I permanently serve you. NeroAngelo
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ここまで進んだのって奇跡じゃね?←
新しい奴出てくるよー。ベネトナシュって10月22日の誕生日星で面倒見の良さって星言葉らしい。
そして間違えた、36じゃなくて37だった\(^o^)/
RELAYS - リレイズ - 37 【束の間】
サイラスとファンデヴの二人と別れた俺は、まず自室に戻ってきていた。
長く続いている廊下の一番端、そこが俺の部屋だ。隣は何故か物置になっている。
以前その部屋を使っていた能力者が、『もうあの部屋は要らないから物置にでもしてくれ』と言ったらしい。
何も物置にしなくても、整理整頓して掃除をすればまだ使えるだろうに。何で物置という選択肢を選んだのか。
それに従うダグラスさん達もダグラスさん達だ。そこは反論するべきじゃなかったのか。
堂々と『物置』なんてプレートが貼られているドアを見てそんな事を思い出しながら、自分の名前が書かれているドアを開け、室内に入る。
俺の部屋は白が基調となっている。一見すれば病室にも見えるかもしれない。ベッドだって白い。
カーテンの色も白だ。遮光性は別に必要ない。日の光を浴びるのは結構好きだ。
別に他の色が嫌いという訳ではない。現に俺の服装なんて灰色のシャツに赤いズボンに黒ブーツだ。
ただ、何となく白で統一したかった、というだけで、はっきりとした理由はない。
クローゼットにベッド、テーブル、椅子、その他にも、生活するための家具は置いてある。
ただ一つ、本棚だけは置いていない。読書が苦手で本を読まないのだから、置いても意味がない。
俺はベッドに歩み寄り、急いで出てきた割には案外整ったままのシーツの上から枕をどけた。
「あー……やっぱり忘れてたか」
枕のすぐ下から出てきた赤と黒の携帯電話を手に取り、俺は安堵の溜息を漏らした。
「まああれか、落とさなかっただけマシか……」
忘れてきたのではないか、という考えではあったが、もし落としでもしていたらどうしようかと頭の隅で考えていた。
もし本当に落としていたのなら、またリグスペイアまで戻って探さなければならない。誰かに拾われてそのままその人の物になっている可能性もあるのに、だ。
そうなったときの事を考えると、眩暈がする。
闇霧をベッド近くに立てかけ、ホルスターがなくベルトに挟み込む形で収納していた拳銃を隣に置くと、ベッドに腰掛けた。
やっぱり自室、自分の空間というものは落ち着くものだと思う。
しばらくぶりに帰ってくる、自分の居場所。心が落ち着くその感覚が好きだ。
カーテンが閉まっている窓から入り込む光は、橙色を帯びて薄く室内に色を付けていた。
純粋に、素直に、綺麗だと思う。
これさえも、いつか失われてしまうのかと思うと、心に穴が空いたような、空虚な感覚を覚えた。
息を吐こうとした瞬間、突然ドアがノックされた。
静寂の中に割り込んできた音に驚いたが、すぐに立ち上がるとドアを開けた。
そこに立っていたのは、俺も数度くらいしか話したことがないであろう男性だった。
灰色の長髪に、鳶色の瞳。それにいつも笑っているような口元。身に纏っているのは白衣。
彼は軽く会釈をすると、口を開いた。
「……突然、すみませんね」
「え、えっと……研究班の——あれ?」
見たことはある。ただ、相手には失礼なのだが、名前が解らない。
「……ホリック。ホリック=ベネトナシュですよ。話したことも殆どないのですから、解らないのも仕方がないです」
「え……あ、すみませんホリックさん」
困ったように笑ったホリックさんに、今度は俺が頭を下げた。
「気にしないで下さい。——そうだ、忘れていました。これ」
彼の優しい言葉と共に差し出されたのは、黒を基調とされているホルスターだった。
「拳銃、持ってるんですよね? なのにホルスターは持っていないなんて。危ないですから」
手渡されたホルスターを近くで見てみると、金具の部分が十字架のような装飾になっている事が解る。
俺が好きな装飾だ。十字架などのモチーフはかなり気に入っている。
気付かれることが本当に少ないが、右耳にだけ十字架のピアスも付けている。気付く人間なんて、本当に少数だ。
1年くらい行動を共にしているソーマでも、恐らく気付いていないと思う。まあ、アイツは他人に対しては無関心だから仕方がない。
ダグラスさんは最初から気付いていた。記憶を無くして行き倒れていたらしい俺を見付けたのがあの人だったのだからそれも当たり前だが。
「——ありがとうございます、ホリックさん」
