を噴いた。
アーシラトはそれを鎌を大きく回して弾き落とす。
その隙に背後に回っていたソーマは、彼の首目掛けてナトゥスを振りかざした。
「くッ……!」
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その場から離れようと考えたのだろう、彼は姿勢を低くすると後方に一歩踏み出した。
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「……見てて気付いたけど、アンタって回避の時に右足から踏み出すのね?」
鎖鎌で彼の足を留めながら、イーナは不敵そうに微笑みながら言った。
「ハッ、それがどうした!? こんな鎖で俺の足を止めれるとでも——」
言いながら余裕の笑みを浮かべ、鎖を断ち切ろうとしたアーシラトの表情が強張る。
「——Please move the chain of the spell that ties him.」
ダグラスさんの声が大きくなると同時に、アーシラトの足下に赤い光で描かれた巨大な魔法陣が浮かび上がった。
そしてその魔法陣の中心に立っている彼に向かって、赤い雷光のような光が迸った。
それには指向性があるらしく、少し離れたところに立っていたソーマを通り抜ける。
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光が一層強くなり、俺は腕をかざして目を覆う。
「……これってまさか……!?」
昔一度だけ本か何か、確か資料だっただろうか、その類で見たことがある。相手の動きを封じ込める魔術。
今の光景とその資料に書いてあった内容が、ほぼ一致していた。
徐々に光が収まり、あの激しさは何だったのかと疑いたくなる程に小さく儚くなり、やがて消えていった。
消えると同時にアーシラトがその場に膝をつき、倒れ込む。
それを確認してから、ダグラスさんは立ち上がった。
「……成功、かな?」
ダグラスさんは呟きながらアーシラトの傍で膝をつくと、彼の手に触れようと手を伸ばした。
「づ……、クソッ! てめェ何しやがった!!」
「……凄いね、この魔術って声も出せなくなる筈なんだけど……大声出せてるよ。でも身体は動かせないみたいだし、いっか」
アーシラトの話など全く聞かず、ダグラスさんは微笑んだ。
多分ダグラスさんはああ見えて若干腹黒なんだ…
あ、明日はあれだよ!エリクサー買ってくる!!
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ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
でもオリキャラバトン大好きだ!!
『人によってはシビアバトン』
■ルール■
・自分のオリキャラの名前を頑張って(脳内キャラも含めて)全てあげる
・オリキャラについて一言ずつでも説明してくれたら嬉しいな
・見た人は絶対やる
総勢120人以上マジで書きます。果てしなく長いので追記です。
でもオリキャラバトン大好きだ!!
『人によってはシビアバトン』
■ルール■
・自分のオリキャラの名前を頑張って(脳内キャラも含めて)全てあげる
・オリキャラについて一言ずつでも説明してくれたら嬉しいな
・見た人は絶対やる
総勢120人以上マジで書きます。果てしなく長いので追記です。
アーシラトがうるさくて仕方がないwwwwww小説書くのが楽しくなってきたwwww
RELAYS - リレイズ - 42 【死神】
ファンデヴは隠し扉から勢いよく飛び出すと、ジャケットから自分の携帯電話を取り出した。
「——ダグラス?」
『え、ファンデヴ? どうしたの? 道に迷った?』
今自分達の足下で何が起こっているかも知らないままで呑気に訊いてくるダグラスに、ファンデヴは大きく溜め息を吐いた。
「……地下があった。そこでサイラスとラスターとヘメティが戦ってる」
『戦ってる……? 誰とだい?』
「死神」
『はい?』
携帯電話の向こうから、非現実的、非科学的な単語を耳にしたダグラスの間の抜けた声が聞こえてきた。
それからしばらくして、間の抜けた声が今度は戸惑いに満ちる。
『死神——まさかそんな、空想の中だけに居るみたいな生物が……』
「居る。居るんだよ。……このままじゃ、じきに三人とも……いや、自分も入れて四人、死ぬよ。殺されて」
恐らく、あのアーシラトという死神は自分を逃がしはしない。サイラスもラスターもヘメティも、三人を殺してから自分を狙いに来る。ファンデヴはそれを理解していた。
『……解った。通用するかどうかは解らないが、僕が何とかしてみる。その死神を、今僕が居る広間まで誘導してきてくれ』
「解った。多少の怪我は、させて大丈夫?」
『構わない。——ああ、それと……『解除』、していいよ。動きが鈍くなるんだろう? 誰も君を馬鹿になんてしないさ。心配しないで』
「……有り難う」
まるで父親のように優しげなダグラスの声、そして言葉に、ファンデヴは微かに笑みを浮かべて礼を言うと通話終了ボタンを押した。
携帯電話をジャケットのポケットに入れ直し、一度深呼吸をする。
彼が目を閉じると、足下に青い光で魔法陣が浮かび上がった。
「——っつーか何だよコイツ……! 幾ら切ったって倒れやしねぇぞ!!」
ラスターさんは一度後方に跳んで体制を整えてから叫んだ。
先程から、アーシラトは俺とラスターさん、サイラスに傷を負わせられている筈だ。その証拠に、黒マントは所々切り裂かれ、あるところには赤く血が滲んでいる。
それなのに、彼は倒れない。それどころ片膝を付くこともしない。明らかに異常だった。
「倒れる訳ねェだろ? もしかして知らなかったのかァ? 死神ってのは不死なんだよ!!」
それは知っている。ただ、それは時間の経過で死ぬことはない、という意味だと勝手に解釈してしまっていた。
アーシラトは、幾ら血を流しても切られても死ぬことはない。
「反則だろ、死神……」
サイラスは肩で息をしながらもヴォカーレを構えている。その切っ先は、ぶれることなくアーシラトを狙っている。
「ただ死なねェってだけで、ブッ倒れたり死にかけるってのはあるけどな。あァ、それと死神じゃなくて名前で呼んでくれよ? 俺の名前はアーシラトだ。てめェ等の名前は? 殺すときには呼んでやるようにしてるんでな」
「……解った。アーシラト、だな。俺はサイラスだ」
彼の名前を反芻し、サイラスは槍を握り直した。
