I permanently serve you. NeroAngelo
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
今更だけど、リレイズの綴りがこれで合ってるのか不安だ。
しかも消えたよばーかばーか!!
RELAYS - リレイズ - 58 【中断】
アノードが闇に紛れて消えていったのを見届けてから、シェイド大佐は安堵にも似た溜め息を漏らしラスターさんへと向き直った。
「……立てるか、ラスター」
僅かに呻き声を上げ、ラスターさんは自分に差し伸べられた彼の手を取るとふらつきながら立ち上がった。
ラスターさんの白いシャツは所々切り裂かれており、少しだけだが赤く染まっている。腕にも切り傷があったが、そこまで深くなかったのかもう既に血は止まっていた。
最初は綺麗なパステルカラーの水色だった筈のエプロンは土や血、砂で汚れてしまっている。
彼はエプロンの汚れを悲しそうに、残念そうに見つめてがっくりと肩を落とした。
「悪ィ、兄サン。これ汚しちまった。洗濯しても落ちづらいだろうな、こりゃ……折角アンタが作ってくれたのに」
「別に良い、布さえあればいつでも作ってやる。そもそも、汚したくないなら戦う前に脱げばよかっただろう」
「……はい?」
二人の会話の意味が解らず、俺は思わず間の抜けた声を上げてしまった。
ラスターさんの言葉を簡潔にまとめれば、彼の着ているエプロンはシェイド大佐が作った物……ということだろうか? いや、まさかそんな筈はない。仮にも軍人、しかも大佐の彼が洋裁なんてしない筈だ。
「どうした?」
「い、いや、どういう事なのかなー、と……」
何度か言葉を詰まらせてしまったが、やっとの思いでそれだけを口にする。
俺が何を言おうとしているのか、何に驚いているのかがやっと理解できたらしく、シェイド大佐は納得したように声を上げた。
「要するに、オレがエプロンを作ったりといった事ができるのが意外だったということか?」
「そうですそうです、っていうかシェイド大佐何なんですか!? どういう事なのか教えて下さいよ!」
俺の掴み掛からんばかりの勢いに押されたのか、彼は少し驚いたように目を見開くと俺を手で制してきた。
さっきから何が何だか、色々なことが起こりすぎてはいないか。アレス達の奇襲にしろ、アノードにしろ、シェイド大佐にしろ。
「落ち着けヘメティ。これはただ単に、オレの特技が洋裁と裁縫というだけの話だ」
考えていたまさかという予想が見事に的中していた。してしまっていた。
彼が裁縫をしている姿なんて想像できない。どうしても想像できない。というか……似合わない。
「昔っから手先は器用だったもんな、兄サンは」
「お前も器用だろう。何丁もの拳銃を一度に整備するなんてオレには到底無理だ」
茶化すように言ったラスターさんは、できる限りでも汚れを落とそうとエプロンを手で払う。だが、少し土や砂が落ちた程度で、汚れは未だに残ったままだ。
どうやっても汚れが落ちないことを悟った彼の顔が曇る。
シェイド大佐の言ったことも気になったが、それも洋裁や裁縫の話によって思考の外へとはじき出されてしまった。
「……似合わないと思ったか?」
ふっと微笑を浮かべたシェイド大佐の表情は、以前にもこれと同じようなことを言われたことがある、と言っているように思えた。
「え、いや、その……」
「別に気にしなくていい、よく言われる」
何と答えたらいいものか、と思案している内に彼に言われ、俺はただ項垂れて「すみません」と小さく謝罪するのが精一杯だった。
「……人は見掛けによらないのね」
鎖鎌をしまい、気付かない内に俺の後ろに来ていたイーナが小声で呟く。
宿屋でシェイド大佐が言った『自分は小食だ』という言葉よりも、ソーマの甘党大食い説よりも、何よりもこれが意外だった。勿論、他の物も意外と言えば意外だったが、ここまで衝撃を受けた物はない。
