魔界に堕ちよう 忍者ブログ
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誰かの心に残るような小説を書きたい。
曖昧でも、伝わらなくてもいい。ただ、読んでくれた人の内一人だけでもいい。
心の片隅にでも残るような話を書きたい。
そう思う俺は馬鹿なんだろうか。

アビスのように、ルークのように、ダンテ達のように、シグマ達のように
兎に角、どんな形でもいいから誰かの心に在り続ける作品が作りたいんだ、俺は。
最低な物語でもいい。最高の物語でもいい。よく解らない物語でもいい。
俺の汚い面が露見した物語でもいい。何でもいいんだ。


そう、それこそ引っ掻き傷みたいに。


現にWant to returnは俺の理不尽な面が最後の最後で出てきた。アルディックの本心として。
嫉妬、達観、破壊願望、狂気、疑問、戸惑い、それこそ悲しみ怒り。
だからこそ、余計に思い入れが強いのかも知れない。どうでもいっか。
アルディックの心理描写はかなり描きやすい。



何でもないよ、ただ、他人に劣等感を感じているだけ。
キャラが好きなだけで大した描写もできない俺の元に居て、幸せかい?ヘメティ達。

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大晦日までの目標:今年中にリレイズ50話行くこと。
あーくんもヘメティやソーマに負けないくらい重い過去。にしても色々な面であーくんが誰かに似てる希ガス…