アーシラトに名前を教えるのは気が引けたが、もし拒めば何があるか解らない。
「……俺はヘメティ。ファミリーネームは解らない」
「オレはラスター。ラスター=ダーグウェッジ。死んだときにはフルネームだろうが名前だけだろうがどうでもいいぜ?」
長剣を肩に担ぎ、ラスターさんは挑発的な笑みを浮かべた。
「ヘメティ、サイラス、ラスター=ダーグウェッジ。……敬意を込めて呼んでやるよ、殺してな」
「悪いけど、俺等はここで死んでなんか居られねぇんだ」
「悪いがな、俺はてめェ等を見逃すなんてできねェんだ」
ラスターさんや俺の目の前で、アーシラトとサイラスは睨み合った。
こんなに近くに居るのに、共闘している筈なのに、何故か酷く遠く感じてしまった。まるで彼等の近くだけ、空間が隔絶されているように。
突然、目の前からサイラスの姿が消え失せた。
俺達が声を上げるよりも速く、彼はアーシラトの背後へと瞬時に周り、逆手に持ったヴォカーレを振りかざした。
「——響け!」
サイラスが短く叫ぶと同時に、ヴォカーレが赤い光に包まれた。その光が槍の矛先に収束し、光が刃となってアーシラトを襲う。
「……すっげェなァ、それ……魔法か? それとも科学って奴か?」
避けようとはしたが光が掠ってしまったらしく、アーシラトは左腕から血を流しながらも訊いてきた。
「どっちでもねーよ、これはな。まあ説明は面倒だから……な」
どこか意味深に言葉を濁したサイラスに、アーシラトが眉を顰め問い返そうとした瞬間だった。
背後から、やけに軽い足音が聞こえてきた。
「お、案外早かったな、ファンデヴの奴……それに、『解除』しやがったか」
「ファンデヴか……って、解除? 解除って何をだよ?」
「ま、見てりゃ解るさ」
サイラスは口に人差し指を当てると悪戯っぽく笑い、後ろを振り返る。
「赤髪か……探す手間が省けてよかったぜェ!」
獰猛な笑みを口元に浮かべると、アーシラトは鎌を構えて俺達の横を通り過ぎていった。
その際、彼の左腕や他の傷からの血が僅かにだが飛び、俺の手やシャツに染みを作る。
こんなになってまで相手と戦いたい、いや、彼の場合は『殺したい』だが、そう思えるのが何故なのか解らなかった。
幾ら不死だからといって、自分の身体をそこまで無理に扱わなくても、酷使しなくてもいいんじゃないか。そんな気がした。
疑問に対して考えを巡らせていると不意に金属音が鳴り響き、その直後にアーシラトの狼狽したような声が聞こえてきた。
それに続いて、今度は何か硬質の物が床に落ちる音。
「この音……! やべぇぞ、伏せろ!!」
その音を聞いたラスターさんの表情が強張る。
俺は言われた通りにその場に伏せようとするが、それよりも早く、数メートル程しか離れていない廊下で爆発が起こった。
爆発によって廊下の壁は破壊され、そこから爆風でアーシラトが吹き飛ばされるの砂埃ごしに辛うじて見えた。
「な……何が起こったんだ!? 爆発なんて……」
「そんなの簡単だ、アイツが手榴弾でも使ったんだろうよ」
立ち上がり、ラスターさんはエプロンに付いた汚れを払い落としながら溜め息混じりに呟いた。俺が知らなすぎるだけかもしれないが、ラスターさんは武器屋の店主というだけあって知識が多い。
「丁度あの広間の所らしいな、ここ」
「え……じゃあソーマ達もアーシラトに見つかってるってことか!?」
「まあ、それは当然だな」
さらりと言ってのけ、サイラスは瓦礫の山を手も使わずに簡単に上り始めた。それに習って、俺とラスターさんも慎重に上っていく。
やっと上まで上り、額に流れる汗を拭い取るとアーシラトとファンデヴ、それにダグラスさん達の姿を探す。
アーシラトは、瓦礫のすぐ傍、俺達の目の前で鎌を振るっていた。
その相手がファンデヴなのかと思い、目を凝らして探すが見当たらない。
じゃあ、一体アーシラトは誰と戦っているのか。
「……ソーマ!?」
視界に入ってきたのは、銀髪に黒いロングコートをなびかせながら青白く発光しているナトゥスで応戦しているソーマの姿だった。
そこから五メートルも離れていないと思われる所では、ダグラスさんが床に手をつき、床に置いた魔術書を見ながら何かを呟いていた。
ソーマとアーシラトは一度鍔迫り合いの状態になり、お互いに弾き返すと間合いを取った。
「ソーマ!」
俺は瓦礫に足を取られないように気を遣いながら、ソーマの傍まで走り寄る。
「黙れ、そして離れろ、邪魔だ」
ソーマは俺に視線を向けないままで言い放ってきた。
「でも——」
「邪魔だと言っているんだ!」
普段ならば大声を出すなんてことがほぼ有り得ないソーマが声を荒げた。
今、自分はここにいてもソーマの言葉通り邪魔にしかならない。手助けなんてできるわけがない。
俺はその無力さを感じながら、闇霧の柄を握りしめると二人に背を向けた。
「……面白いな、今日は……一体何人入り込んでやがる?」
「知るか。知りたければ自分で数えろ」
「解ったよ。じゃあ後で数えさせて貰うぜ。その代わり、だ。——てめェは何者だ?」
ソーマは他人の事に対しては滅多に興味を示さないからないかもしれないが、それはソーマが訊きたい事だろう。
「……何者か、だと? どういう意味だ」
「そのまんまの意味さ。黒衣に巨大鎌。てめェも死神かって訊いてるんだよ。たまに居るのさ、『不完全な』死神って奴が。てめェもそれか?」
先程、アーシラトは『世界に死神なんて自分一人しかいない』と言っていた。
死神のシステム的な物については全く解らないが、それは恐らく、完全な死神としてという意味だったのではないか。
「死神か……生憎、俺は人間だ。俺のことをそう呼ぶ奴等も居るが」
機関での、関わった人間の中での、皮肉を交えての通り名、死神。それでも、ソーマはれっきとした人間だ。
「何だよ、面白くねェな……まあいいや、てめェの名前は何だ? 殺すときに呼んでやる」
「何故貴様に教える必要がある? 他人に教える事等何もない」
いつもよりも若干棘があるような口調で、アーシラトを睨みながら言った。
「クソッ……しょうがねェな。それじゃ、行くぜ? 死神モドキ」
「——その言い方は止めろ、死神。……名前が必要なら教えてやる。ソーマ、だ」
ソーマの名前を知ったアーシラトは、一度怪訝そうな表情をしたがすぐに愉快そうに口元を歪めた。
「ソーマだな。……来いよ」
その言葉が終わるか終わらないか、という時、俺の目の前でソーマとアーシラトが交錯した。
最近長いね!