「——兎に角、この話は後々ゆっくりするとしよう。もし良ければ、その時にでもお前達の服のほつれた部分でも直してやるぞ?」
会話を打ち切ったシェイド大佐は、最後若干得意げに付け足した。
もし彼が良いというのなら是非やって貰いたいが、生憎俺は丁度良くほつれている服なんて持っていない。シェイド大佐の裁縫の腕がどれくらいのものなのか気になるが、仕方がない。
「……それにしても、どうするんだよ? あのド派手にブッ壊された宿に戻って謝りに行くのか?」
「まずはそれが先になるんじゃないですか? さすがに謝りに行かないのも……」
謝ったところで許されるような事じゃないのは解っている。だからといって、謝らずにこのままというのも駄目だ。結局の所、許す許さないは別として、俺達には宿に戻って謝罪するという選択肢しか残されていない。
「しゃーねぇな、めんどくせぇが戻るか。……その後はどうなる?」
サイラスは欠伸をすると、目に浮かんだ涙を指の背で拭い言った。頭の上にある猫耳が、それに合わせて微かに揺れる。
その後は恐らく、もう一度機関に戻ることになる。元はと言えば、あの廃館を出たらそのまま戻る予定だったのだから。
ただ、ベガジールに来たのはソーマの要望だ。もしかすれば、彼は俺達に言わないだけで何か用事があるのかも知れない。そうなれば、事を決める権利はソーマにある。
「……ソーマはどうしたいんだ?」
離れたところにいる、唯一アノードに武器を向けていなかったソーマに向けて問いかけてみた。
「……別に、用はない。勝手にしろ。俺はただあの町が気になったから見に来ただけだ」
言い終わると、彼は手に持っていたナトゥスの発動を解除する為に短く詠唱する。青白く発光していた巨大鎌は青白い光の粒子となり、空気中に舞いながら消え失せた。
結論からすれば、この後急いで宿屋まで戻り謝罪、その後機関に戻るという形になる。
俺だけでなく他の皆も納得したらしく、もう既に動き始めている。確かに一緒に行動しては居たが、この切り替えの速さは少し驚きだった。
「——ああ、すまない。お前達は先に行っていろ。オレは少しラスターと話す事がある。すぐに追いつく。……来い、ラスター」
シェイド大佐は何のことでもないように言うと、ラスターさんのシャツの襟首を掴むと片手でずるずると引っ張っていく。
「あ!? ンだよ兄サン! やめろって!」
彼のそんな叫び声が聞こえたが、シェイド大佐は立ち止まることなく木が生い茂っている茂みへと歩いて行った。
俺達には聞かれたくない話なのだろうか、そうでなければあんな所で離れて話す意味がない。
「……ま、アイツ等の事はアイツ等に任せるとしようぜ。んじゃ、行くとするか」
「大丈夫だと思うし、ね。それに、早くしないと夜が明ける」
ファンデヴもサイラスに同調し、もう一度大きく欠伸をしている彼の背中を軽く叩くと歩き出した。
先程からやけにサイラスは眠たそうにしているが、一体どうしたというのか。訊いてみたいが、まさか猫だから等と言われてしまってはどう反応すればいいのか解らない。ここは訊かないでおこう。
「……にしても、ソーマの奴何だって言うんだろうな。不思議な奴だ。何かこの町に思い入れでもあんのかね」
独り言のようにサイラスは言うと、ベガジールに来たときのように既に遠くに居るソーマの後ろ姿を見る。全身を黒で固めているソーマは、未だに明けない夜の闇の中に溶け込んでいる。彼の銀髪だけが、辛うじてぼんやりと見えていた。
サイラスやファンデヴ達は、あの町がソーマの故郷だということを知らない。それを言おうとした瞬間、先にイーナが発言した。
「……あの町が、あいつの故郷か何かなんでしょ?」
「な……イーナ、何でそれを知ってるんだ?」
俺はイーナに話したつもりもないし、ソーマが彼女に話すとも思えない。そもそも、ソーマが自分のことを話すこと自体が稀だ。ならば、何故彼女は知っている?