「お礼なんて要りませんよ。丁度良さそうなのがあったので持ってきただけです。こういうデザイン、好きでしたよね?」
「え? はい、好きですけど」
「やっぱり。自分の読みが当たると嬉しいものですね。それじゃあ」
ホリックさんは意味深な含み笑いを残し、踵を返した。
その背中を見送ってから、俺はドアを閉める。
先程貰ったホルスターに、ベッドの上に放置していた拳銃をしまう。
それを一度見つめて、傍にあった棚の上に置いた。
機関の中でなら、持ち歩かなくても闇霧だけ背負っていれば大丈夫だ。
そんな事を言えば、またソーマやダグラスさん、アイドに『いつでも武器は持ち歩け』と言われてしまうだろうか。
立てかけておいた闇霧を背負いながら壁にある時計を確認すると、まだ寝るにはかなり時間があった。
このまま部屋で寝ているか、それとも本部の中を歩いてみるか、それとも誰かと話をするか、だ。
——そういえば、シェイド大佐やラスターさんやイーナはどうしただろうか。
三人とも、部屋にはアイドとダグラスさんに案内された筈だ。
アイドはあの後ダグラスさんに捨て台詞を残して逃げてから、見かけていない。
未だに逃げ続けているのか、もう捕まってしまっているのかも解らない。
もし捕まっていたら、もう研究室から出てこられないんじゃないか。仕事——もしくはパシリを押し付けられて。
いっそソーマと話でもしようかとも考えるが、アイツと話せる訳がない。一言二言言葉を交わして『それじゃあ俺は帰るから』と言って出てきてしまうのが目に見えている。
手合わせなら、一階に訓練場もあるからできる……とは思うが、またソーマに軍での手合わせと同じ事をされるのではないかと考えると怖くて誘うこともできない。
あのときに突然首を絞められたのは、本当に軽くだがトラウマになってしまっている……らしかった。
「……どうするかなぁ」
口に出してみても、何か名案が浮かぶわけでもない。
このままここにいても、時間を無駄に潰すだけだ。
「ちょっと色々見て回ってみるか……」
1,2年、もしかすれば3年は居る本部なのだから、解らないところがあるとは思えないが。
ただ、たまには見て回るのも面白いかもしれない。
サイラス達を案内したときは、部屋の隅まで詳しく見て回れなかったのだ。
俺は立ち上がると、一度大きく伸びをしてから部屋を出た。
ホリックがジェイド大佐みたいになった。ジェイド大佐好きよー。
新しい奴出てくるよー。ベネトナシュって10月22日の誕生日星で面倒見の良さって星言葉らしい。
そして間違えた、36じゃなくて37だった\(^o^)/
RELAYS - リレイズ - 37 【束の間】
サイラスとファンデヴの二人と別れた俺は、まず自室に戻ってきていた。
長く続いている廊下の一番端、そこが俺の部屋だ。隣は何故か物置になっている。
以前その部屋を使っていた能力者が、『もうあの部屋は要らないから物置にでもしてくれ』と言ったらしい。
何も物置にしなくても、整理整頓して掃除をすればまだ使えるだろうに。何で物置という選択肢を選んだのか。
それに従うダグラスさん達もダグラスさん達だ。そこは反論するべきじゃなかったのか。
堂々と『物置』なんてプレートが貼られているドアを見てそんな事を思い出しながら、自分の名前が書かれているドアを開け、室内に入る。
俺の部屋は白が基調となっている。一見すれば病室にも見えるかもしれない。ベッドだって白い。
カーテンの色も白だ。遮光性は別に必要ない。日の光を浴びるのは結構好きだ。
別に他の色が嫌いという訳ではない。現に俺の服装なんて灰色のシャツに赤いズボンに黒ブーツだ。
ただ、何となく白で統一したかった、というだけで、はっきりとした理由はない。
クローゼットにベッド、テーブル、椅子、その他にも、生活するための家具は置いてある。
ただ一つ、本棚だけは置いていない。読書が苦手で本を読まないのだから、置いても意味がない。
俺はベッドに歩み寄り、急いで出てきた割には案外整ったままのシーツの上から枕をどけた。
「あー……やっぱり忘れてたか」
枕のすぐ下から出てきた赤と黒の携帯電話を手に取り、俺は安堵の溜息を漏らした。
「まああれか、落とさなかっただけマシか……」
忘れてきたのではないか、という考えではあったが、もし落としでもしていたらどうしようかと頭の隅で考えていた。
もし本当に落としていたのなら、またリグスペイアまで戻って探さなければならない。誰かに拾われてそのままその人の物になっている可能性もあるのに、だ。
そうなったときの事を考えると、眩暈がする。
闇霧をベッド近くに立てかけ、ホルスターがなくベルトに挟み込む形で収納していた拳銃を隣に置くと、ベッドに腰掛けた。