RELAYS - リレイズ - 42 【死神】
ファンデヴは隠し扉から勢いよく飛び出すと、ジャケットから自分の携帯電話を取り出した。
「——ダグラス?」
『え、ファンデヴ? どうしたの? 道に迷った?』
今自分達の足下で何が起こっているかも知らないままで呑気に訊いてくるダグラスに、ファンデヴは大きく溜め息を吐いた。
「……地下があった。そこでサイラスとラスターとヘメティが戦ってる」
『戦ってる……? 誰とだい?』
「死神」
『はい?』
携帯電話の向こうから、非現実的、非科学的な単語を耳にしたダグラスの間の抜けた声が聞こえてきた。
それからしばらくして、間の抜けた声が今度は戸惑いに満ちる。
『死神——まさかそんな、空想の中だけに居るみたいな生物が……』
「居る。居るんだよ。……このままじゃ、じきに三人とも……いや、自分も入れて四人、死ぬよ。殺されて」
恐らく、あのアーシラトという死神は自分を逃がしはしない。サイラスもラスターもヘメティも、三人を殺してから自分を狙いに来る。ファンデヴはそれを理解していた。
『……解った。通用するかどうかは解らないが、僕が何とかしてみる。その死神を、今僕が居る広間まで誘導してきてくれ』
「解った。多少の怪我は、させて大丈夫?」
『構わない。——ああ、それと……『解除』、していいよ。動きが鈍くなるんだろう? 誰も君を馬鹿になんてしないさ。心配しないで』
「……有り難う」
まるで父親のように優しげなダグラスの声、そして言葉に、ファンデヴは微かに笑みを浮かべて礼を言うと通話終了ボタンを押した。
携帯電話をジャケットのポケットに入れ直し、一度深呼吸をする。
彼が目を閉じると、足下に青い光で魔法陣が浮かび上がった。
「——っつーか何だよコイツ……! 幾ら切ったって倒れやしねぇぞ!!」
ラスターさんは一度後方に跳んで体制を整えてから叫んだ。
先程から、アーシラトは俺とラスターさん、サイラスに傷を負わせられている筈だ。その証拠に、黒マントは所々切り裂かれ、あるところには赤く血が滲んでいる。
それなのに、彼は倒れない。それどころ片膝を付くこともしない。明らかに異常だった。
「倒れる訳ねェだろ? もしかして知らなかったのかァ? 死神ってのは不死なんだよ!!」
それは知っている。ただ、それは時間の経過で死ぬことはない、という意味だと勝手に解釈してしまっていた。
アーシラトは、幾ら血を流しても切られても死ぬことはない。
「反則だろ、死神……」
サイラスは肩で息をしながらもヴォカーレを構えている。その切っ先は、ぶれることなくアーシラトを狙っている。
「ただ死なねェってだけで、ブッ倒れたり死にかけるってのはあるけどな。あァ、それと死神じゃなくて名前で呼んでくれよ? 俺の名前はアーシラトだ。てめェ等の名前は? 殺すときには呼んでやるようにしてるんでな」
「……解った。アーシラト、だな。俺はサイラスだ」
彼の名前を反芻し、サイラスは槍を握り直した。
アーシラトに名前を教えるのは気が引けたが、もし拒めば何があるか解らない。
「……俺はヘメティ。ファミリーネームは解らない」
「オレはラスター。ラスター=ダーグウェッジ。死んだときにはフルネームだろうが名前だけだろうがどうでもいいぜ?」
長剣を肩に担ぎ、ラスターさんは挑発的な笑みを浮かべた。
「ヘメティ、サイラス、ラスター=ダーグウェッジ。……敬意を込めて呼んでやるよ、殺してな」
「悪いけど、俺等はここで死んでなんか居られねぇんだ」
「悪いがな、俺はてめェ等を見逃すなんてできねェんだ」
ラスターさんや俺の目の前で、アーシラトとサイラスは睨み合った。
こんなに近くに居るのに、共闘している筈なのに、何故か酷く遠く感じてしまった。まるで彼等の近くだけ、空間が隔絶されているように。
突然、目の前からサイラスの姿が消え失せた。
俺達が声を上げるよりも速く、彼はアーシラトの背後へと瞬時に周り、逆手に持ったヴォカーレを振りかざした。
「——響け!」
サイラスが短く叫ぶと同時に、ヴォカーレが赤い光に包まれた。その光が槍の矛先に収束し、光が刃となってアーシラトを襲う。
「……すっげェなァ、それ……魔法か? それとも科学って奴か?」
避けようとはしたが光が掠ってしまったらしく、アーシラトは左腕から血を流しながらも訊いてきた。
「どっちでもねーよ、これはな。まあ説明は面倒だから……な」
どこか意味深に言葉を濁したサイラスに、アーシラトが眉を顰め問い返そうとした瞬間だった。
背後から、やけに軽い足音が聞こえてきた。
「お、案外早かったな、ファンデヴの奴……それに、『解除』しやがったか」
「ファンデヴか……って、解除? 解除って何をだよ?」
「ま、見てりゃ解るさ」
サイラスは口に人差し指を当てると悪戯っぽく笑い、後ろを振り返る。
「赤髪か……探す手間が省けてよかったぜェ!」
獰猛な笑みを口元に浮かべると、アーシラトは鎌を構えて俺達の横を通り過ぎていった。