「え? 女の勘で。……何てね。あんな行動取ってたら、誰でも解るわよ」
悪戯っぽく笑い、イーナは歩く速度を速める。
誰でも、とは言うものの、彼女の観察眼が他人よりも鋭いことは今までの事で知っている。あの廃館での戦いの時、アーシラトが回避の時に必ず右足から踏み出すという事を真っ先に見抜いたのもイーナだ。
サイラスとファンデヴが驚いているのを見ながら、俺も歩く速さを早め、ソーマの後を追った。
「——で、何だって言うんだよ、兄サン」
ラスターは、目の前のシェイドを見据えて不服そうに言った。改まって話すことは何もない。それなのに何故こんな所で話さなければならないのだろう。
シェイドは無表情に彼の目を見返した。それは無表情ではあれど、無理に感情を押し殺していると表すのが正しいような表情だった。
「……お前、何を隠している」
低い声で問われ、ラスターは微かにだが確かに眉根を寄せる。
「……何のことだよ」
「惚けるな。……何だ、オレから言わないと解らないか?」
「ああ、解らねぇな。オレが何を隠してるっていうんだ」
シェイドは静かに息を吐くと、右手の白い革手袋を外した。軍人にしては綺麗な傷一つ無い手が晒される。
そして外した手袋を軍服のポケットに無造作にしまうと、無遠慮にラスターの手首を強く掴んだ。
「痛ッ……何なんだよっ!」
「……やはり冷たいな、まるで氷だ」
冷たい光を宿した目を細め、シェイドは刻み込むように、確かめるように呟いた。
『冷たい』、その言葉をラスターが聞き取った瞬間、彼の肩が何かに怯えるように震える。
「それに、ある筈の物も感じない。先程のは間違いではなかったらしいな」
アレスと戦っている際に感じた違和感、ラスターの手首に触れた瞬間に感じた違和感。それが間違いではなかったことに、シェイドは少なからず『驚愕』していた。
「何、を……」
先程までの強気な様子など消え去り、ラスターは掠れて震えた声を喉の奥から絞り出した。
未だに白を切ろうとする彼に、シェイドは苛立ちを露わにすると手首を掴んでいる手に力を込める。
「……言え、何を隠しているのか。……そして、お前の身体の事も、全てだ」
有無を言わさぬ口調、それは兄として、家族である弟に向けるものではない。軍人としての、明らかな『命令』だった。
もう言い逃れはできない、そう悟ったラスターは、辛そうに目を瞑ると口を開いた。
「……言いたく、なかったんだよ……誰がこんな事言えるかよ……」
「何……?」
ラスターは今にも泣き出しそうな表情でシェイドを見ると、話し出した。
今回はさくさく進んだよ!
しかも消えたよばーかばーか!!
RELAYS - リレイズ - 58 【中断】
アノードが闇に紛れて消えていったのを見届けてから、シェイド大佐は安堵にも似た溜め息を漏らしラスターさんへと向き直った。
「……立てるか、ラスター」
僅かに呻き声を上げ、ラスターさんは自分に差し伸べられた彼の手を取るとふらつきながら立ち上がった。
ラスターさんの白いシャツは所々切り裂かれており、少しだけだが赤く染まっている。腕にも切り傷があったが、そこまで深くなかったのかもう既に血は止まっていた。
最初は綺麗なパステルカラーの水色だった筈のエプロンは土や血、砂で汚れてしまっている。
彼はエプロンの汚れを悲しそうに、残念そうに見つめてがっくりと肩を落とした。
「悪ィ、兄サン。これ汚しちまった。洗濯しても落ちづらいだろうな、こりゃ……折角アンタが作ってくれたのに」
「別に良い、布さえあればいつでも作ってやる。そもそも、汚したくないなら戦う前に脱げばよかっただろう」
「……はい?」
二人の会話の意味が解らず、俺は思わず間の抜けた声を上げてしまった。
ラスターさんの言葉を簡潔にまとめれば、彼の着ているエプロンはシェイド大佐が作った物……ということだろうか? いや、まさかそんな筈はない。仮にも軍人、しかも大佐の彼が洋裁なんてしない筈だ。
「どうした?」
「い、いや、どういう事なのかなー、と……」
何度か言葉を詰まらせてしまったが、やっとの思いでそれだけを口にする。
俺が何を言おうとしているのか、何に驚いているのかがやっと理解できたらしく、シェイド大佐は納得したように声を上げた。
「要するに、オレがエプロンを作ったりといった事ができるのが意外だったということか?」
「そうですそうです、っていうかシェイド大佐何なんですか!? どういう事なのか教えて下さいよ!」
俺の掴み掛からんばかりの勢いに押されたのか、彼は少し驚いたように目を見開くと俺を手で制してきた。
さっきから何が何だか、色々なことが起こりすぎてはいないか。アレス達の奇襲にしろ、アノードにしろ、シェイド大佐にしろ。
「落ち着けヘメティ。これはただ単に、オレの特技が洋裁と裁縫というだけの話だ」
考えていたまさかという予想が見事に的中していた。してしまっていた。
彼が裁縫をしている姿なんて想像できない。どうしても想像できない。というか……似合わない。
「昔っから手先は器用だったもんな、兄サンは」