RELAYS - リレイズ - 46 【異形狩り】

「——昔、っつっても百年くらい前の話だ。この館は元々、どっかの金持ちの別荘みてェなモンだったらしい。もう用済み、って言ってるみてェに捨てられてたのを俺が見付けて、かなり綺麗だったから勝手に住み着いた。それだけだ」
この館はアーシラトの物ではなく元は誰かのもので、既に廃館となっていたここに住み着いた、という事か。
「その後は、ここを拠点みてェな場所にして、色々とフラフラ歩き回ってた。途中で仲間も見付けた。俺と同じ、人間じゃねェ奴をな。例えば吸血鬼、悪魔、堕天使、そういう奴等だ」
アーシラトの死神という種族と同じく、そんな存在は非現実的、空想の世界でしか存在していないとばかり思っていた。
全員が黙って彼の話を聞いている。誰も声を発しない。発せる状況でもなかった。
「でもなァ……どっかから人間が見付けたんだろうよ、そして告げ口だ。『館で平然と暮らしてる化け物』が居るってな。——それからだ」
最後怒りが混じった声で、吐き捨てるように言った。
それから、というのは、先程ファンデヴも口にしていた『異形狩り』の事に違いない。
この館の存在、アーシラト達の存在が知られてしまったことで、浮き彫りになってしまったことで、ここにも異形狩りの手が伸びた。
「……ほんっと、迂闊だった……俺がな。ちゃんと情報を集めていれば、避けられた筈なのに、って」
俯いたアーシラトは、泣いているようにも見えた。
いや、もしかすれば、本当に泣いていたのかも知れない。
「そっからはもう想像つくだろ? この館を中心として、範囲は狭ェが殺し合いさ。勿論俺も参加した」
ぼんやりとでも、予想していた通りだった。館に入る前に考えた『この近くで戦いがあったのかもしれない』という予想が的中してしまっていた事に、俺は少なからず動揺していた。
「こっちは俺を入れて十数人、あっちは数百だの千超えの人数だ。幾ら人外で、魔力だの何だの持ってるっつったって、多勢に無勢だ。全員殺されるのなんて時間の問題だった」
感情を無理に押し殺した、淡々とした口調で続ける。
その言葉、口調、声音は、聞いているこちらの胸も締め付けるものだった。
彼はそこで一度話を区切る。どこから話そうか、言葉を選んでいる様子で細く長く溜め息を吐いた。
「——最終的には全員で真っ向から突撃だ。逃げるなんて考えちゃいなかった。ただ……守りたかったんだろうなァ、自分達の居場所を」
彼等にも、彼等なりに誇りがあったのだ。
それに、自分達が今まで過ごした土地を、この館を放って置いて、逃げるなんて真似はしたくなかったに決まっている。
「まァ結局、死ねない身体の俺だけが生き残っちまったけど」
「……それじゃあ、他の……」
訊いてはいけないことは解っている。訊いても俺達に何の得もない、訊かなきゃ良かったと後悔するのは目に見えている。
それに、アーシラトの深い傷口を抉ってしまうだけだ。
それでも、訊かずにはいられなかった。
「悪魔は十字型の聖剣で切り殺された。堕天使も同じようにして殺られて——確か、羽も切り落とされたか。吸血鬼は……俺の盾になりやがった。ンな事しなくても、俺は死なねェっつのに……」
最後は、殆ど呟きのように小さな声だった。
恐らくかなり言葉を削って端的に話しているのだとは思うが、それでも陰惨なものに変わりはなかった。
頭を抱えたままで口を閉ざしたアーシラトを見る。
——やはり、訊かなければ良かった。途端に強い後悔に襲われる。
「……あー、自分から暗くしておいて何だが、あんまり暗くならねェでくれ。暗いのは好きじゃねェんだ」
「これで暗くなるなって方がおかしいでしょ!? 馬鹿!? アンタ馬鹿なの!?」
顔を上げると無理に作っていると一目で分かるような笑みで言ったアーシラトに、イーナがテーブルを叩き立ち上がった。