その際、彼の左腕や他の傷からの血が僅かにだが飛び、俺の手やシャツに染みを作る。
こんなになってまで相手と戦いたい、いや、彼の場合は『殺したい』だが、そう思えるのが何故なのか解らなかった。
幾ら不死だからといって、自分の身体をそこまで無理に扱わなくても、酷使しなくてもいいんじゃないか。そんな気がした。
疑問に対して考えを巡らせていると不意に金属音が鳴り響き、その直後にアーシラトの狼狽したような声が聞こえてきた。
それに続いて、今度は何か硬質の物が床に落ちる音。
「この音……! やべぇぞ、伏せろ!!」
その音を聞いたラスターさんの表情が強張る。
俺は言われた通りにその場に伏せようとするが、それよりも早く、数メートル程しか離れていない廊下で爆発が起こった。
爆発によって廊下の壁は破壊され、そこから爆風でアーシラトが吹き飛ばされるの砂埃ごしに辛うじて見えた。
「な……何が起こったんだ!? 爆発なんて……」
「そんなの簡単だ、アイツが手榴弾でも使ったんだろうよ」
立ち上がり、ラスターさんはエプロンに付いた汚れを払い落としながら溜め息混じりに呟いた。俺が知らなすぎるだけかもしれないが、ラスターさんは武器屋の店主というだけあって知識が多い。
「丁度あの広間の所らしいな、ここ」
「え……じゃあソーマ達もアーシラトに見つかってるってことか!?」
「まあ、それは当然だな」
さらりと言ってのけ、サイラスは瓦礫の山を手も使わずに簡単に上り始めた。それに習って、俺とラスターさんも慎重に上っていく。
やっと上まで上り、額に流れる汗を拭い取るとアーシラトとファンデヴ、それにダグラスさん達の姿を探す。
アーシラトは、瓦礫のすぐ傍、俺達の目の前で鎌を振るっていた。
その相手がファンデヴなのかと思い、目を凝らして探すが見当たらない。
じゃあ、一体アーシラトは誰と戦っているのか。
「……ソーマ!?」
視界に入ってきたのは、銀髪に黒いロングコートをなびかせながら青白く発光しているナトゥスで応戦しているソーマの姿だった。
そこから五メートルも離れていないと思われる所では、ダグラスさんが床に手をつき、床に置いた魔術書を見ながら何かを呟いていた。
ソーマとアーシラトは一度鍔迫り合いの状態になり、お互いに弾き返すと間合いを取った。
「ソーマ!」
俺は瓦礫に足を取られないように気を遣いながら、ソーマの傍まで走り寄る。
「黙れ、そして離れろ、邪魔だ」
ソーマは俺に視線を向けないままで言い放ってきた。
「でも——」
「邪魔だと言っているんだ!」
普段ならば大声を出すなんてことがほぼ有り得ないソーマが声を荒げた。
今、自分はここにいてもソーマの言葉通り邪魔にしかならない。手助けなんてできるわけがない。
俺はその無力さを感じながら、闇霧の柄を握りしめると二人に背を向けた。
「……面白いな、今日は……一体何人入り込んでやがる?」
「知るか。知りたければ自分で数えろ」
「解ったよ。じゃあ後で数えさせて貰うぜ。その代わり、だ。——てめェは何者だ?」
ソーマは他人の事に対しては滅多に興味を示さないからないかもしれないが、それはソーマが訊きたい事だろう。
「……何者か、だと? どういう意味だ」
「そのまんまの意味さ。黒衣に巨大鎌。てめェも死神かって訊いてるんだよ。たまに居るのさ、『不完全な』死神って奴が。てめェもそれか?」
先程、アーシラトは『世界に死神なんて自分一人しかいない』と言っていた。
死神のシステム的な物については全く解らないが、それは恐らく、完全な死神としてという意味だったのではないか。
「死神か……生憎、俺は人間だ。俺のことをそう呼ぶ奴等も居るが」
機関での、関わった人間の中での、皮肉を交えての通り名、死神。それでも、ソーマはれっきとした人間だ。
「何だよ、面白くねェな……まあいいや、てめェの名前は何だ? 殺すときに呼んでやる」
「何故貴様に教える必要がある? 他人に教える事等何もない」
いつもよりも若干棘があるような口調で、アーシラトを睨みながら言った。
「クソッ……しょうがねェな。それじゃ、行くぜ? 死神モドキ」
「——その言い方は止めろ、死神。……名前が必要なら教えてやる。ソーマ、だ」
ソーマの名前を知ったアーシラトは、一度怪訝そうな表情をしたがすぐに愉快そうに口元を歪めた。
「ソーマだな。……来いよ」
その言葉が終わるか終わらないか、という時、俺の目の前でソーマとアーシラトが交錯した。
最近長いね!
ピアノの下に潜む妖怪の羊様からアシュルクを描いていただきました…!
ありがとうございます^^
取り敢えずアシュルクってこんな格好良かったっk(ry
最初格好良すぎて誰なのか認識が遅れました(汗
本当にありがとうございました!
あーくんとソーマは一切関係ないのよ(ry
最近スランプでしにたい^p^p^p^p^p^違うのだったらさくさく書けるんだけどね!