やっぱり自室、自分の空間というものは落ち着くものだと思う。
しばらくぶりに帰ってくる、自分の居場所。心が落ち着くその感覚が好きだ。
カーテンが閉まっている窓から入り込む光は、橙色を帯びて薄く室内に色を付けていた。
純粋に、素直に、綺麗だと思う。
これさえも、いつか失われてしまうのかと思うと、心に穴が空いたような、空虚な感覚を覚えた。
息を吐こうとした瞬間、突然ドアがノックされた。
静寂の中に割り込んできた音に驚いたが、すぐに立ち上がるとドアを開けた。
そこに立っていたのは、俺も数度くらいしか話したことがないであろう男性だった。
灰色の長髪に、鳶色の瞳。それにいつも笑っているような口元。身に纏っているのは白衣。
彼は軽く会釈をすると、口を開いた。
「……突然、すみませんね」
「え、えっと……研究班の——あれ?」
見たことはある。ただ、相手には失礼なのだが、名前が解らない。
「……ホリック。ホリック=ベネトナシュですよ。話したことも殆どないのですから、解らないのも仕方がないです」
「え……あ、すみませんホリックさん」
困ったように笑ったホリックさんに、今度は俺が頭を下げた。
「気にしないで下さい。——そうだ、忘れていました。これ」
彼の優しい言葉と共に差し出されたのは、黒を基調とされているホルスターだった。
「拳銃、持ってるんですよね? なのにホルスターは持っていないなんて。危ないですから」
手渡されたホルスターを近くで見てみると、金具の部分が十字架のような装飾になっている事が解る。
俺が好きな装飾だ。十字架などのモチーフはかなり気に入っている。
気付かれることが本当に少ないが、右耳にだけ十字架のピアスも付けている。気付く人間なんて、本当に少数だ。
1年くらい行動を共にしているソーマでも、恐らく気付いていないと思う。まあ、アイツは他人に対しては無関心だから仕方がない。
ダグラスさんは最初から気付いていた。記憶を無くして行き倒れていたらしい俺を見付けたのがあの人だったのだからそれも当たり前だが。
「——ありがとうございます、ホリックさん」
「お礼なんて要りませんよ。丁度良さそうなのがあったので持ってきただけです。こういうデザイン、好きでしたよね?」
「え? はい、好きですけど」
「やっぱり。自分の読みが当たると嬉しいものですね。それじゃあ」
ホリックさんは意味深な含み笑いを残し、踵を返した。
その背中を見送ってから、俺はドアを閉める。
先程貰ったホルスターに、ベッドの上に放置していた拳銃をしまう。
それを一度見つめて、傍にあった棚の上に置いた。
機関の中でなら、持ち歩かなくても闇霧だけ背負っていれば大丈夫だ。
そんな事を言えば、またソーマやダグラスさん、アイドに『いつでも武器は持ち歩け』と言われてしまうだろうか。
立てかけておいた闇霧を背負いながら壁にある時計を確認すると、まだ寝るにはかなり時間があった。
このまま部屋で寝ているか、それとも本部の中を歩いてみるか、それとも誰かと話をするか、だ。
——そういえば、シェイド大佐やラスターさんやイーナはどうしただろうか。
三人とも、部屋にはアイドとダグラスさんに案内された筈だ。
アイドはあの後ダグラスさんに捨て台詞を残して逃げてから、見かけていない。
未だに逃げ続けているのか、もう捕まってしまっているのかも解らない。
もし捕まっていたら、もう研究室から出てこられないんじゃないか。仕事——もしくはパシリを押し付けられて。
いっそソーマと話でもしようかとも考えるが、アイツと話せる訳がない。一言二言言葉を交わして『それじゃあ俺は帰るから』と言って出てきてしまうのが目に見えている。
手合わせなら、一階に訓練場もあるからできる……とは思うが、またソーマに軍での手合わせと同じ事をされるのではないかと考えると怖くて誘うこともできない。
あのときに突然首を絞められたのは、本当に軽くだがトラウマになってしまっている……らしかった。
「……どうするかなぁ」
口に出してみても、何か名案が浮かぶわけでもない。
このままここにいても、時間を無駄に潰すだけだ。
「ちょっと色々見て回ってみるか……」
1,2年、もしかすれば3年は居る本部なのだから、解らないところがあるとは思えないが。
ただ、たまには見て回るのも面白いかもしれない。
サイラス達を案内したときは、部屋の隅まで詳しく見て回れなかったのだ。
俺は立ち上がると、一度大きく伸びをしてから部屋を出た。
ホリックがジェイド大佐みたいになった。ジェイド大佐好きよー。
取り敢えず更新頑張らないとっていう。Wantのプロットもまだまだだけどね!