「馬鹿で結構だ。まァ、自分で勝手に自分の過去を話しておいて暗くなるなっつー方が無理……」
アーシラトの声が徐々に小さくなり、最後は消えてしまった。
彼の視線は、イーナに向けられたまま固定されている。
「……何だ、てめェ。何で泣いてやがる?」
彼女の目からは、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちていた。
「……だって……こんなの、酷すぎる……よ……ッ」
涙声、それも途切れ途切れで必死に言葉を繋げるイーナは、見ていて辛かった。声も、聞いている人間の胸を締め付けるかのような、悲しみに溢れた声だった。
何となく、貰い泣きをする人の気持ちが解るような気がする。
「——優しいんだなァ、てめェは」
どこか自嘲めいたような響きを持った言葉とは裏腹に、アーシラトは今までとは全く違う、優しげな微笑を浮かべていた。
死神にはいささか似合わないと思われる、心の底から嬉しくて、喜んでいて笑っている、といった感じの微笑。
「……な、別にそんなんじゃ……!」
「泣くんじゃねェよ、ったく。言っちゃ悪ィが、似合わねェぜ?」
「ばっ、馬鹿にしないでよ!」
こんな状況下で思ってはいけないことなのだろうが、先程の彼の言葉は殆ど口説き文句にしか聞こえない。遠回しでなくても、あれは『イーナに泣き顔は似合わない』と言っている。
もっと言えば『似合わないから笑っていろ』とも取れるのではないか。
「ハハッ、そうだ、それでいいんだよ。……話に戻るが、良いか?」
「え? あ……うん、大丈夫よ」
まだ若干涙が混じっていたが、イーナは目に浮かんでいた涙を手の甲で拭うと頷いた。
「……結局、だ。俺が人間を襲うのは、きっと死神の性とかそういうんじゃねェ……そうだな、憎悪……いや、復讐とでも言った方が正しいかもしれねェな」
自分の仲間を殺した人間達への復讐、それが彼の行動理由なのか。
「だからって、俺達は……」
「解ってる」
彼等を無惨に殺したのは、自分達と同じ人間だ。
だが、俺達は何の関係もない。俺に至っては、異形狩りの事も知らなかった。その上、アーシラト達、死神や悪魔の存在さえ信じていなかった。
アーシラトは俺の発言を強い口調で遮った。
「解ってんだ、それくらい。他の人間を襲うノなんて、殺すのなんて筋違いだ。……それでも、耐えられなかったんだ……だから、この地下に一人で居たんだよ」
一体、彼はどれだけ苦しんできたのだろう。
頭では、心の中では理解していても、それを止められない。いつも、後には後悔しか残っていなかったに違いない。
「……復讐心ってのは、深く根付くモンだな。自分でも、こんなに囚われてるなんて……馬鹿馬鹿しい」
「——そんな事はない、復讐に囚われてしまうのは、誰だってそうだ。ただ、それを断ち切れるか、断ち切れないか。違いはそれだけだ」
アーシラトはしばらくの間、言い切ったシェイド大佐を驚いたように見つめていたが、不意に視線を逸らした。
「成る程なァ……そういう考えもあるか。取り敢えず、俺の話はこれで終わりだ」
曖昧な独り言をこぼし、彼は全てを話し終えたらしくそう締め括った。
話が終わったにもかかわらず、誰も口を開こうとしない。いや、開こうとしてもできないのだ。
俺も、何と言って良いのか解らなかった。
普通に『それじゃあ俺達は帰ります』なんて言って出て行けるわけがない、だからといって、ずっとここにいることもできない。
どうしたらいいのか、と本気で焦りだしたとき、アーシラトは欠伸をかみ殺したような声で言った。
「さて、と……俺は別にてめェ等の事に興味はねェ。他に何か訊きてェ事は? 一応死んで自分が連れてった人間は全員覚えてっけど」
彼の言葉が終わるか終わらないか、というタイミングで、ファンデヴとシェイド大佐が同時に椅子を蹴り飛ばさん勢いで立ち上がった。