RELAYS - リレイズ - 41 【異形の館-3】
最初この廃館に訪れたときと同じように、一同は輪を描くようにして集まった。
暫くして、遠くからやけに規則正しい足音が聞こえてきた。
「——あ、ソーマお帰り。どうだった?」
ダグラスの声に、ソーマは一度視線を彼に向けただけですぐに視線を逸らした。
「……魔術書の置いてある書斎以外には何もなかった」
言いながら、持ち出してきた一冊の古びた魔術書をダグラスに手渡す。
その横で、ラスターが頭を掻きながらぶつぶつと文句を口に出していた。
「マジかよ、オレ等もなんだぜ? 隠し部屋とか階段とかあっても良いようなモンじゃねぇか」
「オレもかなり探しはしたんだが……どうした、イーナ」
シェイドは自分の横で辺りを見回しているイーナに気付き、何か見付けたのかと問いかける。
「……今気付いたんだけど」
妙に重苦しい声で、ぽつりと呟く。
「……一人足りなくない?」
ダグラス、ソーマ、シェイド、ラスター、サイラス、ファンデヴ、そしてイーナ自身。
「——またか、あの馬鹿が」
舌打ち混じりに、不機嫌な様子を隠さずにソーマが吐き捨てる。
「そうだね……それにしても迷いやすいね、ほんと。まっ、すぐ戻ってくるよ」
「……何なら、オレが探しに行ってくる」
「大丈夫大丈夫。ヘメ君はいつもこうなんだから。どこかで道に迷ってるだけだよ」
ライフルを担ぎ直して歩き出そうとするシェイドを引き留め、ダグラスはいつも通りに笑った。
「……もしかして、隠し扉とかでも見付けて地下にでも行ってんじゃねーの?」
サイラスの欠伸をかみ殺しながら出された声に、この場にいる全員が沈黙した。
その沈黙を破ったのはシェイドでもダグラスでもない、イーナだった。
「それはないでしょ、幾ら何でも! だってあのヘメティよ? 見付ける訳がないって!」
「——それもそうだね。それじゃ、ここでちょっと待とう。それでも来なかったらみんなで探すとしようか」
「解った。……それにしても、何か……妙だな」
「え、兄サンどうしたんだよ?」
「妙って、この廃館? それとも何か違う事?」
ラスターとイーナからの質問に答えず、シェイドは足下を睨むような視線で見つめる。
「——煩いんだ、下が。まるで……誰かが斬り合っているように」
地下室を繋ぐ薄暗い廊下の中に、金属音が幾度となく鳴り響く。
容赦なく振り下ろされる巨大鎌を、俺は闇霧で辛うじて受け止め、弾き返していた。
「どうしたァ!? その刀はただの盾か!? そこにある拳銃はただの重りか!?」
怒声にも似た大声と共に来る剣劇は荒々しいが、的確に俺を狙ってくる。
当たり前のことだが、武器はほぼ同じでも使う人間でここまで変わる物らしい。ソーマとは全く違う太刀筋に、防御するしかできなかった。
鎌を受け止め、鍔迫り合いのような状態になる。
アーシラトは俺の顔を覗き込むと、鎌に更に力を込めながら口元を歪めた。
「もっと楽しませてくれよ、客人……こっちは百年くらい戦ってねェんだよ!!」
どこか恍惚とした表情で言うアーシラトに、俺は舌打ちすると鎌を弾き返した。
「アンタの事情なんて知るか! 勝手に入られたのが嫌だったなら謝る!」
「別に怒っちゃいないぜ? ただちょっと迷惑なだけさ」
彼は肩を竦めると苦笑した。死神だというのに、こういう仕草だけはやけに人間くさい。
彼が鎌なんて持っておらず、自分が死神だということを告げていなかったら、死神だなんて気付かなかったかもしれない。
「……それに俺はもうこの館を出るんだよ! 、だからさっさと帰らせてくれ!」
もうとっくに2時間は経っているだろう。早く戻らなければいけない。それに何もなかったら、この後は諦めて機関に戻る予定だった筈だ。
それを邪魔しているのは他の誰でもない、この館の主であるアーシラトだ。
俺は早く戻りたい。皆に迷惑をかけてしまうし、何よりもこれ以上この殺意に満ちた空間に居ること自体耐えられなかった。
「……さっさと帰せ? そりゃ無理な話だなァ、客人」
今まで通りの声と口調の筈なのに、どこか冷たく感じる声でアーシラトは言った。
「この俺に出会った時点で、てめェは俺に殺されて死ぬんだよ!!」
アーシラトの口元から笑みが消え、これまでとは比べものにならないような殺意が辺りに渦巻いた。
殺気や殺意という物は、空気まで震わせてしまうのか。
それを感じた瞬間、背筋に悪寒が走る。
これ以上ここに居てはいけない、逃げなきゃならないと頭では、心では解っているのに、足がその場に縫い止められたように動いてくれなかった。
視線だけを下に落とせば、闇霧を持っている右手が震えていた。
「もう抵抗する気も起きねェってか? 全く、久々の獲物だと思ったらコレだ、つまんねェったらねェぜ」
アーシラトは依然として動けずにいる俺の目の前まで来ると、鎌を振り上げた。
俺は恐怖に震えながらも、瞼を閉じずに彼を見据えていた。
「Good-bye,cowardly person.」
初めて聞いた時と同じ流暢な英語が聞こえると同時に、俺の身体に鎌が突き立てられる——筈だった。
自分の背後から聞こえる足音と、鎌が何かに受け止められる金属音。
俺の視界には、細身の長剣、サーベル、それに槍が映っていた。