頑張って書いてたのに消えて死にたくなったのは俺だけじゃないはずだ。
RELAYS - リレイズ - 36 【報告】
「今回は——」
そこまで言いかけて止まる。
今回の任務の内容は三つあった。一つ目の『の軍隊に加勢して敵を撃退すること』は終わっている。二つ目の『ウィジロの軍人を、数人でいいから捕らえること』。これはイーナが居るから大丈夫……という訳にもいかないだろうか。後でそこは聞いてみることにする。
だが三つ目だ。『極力死者を出さないこと』。
俺はあの時、焦げ茶の長髪に赤コートの青年——マーヴィンと対峙した時に気を失っている。
結局あの後はあちら側が撤退したらしいが、死者やその他の事は解らない。
要するに、俺は三つ目の事については本当に解らない……というか知らないのだ。
「……ああ、お前は気を失っていたか。仕方ない。オレが言おう」
「はい……すみません、シェイド大佐」
「じゃあ何でお前が話すみたいな感じになってんだよ? ちゃんと言えば良かっただろ」
ラスターさんの言う通り、何故俺は話す前に「気を失ってたので解りません」と言わなかったのか。
「いや、何か空気的に『それじゃあヘメ君よろしくね』みたいな感じでしたよね」
「知るか」
「知らないぞ」
「知らねぇ」
「知らないよ?」
ソーマとシェイド大佐、ラスターさん、ダグラスさんに同時に言われ、二の句が継げなくなる。
「絶対そういう空気でしたよ!! 俺がそういう空気に乗っちゃうって解ってて言いましたよねアレ!!」
「それは被害妄想だよーヘメくーん」
ダグラスさん特有の間延びした口調が何故か感に障るというか、何というか……兎に角無性にイライラする。
俺は何故か『それじゃあお願いします』といったような空気——といったらいいのだろうか、雰囲気になると、何となく自分がやろうと思ってしまう。
仕切るのが好き、というのとは少し違うが。
「まあそれは後々話せばいいだろう。全部オレが話すから黙っていろ」
「……わ、解りましたよ」
今ここで言い合っても、俺に良いことなんて一つもない。逆に醜態を晒すことになる。
「——それじゃあ、大佐」
ダグラスさんももうふざけるのはやめにしたのか、その口元から笑みが消えていた。
何となく、いつもよりも緊張しているような状況に、俺も気を引き締める。
と同時に、背後から本当に小さくだが舌打ちのような音が聞こえた。それを訝り、振り返る。
「……どれだけ脱線すれば気が済むんだ」
小声の筈なのにやけにはっきりと聞こえたソーマの聞いた者の背筋を凍らせるような低い声に、俺は身震いした。
そろそろ真面目に本題に入らないと色々な意味で危険だ。こいつは一度怒ると何をしでかすか解らない。恐らく、辺り一面に氷柱を発生させるか、凍らせるかのどちらか。
「……シェイド大佐」
ソーマが俺の背後でずっと黒いオーラを出し続けている、その現実に耐えきれず、シェイド大佐に小さく声をかけた。
「ああ、解っている。——まず、犠牲者の数だが」
やっと本題に入れたことに、俺は内心安堵の溜息を漏らしていた。背後でも、黒いオーラが若干だが薄くなった気がする。
「オレが確認しただけだと、本当に少なく抑えられたと思う。戦いで犠牲者を出さないのは不可能だったが、あちら側も同じらしい。死なない程度の怪我は容赦なくさせているが」
こんな戦いで、死者を出さないで戦えという方が無茶な話だ。
というか、そんな事はできるわけがない。有り得ない。
戦いなんて物がある以上、犠牲は避けられない。
そう考えると、何か溜息を吐きたくなるような、途方に暮れるような不思議な感覚がある。胸に穴でも空いた感じ、と言えば一番近いのかもしれない。上手く説明できないけれど。
「死なない程度の怪我……と言うと?」
「手足を撃ったり、切り付けたり……だな。その他にも多いのが、武器を使えないようにする、といった方法か」
ラスターさんがやったように、銃を真っ二つに切断したりという方法だ。一応俺にもできた……けど。
確かにそうすれば、戦力を削げる。勿論、この世界のどこかには居ると思うが、まさか銃や剣を持っている相手に素手や足技で大勢の兵に向かっていく人間は居ないだろう。