変なところで切りやがったなこの野郎とか言われても聞こえない。だって仕方ないだろ←

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りれいず すすまない


どうしようどうしようどうしよう、このままじゃ目標の「今年中に50話」ができなくなる…!
現実逃避して短編書いてる場合じゃなかった!!\(^o^)/


それはそうと、プロフ欄に手ブロをはっつけました。
ペンタブ買ったもん!買って貰ったもん!誕生日とクリスマスとお年玉のまとめで!!
しょっちゅうペンなくしたりするけど楽しいぜ^p^p^p^p^
ちなみにあれです、手ブロも多分アルディックばっかり描くと思うんだ。
俺の中でのアルディックブームが過ぎ去るまではアルディック祭にしようかな!←

ちなみに手ブロの冷音ソーマとシェイド大佐はマウス時代の産物。
ぶっちゃけまだマウスの方が楽だったりするんだ…色塗りなんてまだマウスだぜ…!
要するに使い分けが大事ってことね←

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ソーマの誕生日だ!!
や、俺とソーマの誕生日が同じなんだけどね!!

誕生日と言っておきながら何にも企画してません。ごめんねソーマ。
その代わりついったでりゅーがソーマbot作ってくれたぞ!すげーぞ!!

兎に角ね、うん、もうね。何ていうか。
ぶっちゃけソーマができたのって2月14日なんだよね、バレンタインデーなんだよね。
設定上では今日が誕生日なんだよソーマの←


誕生日おめでとう、ソーマ。
これからも鎌ぶん回しまくっちゃってください。

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タイトル通り。
中学三年生、それも未だに小説執筆が趣味でしかないただの堕ちこぼれが偉そうに語ってみる。
別におかしくなったとかじゃないからね!?ただちょっと真面目になりたくなっただけなんだから!
ちょっとね…うん、あの、ハチさん(結ンデ開イテ羅刹ト骸の人)のブログ見てたら何か…影響受けちゃった\(^o^)/

ちょっと本気でアレなので追記に回します。
もしかしたら今まで書いてきた作品(っても完結したのはWantだけだけど)をバッサリと閻魔刀や正宗やバスターソードで一刀両断してしまうような問題発言かもしれないので。
気分を悪くしてしまったら、本当に申し訳ないです;でも苦情は受け付けません。
ちなみに反転はしていません。

(追記)

見直したら超乱文でした。おわた俺。
それでもいい方はどうぞ。無理でしたらすっ飛ばしちゃう方向で。

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取り敢えず50話目前とかすげぇと思う。
炉心融解はやっぱりいいぜ^p^