それに、風圧で微かに揺れる黒髪と水色のエプロン、赤い長髪に黒ジャケット、金髪にハンター服。
ラスターさんとファンデヴが鎌を受け止めていた。
サイラスだけは、槍——彼の能力、確か名称はヴォカーレだった筈だ。その矛先をアーシラトの首に突き付けていた。
「何……ッ!?」
アーシラトが先程の大声とは打って変わって、絞り出すように驚愕の声を上げる。
「大丈夫か!?」
長剣で彼の鎌を受け止めたまま、ラスターさんは俺を振り返った。
「有り得ない、なんて事は有り得ない、か……大丈夫?」
「ったくよー、何やってんだ。俺が落とし穴見付けてここまで来なきゃ、お前死んでたぞ」
「……悪かった。でも何で三人だけ——」
「話してる暇はねぇぜ、ヘメティ」
ラスターさんは言いながら未だに残っていたらしい鎌の攻撃の流れを反らすと、一度血払いでもするように剣を振った後で構え直した。
「……こんなに客人が居るなんてなァ……主として失格か。ようこそ、愚かな客人共」
首に自分の命を奪う事が容易くできる刃物を突き付けられて尚、アーシラトの声の調子と笑み、言葉は変わらなかった。
幾度となく、このような状況を経験してきているのだろうか。それだけではない気がする。
『自分は死なない』——そんな有り得ないような事を信じている、といった感じだった。
「主……?」
「……コイツが、この廃館の主らしいですよ、ラスターさん」
「はぁ!? こんなオンボロ館に人間が!?」
ラスターさんも、俺と同じ事を口にした。アーシラトの正体が人間だ、と。
それに対して、またアーシラトがおかしそうに口元を歪め、ラスターさんに自分の正体を告げるために声を発そうとした瞬間だった。
「——違うな、お前」
やけに硬く鋭い、いつもの調子からは想像も付かない声でサイラスが口を開いた。
サイラスはヴォカーレを握る手に力を込め、睨んでいるようにしか見えない目で彼を見据えていた。
「違うって何がだよ? 猫耳のオッサン」
「……俺が人間じゃねえから解るみたいなモンだろうけどなー」
『オッサン』という単語にサイラスの額に青筋が浮かんだが、すぐに落ち着きを取り戻し、溜め息を吐いた。
それには、どこか寂寥感も含まれているように感じられた。
「お前、人間じゃねえだろ?」
まさか自分の正体をこんな短時間で見抜かれるとは思っていなかったのか、アーシラトの目が驚きに見開かれた。
だが、それもすぐに笑いに変わる。本当に彼は良く笑う。出会ってから今まで、アーシラトの笑い以外の表情なんて殆ど見ていない気がする。
「……正解だ、オッサン! よくこんな短時間で見抜いたな」
「雰囲気からして、人間とは違うからな。そりゃ解る。……見た所、悪魔とか死神辺りか?」
これには俺も驚いた。種族まで見抜く、なんて、並外れた観察眼を持っていないと不可能に近いのではないか。
「——素晴らしい! 今までで初めてだ、種族まで見抜かれたなんてなァ!!」
「……凄い。サイラスも、こいつも」
赫い目を狂気にも似た歓喜で輝かせるアーシラトを見て、ファンデヴは呟いた。俺も同感だ。どちらも凄い。
ラスターさんはまだ信じられないのか、呆然としたままだ。それが普通の反応だと思う。
そんな俺達の目の前で、アーシラトは鎌を持っていない左手を槍の矛先へと持っていき、一息に自分の手を突き刺した。
予想さえしていなかった行動に、俺を含めた全員が息を呑んだ。
彼の手の甲から流れ出ている血の色は、人間と変わらない——赤色。
「でもよォ……死神の血も赤いってのはさすがに知らねェよなァ?」
「そうだなー……知らなかったぜ、ありがとよ」
「どういたしまして。——まぁ、世界に死神なんて俺一人しかいねェんだ、その知識も役に立たねェだろうけどな」
死神というのは、人を殺して人の魂を運ぶような者だろう。確かに、そういう存在は一人だけ居れば十分だ。
アーシラトはゆっくりと手を引き抜くと、血で真っ赤に染まった己の手を見て微笑を零した。
「——成る程な……じゃあ、お前はオレ等4人を死神として殺すつもりなんだな?」
「そうさ。決まってんだろ? 黒髪」
彼は何を解りきったことを言っているんだとばかりに言うと、鎌を自分の目の前でゆらゆらと揺らす。
「……ヘメティ、やれるか? もし無理なら、オレ等だけで何とかすっから」
「……いや、やります」
ここで自分だけ戦わない、なんてできるわけがない。逃げるなんてしたくなかった。
「——ファンデヴ、お前は行け」
「……信じる。解った。死なないで」
それだけを呟くような小さい声で言い残し、ファンデヴはサーベルを鞘に戻すと凄まじいスピードで地下室を走り去った。
「ンの赤髪ッ……! 逃がすか!」
「おっと、行かせねぇよ、死神サン?」
ファンデヴを追おうと足を踏み出したアーシラトに、ラスターさんがからかうような口調で剣の切っ先を向けた。
「……仕方がねェな……てめェらを殺ってから、アイツも殺る事にするか」
赫い瞳に、今までとは違う、どこか真剣な光が宿る。
俺は闇霧を握り直し、アーシラトに向き直った。
何かアーシラトの口調ってどっかで見たことがある気がするんだが誰だっけか…うーん(´・ω・`)
最近スランプでしにたい^p^p^p^p^p^違うのだったらさくさく書けるんだけどね!