「ちゃんと治療もすれば、完治する。心配は要らない」
「それなら問題なし。今回の任務内容は全部クリアしてるよ。ほんと、お疲れ様」
黙ってシェイド大佐の話を聞いていたダグラスさんは、どこか安心したように微笑んだ。
言い終わった後、ダグラスさんは少し考え、思い出したように顔を上げた。
「ああ、それと何で大佐達を呼んだのかも言っておかないと駄目だね」
今まで忘れていたが、それだ。
シェイド大佐を呼んだのには、何か理由がある筈だ。
幾らダグラスさんが人使いが荒くてそういう意味では若干鬼畜だからといって、対した理由も無しに『ちょっと会ってみたかった』というような理由で呼ぶような人ではないことは良く解っている。
「では、その理由を頼む」
「勿論。……まあ、駄目で元々と思って言うんだけど」
そう前置きしてから、シェイド大佐の目を見据える。
「僕——いや、我々への協力を、お願いしたい」
「……協力要請、か」
シェイド大佐やラスターさんのような、戦闘能力が高い人間が居れば、これから少しでも楽になるかもしれない。
ただ、ラスターさんは店に休店の貼り紙を貼っているからいいとして、シェイド大佐はどうなのか。
「オレは別にいいぜ。店なんて放置してても大丈夫だろうし。あの店泥棒も入らねぇよ」
「それもそれでアバウトすぎると思うんですが」
「いっそ泥棒にでも入られて無一文になってしまえ、馬鹿が」
「いや、兄サンの貯金あるからそこは大丈夫だな」
「別に真面目に答えなくていいですよ、これ絶対馬鹿にしてるだけなので」
ソーマのツッコミというか、毒舌に真面目に答えなくても……答えなければ殺される、というわけでもないのだから。
だが突っ込んだ本人は大真面目らしく、「俺はふざけて等いない」と言ってきた。まあソーマがふざけるなんて事は有り得ないか。それこそ犠牲者を出さないくらいに。
「……それで、大佐は?」
「——オレも……良いだろう。どうせ戻っても、訓練と見張り程度だ。あんな平和な街、攻め込んでくる方が不思議だ」
「そうそう。リグスペイアなんて昔っから影薄いんだからよ」
この二人に、郷土愛なんて言葉はないのかと問い質したくなった。冗談なのか本気なのか解らない。
「良かった。……それじゃあ、二人ともこれからよろしく」
ダグラスさんが言った瞬間、イーナを部屋に案内し終わったのかアイドが帰ってきた。
——何か嫌な予感がするな、これ。
「し、司令官……終わりました」
「丁度良いところにきた! よしアイド、今度はこの二人を」
「いい加減にしてくれこの鬼司令官!!」
涙混じりの声で叫び、アイドは帰ってきたばかりだというのにどこかへ走って逃げていった。
「あーあ行っちゃった……冗談だったのに」
「冗談に聞こえないんですよ、ダグラスさんのは」
突拍子もないことを、常識的に考えてやるわけがないと思ったことを本当に実行してしまうから、冗談だと思われないのだ。
「そうなの?」
「……オレもそうだと思うぜ」
「ラスターと同意見だ」
「別に貴様がどう思われていようがどうでもいい」
「そうなんだ……取り敢えずソーマ、その言い方酷くない? 泣いていい?」
ソーマの言い方が酷いのもいつものことだ。取り敢えずソーマを抜いてここにいる3人が『冗談に聞こえない』という考えらしい。
「仕方ない……じゃあ僕が案内するから付いてきて。ヘメ君達はもう部屋に戻ってもいいしどこ行ってもいいよー」
「解りました。じゃあ、シェイド大佐もラスターさんもまた後で」
「ああ。またな」
「じゃあなー。また後で」
どこか面倒くさそうなダグラスさんに連れられて歩いていく二人の姿が見えなくなる。
それからしばらくして、サイラスとファンデヴが戻ってきた。
「おー終わったのか、丁度」
「ああ。そういえばどこ行ってたんだ?」
研究室付近は、サイラスにとってトラウマになっているだろうからそこには行っていないに決まっている。
となると、二人でどこに行っていたのか気になった。
「あー、ただちょっと面白いのねぇかなと思って、色々見てきた。ファンデヴは全部見たらしいがな」
「サイラスが研究員に絡まれてる間暇だったから、それだけ」
「そうだったのか。——あれ、ソーマ?」