RELAYS - リレイズ - 45 【過去】

「……おい、どこに連れて行く気なんだよ」
「うるせェっつーの、黙ってついて来やがれ」
アーシラトに連れられ、俺達は地下に来ていた。部屋と部屋を繋いでいる廊下は、相変わらず薄暗い。
そして歩きながら彼が説明してくれて解ったことだが、この館には色々な所に罠……というよりも仕掛けが施されているらしい。
俺が引っ掛かった落とし穴なんて、その大量にある仕掛けの中の一つ。それもかなり簡単な物だったという。
もっと複雑な仕掛けになると、ダグラスさんがアーシラトにかけたような呪縛魔法の類もある、との事だった。
要するに俺は……アーシラトから言わせてみれば『馬鹿』。自分でもあれは少し注意が足りなかったとは思う。だがこれは……ないだろう、さすがに。
なんだ、この敗北感。
シェイド大佐はもう既にボレアーリスをしまい、辺りを見回して一人でぶつぶつと何かを呟きながら、時折納得したように頷いていた。ある意味怖い光景だった。
皆が物珍しそうに壁を見たり触ったりしているのとは裏腹に、ソーマだけが、何も興味を示さずに歩き続けている。こいつの性格からして興味を持たないのはいつものことだが、今回だけは何故か妙に感じてしまった。
「——よし、着いたぜ」
廊下の最奥、行き止まりには、どこの屋敷にでもありそうな両開きの扉があった。
色が黒い以外は、あの書斎で見た物と同じような物だった。ただ違うのは、目の前にある扉が掃除されているかのように綺麗だったことだ。まるで、今でも誰かが使っているように。
アーシラトは扉の取っ手に手を掛け、ゆっくりと開いた。
その直後俺達の目に飛び込んできたのは、豪華な赤絨毯に真っ白いテーブルクロスが引かれたテーブルに椅子——どう見ても、金持ちの人間が住む屋敷にある部屋だった。
「え……これ、どういう事なんだ……?」
状態が上手く呑み込めず、俺は戸惑いながら呟いた。廃館になってかなりの年月が経っている館の地下に、人間が普通に住めそうな空間があるのだ。戸惑って当然じゃないか。
「……成る程、大体解った。この扉の向こうの部屋はお前の居住スペースか、アーシラト」
「お、呑み込みが早ェな、ミイラ……や、軍人」
「お前今言いかけただろう、本気で殺すぞ」
「やめとけってシェイド、コイツ不死だから」
包帯のせいで隠れているため解らないが、シェイド大佐は恐らく額に青筋を浮かべ、引きつった笑顔でボレアーリスに手を掛けている。
今にも銃口をアーシラトに向け発砲しそうなシェイド大佐の肩を叩き、サイラスが苦笑しながら不死だと言うことを告げた。
それにも驚くことなく、一瞬考えた後で大佐は恐ろしいことを口にした。
「そうか、ならば死にたくとも死ねない苦痛を永遠に」
「大佐、それ残酷すぎる上に脱線してます!!」
今のシェイド大佐ならばやってもおかしくはない。目が本気だった。
その目を見るだけで、一切関係のない俺も足が竦んでしまう。これが大佐の本気か。
「何だ、てめェの名前シェイドって言うのかよ。さっさと教えればミイラ男言わなくて済んだのになァ」
「……馬鹿にしているのか?」
「いーや、全然そんな事はねェよ。兎に角てめェ等さっさと入れ」
半ば強制的に押し込まれるようにして、全員が部屋の中に入る。
室内も、扉と同じで綺麗に掃除されていた。テーブルクロスには染み一つない。
「ホラ座れ! 座んねェと話できねェだろうが!」
「さっきから命令するな! 驚いてるだけだろ!!」
何故こうも彼はここまで独裁者気質……もとい、偉そうなのだろうか。彼の性格なのだから、とやかく煩く言うつもりはないが。
テーブルや部屋の家具と同じく、新品のように綺麗な椅子に腰掛ける。
全員が座ったのを確認してから、全員を見渡せる位置にある椅子——縦に長いテーブルの一番端と説明したらいいのだろうか、その位置にアーシラトも座った。
「生憎、この館には客人に出せる紅茶も何もねェよ。悪ィな。——それじゃ、早速だがいいか? 話すぜ?」
「勿論。その為に僕等をここに呼んだんだろう? 話してくれ」
ダグラスさんは苦笑しながら、指を組むとテーブルに置いた。その目には、どこか好奇心のような物も見える気がする。
「……まずは、何でここに俺が棲んでるのかって話だったが……これは次の理由を言ってからの方が伝わりやすいだろうから今は言わねェ。ってか言えねェ。その代わり、だ」
アーシラトはそこで一呼吸置き、無理に感情を押し殺しているような声で、それでもはっきりと言った。
「何でここが廃館になったのか、何で俺がここで一人で居るのか。それと何でてめェ等を襲ったのか。全部話す」
この話題を持ち出す前まで漂っていた、廃館には似つかわしくないと思われる明るい雰囲気が一瞬にして消え去る。皆無駄にふざけたりはしない、と、纏っている雰囲気が語っている。