RELAYS - リレイズ - 41 【異形の館-3】
最初この廃館に訪れたときと同じように、一同は輪を描くようにして集まった。
暫くして、遠くからやけに規則正しい足音が聞こえてきた。
「——あ、ソーマお帰り。どうだった?」
ダグラスの声に、ソーマは一度視線を彼に向けただけですぐに視線を逸らした。
「……魔術書の置いてある書斎以外には何もなかった」
言いながら、持ち出してきた一冊の古びた魔術書をダグラスに手渡す。
その横で、ラスターが頭を掻きながらぶつぶつと文句を口に出していた。
「マジかよ、オレ等もなんだぜ? 隠し部屋とか階段とかあっても良いようなモンじゃねぇか」
「オレもかなり探しはしたんだが……どうした、イーナ」
シェイドは自分の横で辺りを見回しているイーナに気付き、何か見付けたのかと問いかける。
「……今気付いたんだけど」
妙に重苦しい声で、ぽつりと呟く。
「……一人足りなくない?」
ダグラス、ソーマ、シェイド、ラスター、サイラス、ファンデヴ、そしてイーナ自身。
「——またか、あの馬鹿が」
舌打ち混じりに、不機嫌な様子を隠さずにソーマが吐き捨てる。
「そうだね……それにしても迷いやすいね、ほんと。まっ、すぐ戻ってくるよ」
「……何なら、オレが探しに行ってくる」
「大丈夫大丈夫。ヘメ君はいつもこうなんだから。どこかで道に迷ってるだけだよ」
ライフルを担ぎ直して歩き出そうとするシェイドを引き留め、ダグラスはいつも通りに笑った。
「……もしかして、隠し扉とかでも見付けて地下にでも行ってんじゃねーの?」
サイラスの欠伸をかみ殺しながら出された声に、この場にいる全員が沈黙した。
その沈黙を破ったのはシェイドでもダグラスでもない、イーナだった。
「それはないでしょ、幾ら何でも! だってあのヘメティよ? 見付ける訳がないって!」
「——それもそうだね。それじゃ、ここでちょっと待とう。それでも来なかったらみんなで探すとしようか」
「解った。……それにしても、何か……妙だな」
「え、兄サンどうしたんだよ?」
「妙って、この廃館? それとも何か違う事?」
ラスターとイーナからの質問に答えず、シェイドは足下を睨むような視線で見つめる。
「——煩いんだ、下が。まるで……誰かが斬り合っているように」
地下室を繋ぐ薄暗い廊下の中に、金属音が幾度となく鳴り響く。
容赦なく振り下ろされる巨大鎌を、俺は闇霧で辛うじて受け止め、弾き返していた。
「どうしたァ!? その刀はただの盾か!? そこにある拳銃はただの重りか!?」
怒声にも似た大声と共に来る剣劇は荒々しいが、的確に俺を狙ってくる。
当たり前のことだが、武器はほぼ同じでも使う人間でここまで変わる物らしい。ソーマとは全く違う太刀筋に、防御するしかできなかった。
鎌を受け止め、鍔迫り合いのような状態になる。
アーシラトは俺の顔を覗き込むと、鎌に更に力を込めながら口元を歪めた。
「もっと楽しませてくれよ、客人……こっちは百年くらい戦ってねェんだよ!!」
どこか恍惚とした表情で言うアーシラトに、俺は舌打ちすると鎌を弾き返した。
「アンタの事情なんて知るか! 勝手に入られたのが嫌だったなら謝る!」
「別に怒っちゃいないぜ? ただちょっと迷惑なだけさ」
彼は肩を竦めると苦笑した。死神だというのに、こういう仕草だけはやけに人間くさい。
彼が鎌なんて持っておらず、自分が死神だということを告げていなかったら、死神だなんて気付かなかったかもしれない。
「……それに俺はもうこの館を出るんだよ! 、だからさっさと帰らせてくれ!」
もうとっくに2時間は経っているだろう。早く戻らなければいけない。それに何もなかったら、この後は諦めて機関に戻る予定だった筈だ。
それを邪魔しているのは他の誰でもない、この館の主であるアーシラトだ。
俺は早く戻りたい。皆に迷惑をかけてしまうし、何よりもこれ以上この殺意に満ちた空間に居ること自体耐えられなかった。
「……さっさと帰せ? そりゃ無理な話だなァ、客人」
今まで通りの声と口調の筈なのに、どこか冷たく感じる声でアーシラトは言った。
「この俺に出会った時点で、てめェは俺に殺されて死ぬんだよ!!」
アーシラトの口元から笑みが消え、これまでとは比べものにならないような殺意が辺りに渦巻いた。
殺気や殺意という物は、空気まで震わせてしまうのか。
それを感じた瞬間、背筋に悪寒が走る。
これ以上ここに居てはいけない、逃げなきゃならないと頭では、心では解っているのに、足がその場に縫い止められたように動いてくれなかった。
視線だけを下に落とせば、闇霧を持っている右手が震えていた。
「もう抵抗する気も起きねェってか? 全く、久々の獲物だと思ったらコレだ、つまんねェったらねェぜ」
アーシラトは依然として動けずにいる俺の目の前まで来ると、鎌を振り上げた。
俺は恐怖に震えながらも、瞼を閉じずに彼を見据えていた。
「Good-bye,cowardly person.」
初めて聞いた時と同じ流暢な英語が聞こえると同時に、俺の身体に鎌が突き立てられる——筈だった。
自分の背後から聞こえる足音と、鎌が何かに受け止められる金属音。
俺の視界には、細身の長剣、サーベル、それに槍が映っていた。
それに、風圧で微かに揺れる黒髪と水色のエプロン、赤い長髪に黒ジャケット、金髪にハンター服。
ラスターさんとファンデヴが鎌を受け止めていた。
サイラスだけは、槍——彼の能力、確か名称はヴォカーレだった筈だ。その矛先をアーシラトの首に突き付けていた。
「何……ッ!?」
アーシラトが先程の大声とは打って変わって、絞り出すように驚愕の声を上げる。
「大丈夫か!?」
長剣で彼の鎌を受け止めたまま、ラスターさんは俺を振り返った。
「有り得ない、なんて事は有り得ない、か……大丈夫?」
「ったくよー、何やってんだ。俺が落とし穴見付けてここまで来なきゃ、お前死んでたぞ」
「……悪かった。でも何で三人だけ——」
「話してる暇はねぇぜ、ヘメティ」
ラスターさんは言いながら未だに残っていたらしい鎌の攻撃の流れを反らすと、一度血払いでもするように剣を振った後で構え直した。
「……こんなに客人が居るなんてなァ……主として失格か。ようこそ、愚かな客人共」
首に自分の命を奪う事が容易くできる刃物を突き付けられて尚、アーシラトの声の調子と笑み、言葉は変わらなかった。