俺の背後に居た筈のソーマが見当たらない事に気付き、俺は辺りを見回した。
「ソーマ? あああの白髪頭か。さっき俺等と入れ違いに出てったぞ」
「白髪頭って、本人に言ったら殺されるぞ……」
そんなことをソーマ本人に言ったら、氷柱で串刺しにされるかナトゥスで首を刈り取られるかのどちらかだ。
「まあいいか……それじゃあ俺も行く」
「あ? あー解った。んじゃ、俺等は部屋戻るわ」
「解った。じゃあまた今度」
サイラスとファンデヴに手を振り、俺はその場を後にした。
1週間くらいかかったとかしねる\(^o^)/
頑張って書いてたのに消えて死にたくなったのは俺だけじゃないはずだ。
RELAYS - リレイズ - 36 【報告】
「今回は——」
そこまで言いかけて止まる。
今回の任務の内容は三つあった。一つ目の『の軍隊に加勢して敵を撃退すること』は終わっている。二つ目の『ウィジロの軍人を、数人でいいから捕らえること』。これはイーナが居るから大丈夫……という訳にもいかないだろうか。後でそこは聞いてみることにする。
だが三つ目だ。『極力死者を出さないこと』。
俺はあの時、焦げ茶の長髪に赤コートの青年——マーヴィンと対峙した時に気を失っている。
結局あの後はあちら側が撤退したらしいが、死者やその他の事は解らない。
要するに、俺は三つ目の事については本当に解らない……というか知らないのだ。
「……ああ、お前は気を失っていたか。仕方ない。オレが言おう」
「はい……すみません、シェイド大佐」
「じゃあ何でお前が話すみたいな感じになってんだよ? ちゃんと言えば良かっただろ」
ラスターさんの言う通り、何故俺は話す前に「気を失ってたので解りません」と言わなかったのか。
「いや、何か空気的に『それじゃあヘメ君よろしくね』みたいな感じでしたよね」
「知るか」
「知らないぞ」
「知らねぇ」
「知らないよ?」
ソーマとシェイド大佐、ラスターさん、ダグラスさんに同時に言われ、二の句が継げなくなる。
「絶対そういう空気でしたよ!! 俺がそういう空気に乗っちゃうって解ってて言いましたよねアレ!!」
「それは被害妄想だよーヘメくーん」
ダグラスさん特有の間延びした口調が何故か感に障るというか、何というか……兎に角無性にイライラする。
俺は何故か『それじゃあお願いします』といったような空気——といったらいいのだろうか、雰囲気になると、何となく自分がやろうと思ってしまう。
仕切るのが好き、というのとは少し違うが。
「まあそれは後々話せばいいだろう。全部オレが話すから黙っていろ」
「……わ、解りましたよ」
今ここで言い合っても、俺に良いことなんて一つもない。逆に醜態を晒すことになる。
「——それじゃあ、大佐」
ダグラスさんももうふざけるのはやめにしたのか、その口元から笑みが消えていた。
何となく、いつもよりも緊張しているような状況に、俺も気を引き締める。
と同時に、背後から本当に小さくだが舌打ちのような音が聞こえた。それを訝り、振り返る。
「……どれだけ脱線すれば気が済むんだ」
小声の筈なのにやけにはっきりと聞こえたソーマの聞いた者の背筋を凍らせるような低い声に、俺は身震いした。
そろそろ真面目に本題に入らないと色々な意味で危険だ。こいつは一度怒ると何をしでかすか解らない。恐らく、辺り一面に氷柱を発生させるか、凍らせるかのどちらか。
「……シェイド大佐」
ソーマが俺の背後でずっと黒いオーラを出し続けている、その現実に耐えきれず、シェイド大佐に小さく声をかけた。
「ああ、解っている。——まず、犠牲者の数だが」
やっと本題に入れたことに、俺は内心安堵の溜息を漏らしていた。背後でも、黒いオーラが若干だが薄くなった気がする。
「オレが確認しただけだと、本当に少なく抑えられたと思う。戦いで犠牲者を出さないのは不可能だったが、あちら側も同じらしい。死なない程度の怪我は容赦なくさせているが」
こんな戦いで、死者を出さないで戦えという方が無茶な話だ。
というか、そんな事はできるわけがない。有り得ない。
戦いなんて物がある以上、犠牲は避けられない。