「……理由は三つある。まず一つは、俺の性——いや、死神の性って言った方が正しいかもしれねェな」
「死神の……?」
「そうだ。簡単に説明すりゃ、死神は人間の魂とか霊体とかいうのを運ぶ役目を担う奴だ。いつもはそこら辺彷徨ってるのを見付けて運んでやる。……オイてめェ等、何痛い奴見るみてェな目で見てやがる!! こっちは大真面目なんだぞゴラァ!!」
知らず知らずのうちに、白けた目線で見てしまっていたらしい。テーブルを叩いて立ち上がったアーシラトに、俺は悪かったとだけ返した。
別にそういうつもりはなかった。ただ、いきなり言われても整理できない。それから……だと思う。
「別にオレは見ていないぞ。続きを」
シェイド大佐は至って冷静に、彼に続きを促した。
「解ってるっつの。……ただな、たまーに来るんだよ。『飢え』ってのが。人間の魂を見たい、運びたい、終いには自分の手で殺して連れて行ってやりたい、なんていうハタ迷惑なのがな……まァ、吸血鬼が血に飢える感じと思ってくれればそれでいい。そんで、丁度てめェ等が来たのと今回重なっただけだ。……悪かったな、ホントに」
アーシラトは言い終わり、深く溜め息を吐くと片手で頭を押さえ、俯いた。
耐え難い欲望。それに抗うのは人間でも死神でも難しい。
今回は、本当に偶然が幾つも重なっていたのだ。
「……それじゃあ、今はどうなんだよ?」
ラスターさんの問いは最もだった。それならば、今はどうなのか。今だって同じじゃないのか。
アーシラトはマントの裾を握りしめると、苦しげに答えた。
「あァ……うん、まあ、言っちゃ悪ィが、かなり我慢してる所があるなァ……武器がないから仕方なくって感じになってる」
自嘲が混じっていた。これくらいのことすら我慢できないのか、といったような自嘲が。
「まっ、大丈夫だろ。それと二つ目なんだが……聞いて怒るなよ、てめェ等」
「怒る? 何で怒る?」
「そういう可能性があるからだ」
未だに首を傾げているファンデヴを放っておき、アーシラトは先程の寂寥感などどこへやら、星が付きそうな程明るい口調で告げた。
「二つ目。まあこれは殆ど影響してねェが……遊びだ、遊」
言い終わる前に、アーシラトの右頬を掠めるようにして銃弾が、左頬を掠めるようにして氷柱が、彼の後ろの壁に穴を空けた。
シェイド大佐とソーマが音もなく立ち上がり、アーシラトのこめかみに銃口を、首元にナトゥスの刃を突き付ける。
「貴様、本当に死にたいようだな」
「血が見せたいのなら見せてやるぞ。お前の血を、だが」
「だからちゃんと前置きしただろうが。怒んなーって。な? ついでに言うぜ? 俺の場合は飢えが2割に遊びが一割、後の7割が三つ目の理由だ! 殆ど二つは影響してねーんだっつの!!」
「あーもういい加減にしろよ!! 話が全然進まねぇだろ!! 落ち着け三人とも!!」
サイラスの鶴の一声にも似た言葉に、二人はすぐに武器を下ろし、席に着いた。
「……三つ目。これはかなり長い話になる。俺の過去だ。——この中で、歴史に詳しい奴は居るか?」
彼の過去、確かに長い話だろう。人間の寿命なんかと比べものにならないくらい、長い刻を生きているのだから。
「歴史? ファンデヴが詳しいけどな」
「そんなでもない、と思うんだけど、どうなんだか。まあ、知ってるといえば、知ってる」
ファンデヴは首を横に振って否定したが、アーシラトは意味深な笑みを浮かべ、問いかけた。
「それで十分だ。そこで赤髪、質問だ」
意味深な笑みが、何故か寂しげな物に変わる。
「今から百年前くらい前、都市の一部の連中が考えついて実行したことの中に、何があった?」
どうやら、ウィジロの事は知っているらしい。広間での会話のときもそれと思わせるような事は言っていたのだから当然かも知れないが。
「……三つ、くらいあった筈。一つが都市の拡張、これは今でも続いてる。……もう一つが自我を持つ機械人形の生産」
俺が話に聞いたり、読むのは苦手だが暇つぶしに、と資料を読んでいたときに見聞きしたことがある内容と一致している。別に疑っていた訳じゃないが、ファンデヴは詳しいのは本当のようだ。
都市の拡張は今でも続いている。機械人形の生産は、確か俺の記憶なら途中で中止になった筈だ。
最後の一つが解らない。そこまで覚えていなかった。
「最後の一つは——」
言い終わる前に、ファンデヴが何かに気付いたように顔を上げた。
「……多分正解だ、赤髪。最後の一つは、人間でも動物でもねェ生き物を排除する、『異形狩り』さ」
俺を含めた全員が、驚きと戸惑いが入り交じった視線を彼に向ける。それには、「まさか」という予測も入っているように思えた。
「さァ、ここからだ、本題は。……ちゃんと話について来いよ、てめェ等」
負の感情か、それともまた違う理由でか、心なしか先程よりも低くなっている声でアーシラトが話し出した。
——酷く残酷な、自分の過去を。