幾度となく、このような状況を経験してきているのだろうか。それだけではない気がする。
『自分は死なない』——そんな有り得ないような事を信じている、といった感じだった。
「主……?」
「……コイツが、この廃館の主らしいですよ、ラスターさん」
「はぁ!? こんなオンボロ館に人間が!?」
ラスターさんも、俺と同じ事を口にした。アーシラトの正体が人間だ、と。
それに対して、またアーシラトがおかしそうに口元を歪め、ラスターさんに自分の正体を告げるために声を発そうとした瞬間だった。
「——違うな、お前」
やけに硬く鋭い、いつもの調子からは想像も付かない声でサイラスが口を開いた。
サイラスはヴォカーレを握る手に力を込め、睨んでいるようにしか見えない目で彼を見据えていた。
「違うって何がだよ? 猫耳のオッサン」
「……俺が人間じゃねえから解るみたいなモンだろうけどなー」
『オッサン』という単語にサイラスの額に青筋が浮かんだが、すぐに落ち着きを取り戻し、溜め息を吐いた。
それには、どこか寂寥感も含まれているように感じられた。
「お前、人間じゃねえだろ?」
まさか自分の正体をこんな短時間で見抜かれるとは思っていなかったのか、アーシラトの目が驚きに見開かれた。
だが、それもすぐに笑いに変わる。本当に彼は良く笑う。出会ってから今まで、アーシラトの笑い以外の表情なんて殆ど見ていない気がする。
「……正解だ、オッサン! よくこんな短時間で見抜いたな」
「雰囲気からして、人間とは違うからな。そりゃ解る。……見た所、悪魔とか死神辺りか?」
これには俺も驚いた。種族まで見抜く、なんて、並外れた観察眼を持っていないと不可能に近いのではないか。
「——素晴らしい! 今までで初めてだ、種族まで見抜かれたなんてなァ!!」
「……凄い。サイラスも、こいつも」
赫い目を狂気にも似た歓喜で輝かせるアーシラトを見て、ファンデヴは呟いた。俺も同感だ。どちらも凄い。
ラスターさんはまだ信じられないのか、呆然としたままだ。それが普通の反応だと思う。
そんな俺達の目の前で、アーシラトは鎌を持っていない左手を槍の矛先へと持っていき、一息に自分の手を突き刺した。
予想さえしていなかった行動に、俺を含めた全員が息を呑んだ。
彼の手の甲から流れ出ている血の色は、人間と変わらない——赤色。
「でもよォ……死神の血も赤いってのはさすがに知らねェよなァ?」
「そうだなー……知らなかったぜ、ありがとよ」
「どういたしまして。——まぁ、世界に死神なんて俺一人しかいねェんだ、その知識も役に立たねェだろうけどな」
死神というのは、人を殺して人の魂を運ぶような者だろう。確かに、そういう存在は一人だけ居れば十分だ。
アーシラトはゆっくりと手を引き抜くと、血で真っ赤に染まった己の手を見て微笑を零した。
「——成る程な……じゃあ、お前はオレ等4人を死神として殺すつもりなんだな?」
「そうさ。決まってんだろ? 黒髪」
彼は何を解りきったことを言っているんだとばかりに言うと、鎌を自分の目の前でゆらゆらと揺らす。
「……ヘメティ、やれるか? もし無理なら、オレ等だけで何とかすっから」
「……いや、やります」
ここで自分だけ戦わない、なんてできるわけがない。逃げるなんてしたくなかった。
「——ファンデヴ、お前は行け」
「……信じる。解った。死なないで」
それだけを呟くような小さい声で言い残し、ファンデヴはサーベルを鞘に戻すと凄まじいスピードで地下室を走り去った。
「ンの赤髪ッ……! 逃がすか!」
「おっと、行かせねぇよ、死神サン?」
ファンデヴを追おうと足を踏み出したアーシラトに、ラスターさんがからかうような口調で剣の切っ先を向けた。
「……仕方がねェな……てめェらを殺ってから、アイツも殺る事にするか」
赫い瞳に、今までとは違う、どこか真剣な光が宿る。
俺は闇霧を握り直し、アーシラトに向き直った。
何かアーシラトの口調ってどっかで見たことがある気がするんだが誰だっけか…うーん(´・ω・`)
優柔不断すぎてまた色々逃してしまったという俺\(^o^)/
べっべつにいいもん…その気になれば記憶で全部書いてやるんだ…!!←
でも俺の記憶って曖昧だからね!使えねぇ!!
かといって何か頼むのも気が引ける件(´・ω・`)
クソッ、無理してでもあの時点で着手すべきだったか!!
また新しい小説書き始めました。
今回は完璧自己満なので掲載はないかと…それにまたWant to return派生作品ですしね。
電撃に応募したらWant関係は取り外しちゃうんですよ(´・ω・`)
全然進んでない絶賛放置プレイ中のLet's return togetherですが、ぶっちゃけ二話目できてます^p^
ただ掲示板から引っ張ってくるのがめんd…ゲッフゲフ。
取り敢えず優柔不断を直そうと思いました。
でも何でも即決しちゃうと上手くできなくなるのよ…衝動的にやっちゃうからね…それが嫌で今回も見送ってたんだよ…
べっべつにいいもん…その気になれば記憶で全部書いてやるんだ…!!←
でも俺の記憶って曖昧だからね!使えねぇ!!
かといって何か頼むのも気が引ける件(´・ω・`)
クソッ、無理してでもあの時点で着手すべきだったか!!
また新しい小説書き始めました。
今回は完璧自己満なので掲載はないかと…それにまたWant to return派生作品ですしね。
電撃に応募したらWant関係は取り外しちゃうんですよ(´・ω・`)
全然進んでない絶賛放置プレイ中のLet's return togetherですが、ぶっちゃけ二話目できてます^p^
ただ掲示板から引っ張ってくるのがめんd…ゲッフゲフ。
取り敢えず優柔不断を直そうと思いました。
でも何でも即決しちゃうと上手くできなくなるのよ…衝動的にやっちゃうからね…それが嫌で今回も見送ってたんだよ…
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プロフィール
HN:
赤闇銀羽
HP:
性別:
非公開
職業:
ソルジャー1st
趣味:
妄想!
自己紹介:
こちらは更新凍結しました
サイトにて活動中。
手描きブログ。
FF、DMC、TOAをメインにやる予定だったのに何かオリジナル増えそう。
こちらは更新凍結しました
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