「お前も器用だろう。何丁もの拳銃を一度に整備するなんてオレには到底無理だ」
茶化すように言ったラスターさんは、できる限りでも汚れを落とそうとエプロンを手で払う。だが、少し土や砂が落ちた程度で、汚れは未だに残ったままだ。
どうやっても汚れが落ちないことを悟った彼の顔が曇る。
シェイド大佐の言ったことも気になったが、それも洋裁や裁縫の話によって思考の外へとはじき出されてしまった。
「……似合わないと思ったか?」
ふっと微笑を浮かべたシェイド大佐の表情は、以前にもこれと同じようなことを言われたことがある、と言っているように思えた。
「え、いや、その……」
「別に気にしなくていい、よく言われる」
何と答えたらいいものか、と思案している内に彼に言われ、俺はただ項垂れて「すみません」と小さく謝罪するのが精一杯だった。
「……人は見掛けによらないのね」
鎖鎌をしまい、気付かない内に俺の後ろに来ていたイーナが小声で呟く。
宿屋でシェイド大佐が言った『自分は小食だ』という言葉よりも、ソーマの甘党大食い説よりも、何よりもこれが意外だった。勿論、他の物も意外と言えば意外だったが、ここまで衝撃を受けた物はない。
「——兎に角、この話は後々ゆっくりするとしよう。もし良ければ、その時にでもお前達の服のほつれた部分でも直してやるぞ?」
会話を打ち切ったシェイド大佐は、最後若干得意げに付け足した。
もし彼が良いというのなら是非やって貰いたいが、生憎俺は丁度良くほつれている服なんて持っていない。シェイド大佐の裁縫の腕がどれくらいのものなのか気になるが、仕方がない。
「……それにしても、どうするんだよ? あのド派手にブッ壊された宿に戻って謝りに行くのか?」
「まずはそれが先になるんじゃないですか? さすがに謝りに行かないのも……」
謝ったところで許されるような事じゃないのは解っている。だからといって、謝らずにこのままというのも駄目だ。結局の所、許す許さないは別として、俺達には宿に戻って謝罪するという選択肢しか残されていない。
「しゃーねぇな、めんどくせぇが戻るか。……その後はどうなる?」
サイラスは欠伸をすると、目に浮かんだ涙を指の背で拭い言った。頭の上にある猫耳が、それに合わせて微かに揺れる。
その後は恐らく、もう一度機関に戻ることになる。元はと言えば、あの廃館を出たらそのまま戻る予定だったのだから。
ただ、ベガジールに来たのはソーマの要望だ。もしかすれば、彼は俺達に言わないだけで何か用事があるのかも知れない。そうなれば、事を決める権利はソーマにある。
「……ソーマはどうしたいんだ?」
離れたところにいる、唯一アノードに武器を向けていなかったソーマに向けて問いかけてみた。
「……別に、用はない。勝手にしろ。俺はただあの町が気になったから見に来ただけだ」
言い終わると、彼は手に持っていたナトゥスの発動を解除する為に短く詠唱する。青白く発光していた巨大鎌は青白い光の粒子となり、空気中に舞いながら消え失せた。
結論からすれば、この後急いで宿屋まで戻り謝罪、その後機関に戻るという形になる。
俺だけでなく他の皆も納得したらしく、もう既に動き始めている。確かに一緒に行動しては居たが、この切り替えの速さは少し驚きだった。
「——ああ、すまない。お前達は先に行っていろ。オレは少しラスターと話す事がある。すぐに追いつく。……来い、ラスター」
シェイド大佐は何のことでもないように言うと、ラスターさんのシャツの襟首を掴むと片手でずるずると引っ張っていく。
「あ!? ンだよ兄サン! やめろって!」
彼のそんな叫び声が聞こえたが、シェイド大佐は立ち止まることなく木が生い茂っている茂みへと歩いて行った。
俺達には聞かれたくない話なのだろうか、そうでなければあんな所で離れて話す意味がない。
「……ま、アイツ等の事はアイツ等に任せるとしようぜ。んじゃ、行くとするか」
「大丈夫だと思うし、ね。それに、早くしないと夜が明ける」
ファンデヴもサイラスに同調し、もう一度大きく欠伸をしている彼の背中を軽く叩くと歩き出した。
先程からやけにサイラスは眠たそうにしているが、一体どうしたというのか。訊いてみたいが、まさか猫だから等と言われてしまってはどう反応すればいいのか解らない。ここは訊かないでおこう。
「……にしても、ソーマの奴何だって言うんだろうな。不思議な奴だ。何かこの町に思い入れでもあんのかね」
独り言のようにサイラスは言うと、ベガジールに来たときのように既に遠くに居るソーマの後ろ姿を見る。全身を黒で固めているソーマは、未だに明けない夜の闇の中に溶け込んでいる。彼の銀髪だけが、辛うじてぼんやりと見えていた。
サイラスやファンデヴ達は、あの町がソーマの故郷だということを知らない。それを言おうとした瞬間、先にイーナが発言した。
「……あの町が、あいつの故郷か何かなんでしょ?」
「な……イーナ、何でそれを知ってるんだ?」
俺はイーナに話したつもりもないし、ソーマが彼女に話すとも思えない。そもそも、ソーマが自分のことを話すこと自体が稀だ。ならば、何故彼女は知っている?