視点変更できないしにたい^p^p^p^^^
リレイズは三人称でやるべきだったwwwwwwww

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取り敢えずコメディを交えていかないと色々書けない俺。
悪ノ召使やっぱりいいわ^p^




RELAYS - リレイズ - 44 【訊問】

「……さて、色々話を聞かせて貰おうかな?」
微笑を湛えたままで自分を見下ろしながら問いかけてくるダグラスさんを、倒れて身動きが取れないままのアーシラトは顔だけを上げて睨み付けた。
「ふッ……ざけんじゃねェぞ!! てめェらに話す事なんて何もねェっつーの、バーッカ!!」
「……失敗じゃないのか、これは」
「いや、身動きは取れなくなっているから成功で良いだろう、あの本にも書いてあった」
そのダグラスさんの隣で、ソーマとシェイド大佐が同じく彼を見下ろしながら話し合っている。
それが勘に触ったのか、アーシラトはダグラスさんに向けていた赫い眼を彼等に向けた。
「少しは黙りやがれ、そこの死神モドキとミイラ男!!」
恐らく二人に取っては禁句であろう単語が飛び出した瞬間、二人の周辺の温度が急激に下がったような錯覚を覚えた。
「司令官。ここはオレが止めを刺す」
「ふざけるな、貴様は下がっていろ。俺が殺る」
「二人とも駄目だよ!! まず話を聞いてからじゃないと!!」
ちょっと待て、じゃあ話を全部聞いた後はいいのか?
「兎に角落ち着けよ兄サン、どうせ相手は身動き取れねぇんだから、後で幾らでも蜂の巣にできるって」
「……それもそうか。よし、今少しの間だけは猶予を与えてやろう」
「その偉そうな態度がムカつくんだよ!! 何様だてめェ!! あァ!?」
「実際偉い。地位は高いぞ? 大佐だ、大佐」
シェイド大佐のどこか見下すような光が宿っている薄い黄色の眼で見据えられ何も言い返せずに居るアーシラトに、俺は心の底から同情してしまった。可哀想に。
殺す標的として狙っていた相手に動きを封じ込まれ、見下され、終いには口でも負けているのだ。
「……それじゃあ、聞こうか。まず死神さん、あなたの名前は?」
「何で教えなきゃならねェんだよ」
呻きにも似た声で反論したアーシラトに、ダグラスさんは長く細い溜め息を吐いた。
「大佐」
声に被さるようにして、シェイド大佐は懐からもう一丁拳銃を取り出すと、アーシラトのすぐ傍の床に向かって数発発砲した。
「言え、命令だ」
流石現役の大佐、と感心してしまいそうになるほど有無を言わさぬその口調と声音に、アーシラトも観念したのか、自分の目の前、それも5センチも離れていない床の銃痕を見て溜め息を吐き、口を開いた。
「……アーシラト、だ。アーシラト=サラスヴァティー。種族は死神。これでいいか?」
「よし、名前は良いよ。じゃあ何でこの廃館に棲んでいるんだい?」
「そこまで訊くかてめェ!! 大体どいつも偉そうにしやがって!!」
ほぼ絶叫に近い叫び声だった。
彼には悪いが、俺達だって訊かなければいけないことがたくさんあるのだ。これだけは我慢して欲しい。
「何なら、僕の地位も明かそうか?」
「ダグラスさん、それ以前にアーシラトは機関の事自体知らないと思うんですけど」
アーシラトが言っていた『百年くらい戦っていない』ということを考えると、彼がこの廃館から百年ほど出ていない可能性もある。
俺には機関がどれくらいの歴史を持っているのか解らないが、百年前から存在しているとは思えなかった。
「機関だァ? ンなモン俺は知らねェぞ」
「ほら、知らないじゃないですか。これじゃ埒があきませんよ」
リレイズ総司令官という地位を出せばどうにかアーシラトも大人しくなるんじゃないか、と思っていなかった訳じゃない。逆にそうだったらいいな、と少なからず望みを抱いていたほどだった。
「……じゃあ、こう表しておこうか。『世界的に有名な大都市と対立している世界的に有名な世界保護機関の総司令官』ってね?」
「……何の事だかさっぱり解んねェ……大都市は何か解る気もすっけど……」
「都市の事以外は、君がこの廃館から出れば解るよ、すぐに。……さて、次だね」
アーシラトはいまいち話が飲み込めていないようだったが、ダグラスさんはどんどん話を進めていく。
彼を封じ込めている魔術が、いつ解けるか解らない事もあるのだろう。効果が永遠に続く魔術なんて存在しない。
今はアーシラトの倒れている床全体に赤い魔法陣が描かれているからいいものの、それが消えたらどうなるか、なんて考えなくても解ることだ。
それを解っているからか、俺を入れて全員が武器をしまおうとはしなかった。
「答えが解りきっている問いだとは思うけどね。……何で襲った?」
「解ってんだったら訊くんじゃねェよ、そんなの決まってんだろ。俺が死神だからさ」
吐き捨てるように、何度も同じ事を言ってきたんだと言いたげな口調だった。
だが、俺はその言葉の裏に何かを感じた——気がしただけかもしれない。それでも、何かを感じ取っていた。
「……本当にそれだけなのか?」
「……どういう意味だ」
俺を襲ってきたのは、死神だからなんて理由だけではないように思えた。