そう考えると、何か溜息を吐きたくなるような、途方に暮れるような不思議な感覚がある。胸に穴でも空いた感じ、と言えば一番近いのかもしれない。上手く説明できないけれど。
「死なない程度の怪我……と言うと?」
「手足を撃ったり、切り付けたり……だな。その他にも多いのが、武器を使えないようにする、といった方法か」
ラスターさんがやったように、銃を真っ二つに切断したりという方法だ。一応俺にもできた……けど。
確かにそうすれば、戦力を削げる。勿論、この世界のどこかには居ると思うが、まさか銃や剣を持っている相手に素手や足技で大勢の兵に向かっていく人間は居ないだろう。
「ちゃんと治療もすれば、完治する。心配は要らない」
「それなら問題なし。今回の任務内容は全部クリアしてるよ。ほんと、お疲れ様」
黙ってシェイド大佐の話を聞いていたダグラスさんは、どこか安心したように微笑んだ。
言い終わった後、ダグラスさんは少し考え、思い出したように顔を上げた。
「ああ、それと何で大佐達を呼んだのかも言っておかないと駄目だね」
今まで忘れていたが、それだ。
シェイド大佐を呼んだのには、何か理由がある筈だ。
幾らダグラスさんが人使いが荒くてそういう意味では若干鬼畜だからといって、対した理由も無しに『ちょっと会ってみたかった』というような理由で呼ぶような人ではないことは良く解っている。
「では、その理由を頼む」
「勿論。……まあ、駄目で元々と思って言うんだけど」
そう前置きしてから、シェイド大佐の目を見据える。
「僕——いや、我々への協力を、お願いしたい」
「……協力要請、か」
シェイド大佐やラスターさんのような、戦闘能力が高い人間が居れば、これから少しでも楽になるかもしれない。
ただ、ラスターさんは店に休店の貼り紙を貼っているからいいとして、シェイド大佐はどうなのか。
「オレは別にいいぜ。店なんて放置してても大丈夫だろうし。あの店泥棒も入らねぇよ」
「それもそれでアバウトすぎると思うんですが」
「いっそ泥棒にでも入られて無一文になってしまえ、馬鹿が」
「いや、兄サンの貯金あるからそこは大丈夫だな」
「別に真面目に答えなくていいですよ、これ絶対馬鹿にしてるだけなので」
ソーマのツッコミというか、毒舌に真面目に答えなくても……答えなければ殺される、というわけでもないのだから。
だが突っ込んだ本人は大真面目らしく、「俺はふざけて等いない」と言ってきた。まあソーマがふざけるなんて事は有り得ないか。それこそ犠牲者を出さないくらいに。
「……それで、大佐は?」
「——オレも……良いだろう。どうせ戻っても、訓練と見張り程度だ。あんな平和な街、攻め込んでくる方が不思議だ」
「そうそう。リグスペイアなんて昔っから影薄いんだからよ」
この二人に、郷土愛なんて言葉はないのかと問い質したくなった。冗談なのか本気なのか解らない。
「良かった。……それじゃあ、二人ともこれからよろしく」
ダグラスさんが言った瞬間、イーナを部屋に案内し終わったのかアイドが帰ってきた。
——何か嫌な予感がするな、これ。
「し、司令官……終わりました」
「丁度良いところにきた! よしアイド、今度はこの二人を」
「いい加減にしてくれこの鬼司令官!!」
涙混じりの声で叫び、アイドは帰ってきたばかりだというのにどこかへ走って逃げていった。
「あーあ行っちゃった……冗談だったのに」
「冗談に聞こえないんですよ、ダグラスさんのは」
突拍子もないことを、常識的に考えてやるわけがないと思ったことを本当に実行してしまうから、冗談だと思われないのだ。
「そうなの?」
「……オレもそうだと思うぜ」
「ラスターと同意見だ」
「別に貴様がどう思われていようがどうでもいい」
「そうなんだ……取り敢えずソーマ、その言い方酷くない? 泣いていい?」
ソーマの言い方が酷いのもいつものことだ。取り敢えずソーマを抜いてここにいる3人が『冗談に聞こえない』という考えらしい。
「仕方ない……じゃあ僕が案内するから付いてきて。ヘメ君達はもう部屋に戻ってもいいしどこ行ってもいいよー」
「解りました。じゃあ、シェイド大佐もラスターさんもまた後で」
「ああ。またな」
「じゃあなー。また後で」
どこか面倒くさそうなダグラスさんに連れられて歩いていく二人の姿が見えなくなる。