「え? 女の勘で。……何てね。あんな行動取ってたら、誰でも解るわよ」
悪戯っぽく笑い、イーナは歩く速度を速める。
誰でも、とは言うものの、彼女の観察眼が他人よりも鋭いことは今までの事で知っている。あの廃館での戦いの時、アーシラトが回避の時に必ず右足から踏み出すという事を真っ先に見抜いたのもイーナだ。
サイラスとファンデヴが驚いているのを見ながら、俺も歩く速さを早め、ソーマの後を追った。
「——で、何だって言うんだよ、兄サン」
ラスターは、目の前のシェイドを見据えて不服そうに言った。改まって話すことは何もない。それなのに何故こんな所で話さなければならないのだろう。
シェイドは無表情に彼の目を見返した。それは無表情ではあれど、無理に感情を押し殺していると表すのが正しいような表情だった。
「……お前、何を隠している」
低い声で問われ、ラスターは微かにだが確かに眉根を寄せる。
「……何のことだよ」
「惚けるな。……何だ、オレから言わないと解らないか?」
「ああ、解らねぇな。オレが何を隠してるっていうんだ」
シェイドは静かに息を吐くと、右手の白い革手袋を外した。軍人にしては綺麗な傷一つ無い手が晒される。
そして外した手袋を軍服のポケットに無造作にしまうと、無遠慮にラスターの手首を強く掴んだ。
「痛ッ……何なんだよっ!」
「……やはり冷たいな、まるで氷だ」
冷たい光を宿した目を細め、シェイドは刻み込むように、確かめるように呟いた。
『冷たい』、その言葉をラスターが聞き取った瞬間、彼の肩が何かに怯えるように震える。
「それに、ある筈の物も感じない。先程のは間違いではなかったらしいな」
アレスと戦っている際に感じた違和感、ラスターの手首に触れた瞬間に感じた違和感。それが間違いではなかったことに、シェイドは少なからず『驚愕』していた。
「何、を……」
先程までの強気な様子など消え去り、ラスターは掠れて震えた声を喉の奥から絞り出した。
未だに白を切ろうとする彼に、シェイドは苛立ちを露わにすると手首を掴んでいる手に力を込める。
「……言え、何を隠しているのか。……そして、お前の身体の事も、全てだ」
有無を言わさぬ口調、それは兄として、家族である弟に向けるものではない。軍人としての、明らかな『命令』だった。
もう言い逃れはできない、そう悟ったラスターは、辛そうに目を瞑ると口を開いた。
「……言いたく、なかったんだよ……誰がこんな事言えるかよ……」
「何……?」
ラスターは今にも泣き出しそうな表情でシェイドを見ると、話し出した。
今回はさくさく進んだよ!
PR
この記事にコメントする
投票なう
プロフィール
HN:
赤闇銀羽
HP:
性別:
非公開
職業:
ソルジャー1st
趣味:
妄想!
自己紹介:
こちらは更新凍結しました
サイトにて活動中。
手描きブログ。
FF、DMC、TOAをメインにやる予定だったのに何かオリジナル増えそう。
こちらは更新凍結しました
サイトにて活動中。
手描きブログ。
FF、DMC、TOAをメインにやる予定だったのに何かオリジナル増えそう。
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
作業用BGM集
カテゴリー
最新コメント
[03/12 赤闇銀羽]
[03/12 凪ノ助]
[07/24 赤闇銀羽]
[07/15 待草]
[07/10 赤闇銀羽]
[07/10 待草]
[06/26 赤闇銀羽]
[06/25 シュリ]
最新記事
(01/07)
(05/13)
(12/30)
(12/01)
(10/24)
(10/24)
(10/14)
ブログ内検索
アーカイブ
カウンター