もしその理由だけなら、派手に壁を壊したり、楽しそうに笑い声を上げて自分の居場所を知らせたりなんてせずに、後ろから気配を殺して近づいて殺すことだってできた筈だ。
それをしなかった、何か理由がある。
「本当はそれだけじゃないんだろ? 俺を襲ったのは」
アーシラトが驚愕したように目を見開いた。その目が、何故解ったんだと言っているように見える。
「……ここで話すには長くなるんでな。ちょっとそれは後回しでいいか? 何で俺がここに棲んでるのかもそん時に言ってやるさ」
「構わないよ。後で話してくれるなら、ね」
ダグラスさんは少し前までの冗談めかした雰囲気とは違い、静かな声で言った。
「……ま、話さなかったら、今度こそ撃ち抜かれるだろうよ」
苦笑して、サイラスはシェイド大佐の肩に手を置いた。身に纏っている雰囲気はもういつも通り飄々としているが、未だにヴォカーレの発動を解いてはいない。
「後は……すまないが、もう殆ど訊くことはないんだよ。何で襲いかかってきたのか、その理由が一番聞きたかったんだが、今話してくれないんじゃ仕方がない」
ダグラスさんの言うとおりだ。
それが一番訊きたかったことなのに、それを話してくれないんじゃ仕方がない。壁を破壊しておびき出してダグラスさんの詠唱時間を稼いで、やっとの思いで魔術まで掛けて聞き出したのが名前だけ、というのもおかしな話だが。
「じゃあさっさとこの妙な術解けよ、こっちは身動き取れなくてイライラしてんだ。それに解いてくれたら全部教えてやるぜ?」
アーシラトは引きつった笑みを浮かべ、怒りかその類の感情で微かに声を震わせる。
「それは無理なんだよねー、だって君今この状況で術解いたら絶対また襲ってくるだろう? いくら教えてくれるって言われてもねぇ」
「司令官。その時はオレが動きを止める。……もし不審な動きをしたら、足の一本はなくなると思っておけ」
「兄サン久々に本気だな。まだ怒ってんのか」
シェイド大佐は肩を震わせて反応し、何を思ったかアーシラトではなくラスターさんにボレアーリスの銃口を向けた。
「怒るに決まっているだろう!! 誰がミイラ男だ、誰がッ!! 本気で蜂の巣にしてやろうか、死神!!」
「取り敢えず落ち着けって! な!? 切れれば何するか解ったモンじゃねーんだから!」
今まで見たこともない形相で、シェイド大佐は一度ラスターさんに向けた銃口をアーシラトの頭に突き付けた。
それをラスターさんが後ろから羽交い締めにして必死に制止する。
そんな二人を見ながら、俺は溜め息混じりに提案した。
「……じゃあ、アーシラトに絶対もう襲ってこないって誓わせてから術を解けばいいんじゃないか?」
彼の性格からして、約束してそれを破るなんてことは……しそうで怖いな。自分で言っておいて何だが、しそうで怖い。
「別に僕はいいよ? ……みんなは?」
「私はどうでも。危なくなったらすぐ逃げるから」
「勝手にしろ」
「安心しろ、もしまた奇襲がきたらオレが足を吹き飛ばしてやる」
「兄サン、マジでそれやんなよ。……オレもまあ別にいいけど」
「判断は全部、ダグラスに任せる」
「俺も全員と同意見だな。取り敢えず危なくなったらみんなで逃げるっつーことで」
約三人程度が判断を放棄した。ソーマは……まあ予想はついてたけど。
「——今話した通りだ。今後、僕達にその鎌を向けないと誓うかい? もし誓ってくれるなら、今ここで解除してあげよう」
「もし破ったら?」
「さぁ? まあそれはそこの大佐にでも訊いてみればすぐ解るよ」
ダグラスさんは今まで通り微笑んでいたが、俺にはそれが悪魔の微笑みに見えて仕方がなかった。
意味深に言葉を濁す辺りがまた、すごく怖い。聞いているこっちの背筋に悪寒が走る。
「……わーかったよ! 誓ってやるよ!! それでいいんだろ!?」
「うん、解った。それじゃあ」
即答したダグラスさんが音高く指を弾いた瞬間、アーシラトを囲んでいた魔法陣が澄み切った音を立てて砕け散った。
「さ、もう動けるだろう?」
アーシラトは恐る恐るといった様子で床に手をつき、ふらふらと立ち上がった。
「じゃあ、さっき言ったとおり、全部……」
全部話してくれ、と言おうとしたのだろうダグラスさんの言葉を遮る形で、何か堅い物に刃物が突き刺さるような音が聞こえた。
何事かと思いアーシラトを見てみれば、瓦礫の欠片が散乱している廃館の床に彼の巨大鎌が突き刺さっていた。
「鎌はここに置いていく。それと俺は魔術なんて高尚なモンは扱えねェんでな。これで俺は無力って訳だ。これでいいよな? ……まあ言ったとおり、ここで立ち話するには長い話なんでなァ……ちょっと、付いてきて貰うぜ?」
「勿論。……それじゃ、みんな行こうか」
俺も含めて全員——いや、ソーマは違うか。ほぼ全員が頷き、言ったとおりに鎌をその場に放置して歩き出したアーシラトの後を追って歩き出した。




シェイド大佐は初期設定で本当にサディスティック軍の大佐だったのよ…ドSだったんだからねっ←

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