それからしばらくして、サイラスとファンデヴが戻ってきた。
「おー終わったのか、丁度」
「ああ。そういえばどこ行ってたんだ?」
研究室付近は、サイラスにとってトラウマになっているだろうからそこには行っていないに決まっている。
となると、二人でどこに行っていたのか気になった。
「あー、ただちょっと面白いのねぇかなと思って、色々見てきた。ファンデヴは全部見たらしいがな」
「サイラスが研究員に絡まれてる間暇だったから、それだけ」
「そうだったのか。——あれ、ソーマ?」
俺の背後に居た筈のソーマが見当たらない事に気付き、俺は辺りを見回した。
「ソーマ? あああの白髪頭か。さっき俺等と入れ違いに出てったぞ」
「白髪頭って、本人に言ったら殺されるぞ……」
そんなことをソーマ本人に言ったら、氷柱で串刺しにされるかナトゥスで首を刈り取られるかのどちらかだ。
「まあいいか……それじゃあ俺も行く」
「あ? あー解った。んじゃ、俺等は部屋戻るわ」
「解った。じゃあまた今度」
サイラスとファンデヴに手を振り、俺はその場を後にした。
1週間くらいかかったとかしねる\(^o^)/
もう別に本館でぶっちゃけたから言う必要ねーなと思ったんだけども言っておく。
後5ヶ月くらいしかないけど、電撃文庫の小説大賞出そうと思う。
〆切が4月10日。丁度受験終わって卒業式終わって合格発表されて何やかんや終わった後だね、うん。
ぶっちゃけ受験勉強よりも小説書きたい俺が居るんだよ。
それで、色々考えてみた。
新しいのは殆ど長編だし、リレイズは未だに序盤だし、まさか夢喰はないだろうし。
夢喰は確かに短編としては機能させやすいと思う。ただ枚数作るのが何か大変なだけで。
じゃあどうすんのってなったら、書けるのがWant to returnしかなかった。
タイトルはこれしか思いつかない。登場キャラも変えない。
ただ加筆修正して、ラストを大幅に変えるだけ。
概要ていうのも書かなきゃならないんだけど、どうやって書くんだろうか。
…予選通過してくれれば、万々歳かな。有り得ないけど。
母に「少しは自惚れた方が良い」って言われたけど無理。
俺は他の人間よりも自分が全部劣ってると思ってないとやっていけないから。
取り敢えず真面目に書こうとするとこうなるわけだw
うん、俺のキャラじゃねぇwwwwwwwwwわろすwwwwwww
後5ヶ月くらいしかないけど、電撃文庫の小説大賞出そうと思う。
〆切が4月10日。丁度受験終わって卒業式終わって合格発表されて何やかんや終わった後だね、うん。
ぶっちゃけ受験勉強よりも小説書きたい俺が居るんだよ。
それで、色々考えてみた。
新しいのは殆ど長編だし、リレイズは未だに序盤だし、まさか夢喰はないだろうし。
夢喰は確かに短編としては機能させやすいと思う。ただ枚数作るのが何か大変なだけで。
じゃあどうすんのってなったら、書けるのがWant to returnしかなかった。
タイトルはこれしか思いつかない。登場キャラも変えない。
ただ加筆修正して、ラストを大幅に変えるだけ。
概要ていうのも書かなきゃならないんだけど、どうやって書くんだろうか。
…予選通過してくれれば、万々歳かな。有り得ないけど。
母に「少しは自惚れた方が良い」って言われたけど無理。
俺は他の人間よりも自分が全部劣ってると思ってないとやっていけないから。
取り敢えず真面目に書こうとするとこうなるわけだw
うん、俺のキャラじゃねぇwwwwwwwwwわろすwwwwwww
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妄想!
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こちらは更新凍結しました
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FF、DMC、TOAをメインにやる予定だったのに何かオリジナル増えそう。
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